
運送業の休みは少ない?実態とルール、法改正の影響、休みにくい理由
こんにちは。物流に関する知識をまとめたメディア「ピックゴー物流コラム」編集部です。
2024年の働き方改革関連法の施行に伴い、物流業界では長時間労働の改正や時間外労働の賃金引上げなどが目標とされています。
運送業のトラックドライバーにはさまざまな職種や働き方がありますが、「休みが少ない」「長時間労働が当たり前」というイメージがあることは否めません。
そこでこの記事では、休みがとりにくい運送業の実態とその原因について解説します。
また、働き方改革関連法の施行によって、法律上どのような変更点があるのかについても紹介しますので、トラックドライバーとして勤務されている方は、ぜひ参考にしてください。
運送業の休みの実態

運送業の休みに関しては、ネガティブなイメージが先行していますが、実態はどのようになっているのでしょうか?
厚生労働省や国土交通省が行った調査結果をもとに、休みの実態をご紹介します。
運送業の年間休日はどのくらい?
厚生労働省が調査した『令和4年就労条件総合調査の概況』では、2021年における1企業当たりの年間休日総数の平均は、107. 0日と報告されています。
労働者1人当たりの平均は115. 3日ですが、一般的なトラックドライバーの年間休日はこの日数よりも少ないことが予想されます。
もともと年間休日の日数が少ないことが常態化している業界であることに加え、ECサイトの需要拡大や人員不足によって1人当たりの負担が増えています。以上のことから、他の業界と比較して、トラックドライバーの年間休日は少ないといえるでしょう。
実際に、令和3年に国土交通省が実施したアンケート結果『トラック輸送状況の実態調査結果(全体版)』によると、トラックドライバーの9.4%が「7日間のうち、休日がなかった」と回答しています。
【出典】「令和4年就労条件総合調査の概況」(厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/22/dl/gaikyou.pdf
【出典】「我が国の物流を取り巻く現状と取組状況」(経済産業省・国土交通省・農林水産省)https://www.meti.go.jp/shingikai/monoinfoservice/sustainablelogistics/pdf/00102_00.pdf
【出典】「トラック輸送状況の実態調査結果(全体版)」(国土交通省)https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001409525.pdf
トラックドライバーの休み方のパターン
トラックドライバーが所属する企業はさまざまですが、休みのパターンは3つに分類することができます。
それぞれがどんな特徴を持つのか、パターンごとに詳しく解説しましょう。
シフト制
シフト制とは、働く時間や曜日などが固定されていない勤務形態のことです。
食品の配送など、取引先が土日も稼働している会社では、シフト制を採用している場合が多く見受けられます。
シフト制は取引先のスケジュールに大きく左右されることや、他の従業員との兼ね合いもあるため、希望通りの休みを取りにくいといったデメリットがあります。
特に、年末年始・お盆・ゴールデンウィークなどの大型連休にまとまった休みを取ることはできないと考えた方がよいでしょう。
週休1日制
運送業では週休1日制というケースもあります。
近年の運送業はかねてからの人手不足に加え、物流需要が増大したことによる、さらなるドライバー不足に悩まされている状態です。
労働基準法では、使用者(企業)は労働者(ドライバー)に対して少なくとも週に1日もしくは4週間で4日の休日を与えることを義務付けています。
加えて、トラックドライバーの休息期間は「1日で連続した8時間以上、休日は休息期間+24時間」が規定です。
週に1日の休日を設けた場合でも、1週間の労働時間が40時間を超えると違法となる可能性があるため、管理職や経営者は労働時間を管理する必要があります。
週休2日制
大手の運送会社では、週休2日制を採用しているケースがあります。
そもそも週休2日制とは「月に一度は週2日の休みがあること」です。
・週休2日制には2種類のパターンがあるため、注意しなくてはいけません。
・週休2日:月に1度は週2日の休みがある
・完全週休2日:毎週必ず2日間の休みがある
業界や取り扱う荷物にもよりますが、大手以外の運送会社で完全週休2日制というのはほとんど見られません。
「週休2日制」でも、平日休み・隔週の土日休みなど複数のパターンがあるため、どんなパターンの週休2日制なのかをきちんと理解しておくことが大切です。
運送業におけるドライバーの休みに関するルール

運送業におけるドライバーの休みには、れっきとしたルールがあります。
ドライバーとして会社の業務を行っていても、なかにはルールに則っていないケースもありますので、しっかりと理解しておくことが大切です。
拘束時間と休息期間
はじめに、拘束時間・休息期間などの概要について、詳しく解説しましょう。
拘束時間:始業時刻から終業時刻までの時間のこと
休息期間:終業から次の勤務の始業までの時間のこと(睡眠時間・プライベートな時間も含まれる)
休憩時間:拘束時間内において心身を休めるための時間のこと
労働時間:実際に勤務している時間のこと(運転だけではなく、車両整備などの作業時間や荷待ち時間なども含まれる)
拘束時間は、労働時間と休憩時間の合計です。
運送業の場合、連続運転は最大4時間までとされ、その後30分以上の休憩をとらなければならないと定められています。
また運送業では、2022年12月23日に「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示)」が改正され、2024年4月1日から新しいルールが適用されます。
改正前 | 改正後 | |
|---|---|---|
1年の拘束時間 | 3,516時間(年換算) | 原則:3,300時間 |
1ヶ月の拘束時間 | 原則:293時間(月換算) | 原則:284時間 |
1日の休息期間 | 継続8時間 | 継続11時間を基本とし、 |
長時間労働の解決が課題となっている運送業において、ようやく「働き方改革関連法」という、トラックドライバーにメリットのある法律が施行されます。
ドライバーの休日の扱い
「トラックドライバーは休みが少ない」と思われがちですが、今回の法改正によってドライバーの休日の扱いも見直しが行われています。
ドライバーの休日:休息期間+24時間
現行の制度では「8時間+24時間=32時間」ですが、法改正後は「9時間+24時間=33時間」でなければ休日とは見なされないと定められています。
ドライバーのなかにはシフト制で勤務しているケースもありますが、隔日勤務のドライバーの場合は「20時間以上+24時間=44時間」以上が休日です。
通常のドライバーも隔日勤務のドライバーも、24時間は連続して休みを取らなければならないというルールも守らなければいけません。
ドライバーが休日出勤をする際の注意点
トラックドライバーの仕事は、休日出勤になることも少なくありません。
「仕事だから仕方がない」と諦めてしまうのではなく、原則として定められているルールをしっかりと理解しておきましょう。
トラックドライバーの休日出勤の回数は2週間に1回まで
休日の労働時間や時間外労働時間も拘束時間に含まれる
2024年に適用される新しいルールでは、1ヶ月の拘束時間は原則284時間までです。
万が一、ルールに則っていない働き方が常態化しているようであれば、改善の傾向が見られるかどうかを確認する必要があります。
【トラックドライバーの種類別】休みの取りやすさの違い

トラックドライバーには複数の職種があり、勤務形態や業界の特徴によって休みの取りやすさが異なります。
ここでは、短距離・中距離ドライバーと、長距離ドライバーの違いをご紹介しましょう。
短距離・中距離ドライバーの場合
トラックドライバーの中でも短距離・中距離ドライバーは、比較的安定した休みを取りやすい傾向があります。
配送1回当たりの運行距離が長くないため、交通状況や天候によって業務時間が左右されることが少ないからです。
運送会社は取引先のスケジュールに合わせて動くため、土日休みの企業などと取引がある場合、土日休みとしているケースもあります。
近年ECサイトの需要増加などに伴い、大きく増加しているのは個人向けの小口配送です。
国土交通省の調査では、2021年度の宅配便取扱個数は49億5323万個、前年度比約2.4%の増加で、過去最高を記録したという結果が報告されています。
休みは取りやすい傾向がありますが、短距離・中距離ドライバーの負担は確実に増加しているといえるでしょう。
【出典】「令和3年度 宅配便取扱実績について」(国土交通省)https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha04hh000255.html
長距離ドライバーの場合
ドライバーのなかでも、長距離ドライバーは休みのスケジュールを立てにくい傾向があります。
長距離ドライバーは運行1回当たりの距離が長く、ちょっとしたトラブルで業務時間が伸びてしまう可能性が高いからです。
交通事故
工事などによる迂回や自然渋滞
悪天候
荷受人の都合(荷待ち時間)
長距離ドライバーは一度に多くの荷物を運ぶことを求められるため、大型トラックを使用することがほとんどです。
厚生労働省の調査では、大型トラックドライバーの労働時間は中・小型トラックドライバーと比べて年間60時間程度長いと報告されています。
労働時間が定まらないことから、休みの予定を立てることも難しいのが現実です。
【出典】「我が国の物流を取り巻く現状と取組状況」(経済産業省・国土交通省・農林水産省)https://www.meti.go.jp/shingikai/monoinfoservice/sustainablelogistics/pdf/00102_00.pdf
運送業で休みを取りにくい主な要因
運送業で休みが取りにくい要因はどんなことにあるのでしょうか?
運送業ならではの2つの大きな要因について解説します。
労働力不足
運送業で休みが取りにくい最大の要因は、労働力の不足です。
運送業界はかねてから人手不足が課題とされており、そのうえに昨今の巣ごもり需要が加わったことから、最低限の休日スケジュールで回さなければ荷物を処理しきれないのが現状とされています。
万が一、当日に休む必要が生じた場合でも、代わりのドライバーが見つからなければ、出勤をお願いされるケースが少なくありません。
また、貨物自動車運転手の有効求人倍率は全職業平均より約2倍も高く、常に人材を募集している状態です。
特に若い世代の入職率が低いため、ドライバー全体の高齢化も問題となっています。
労働環境・賃金・勤務条件などを改善し、若い世代を呼び込んでいくことが喫緊の課題です。
【出典】「参考資料2 改善基準告示見直しについて(参考資料)」(厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/000831729.pdf
完全歩合給制度の影響
運送業のドライバーの給与形態には、完全歩合給制度が使われていることがあります。
完全歩合給制度とは、すべてにおいて個人の業績や売上高に基づいて報酬が支払われる方式のこと。
走った距離や勤務日数などで報酬の金額が変わるため、あえて休みを取らないドライバーも存在します。
運送業界では、定年後の再雇用などで働く人も多いため、「自分のペースで働ける」というメリットを感じている人がいることも否めません。
2019年4月からは、すべての企業において、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対し、年次有給休暇の日数のうち年5日については企業側が時季を指定して取得させることが義務付けられました。
これはつまり、年5日の有給休暇をドライバーに取得させることが、運送会社の義務になるということです。
「完全歩合給制度だから休めない」という状況は、法律的に認められなくなっています。
休み方を見直したいドライバーの方には「ピックゴー」の活用がおすすめ

運送業のドライバーのなかには、休み方を見直したいという方も多いはず……そんな方におすすめなのは配送プラットフォームの「ピックゴー」です。
「ピックゴー」とはどのようなサービスなのか、概要や特徴をご紹介しましょう。
ピックゴーの概要
ピックゴーとは、個人事業主のドライバーや一般貨物運送会社と荷主企業をつなぐ配送プラットフォームです。
物流×ITのプロフェッショナルであるCBcloud株式会社が提供しています。
【ピックゴーの配送パートナー】
軽貨物(バイク・自動車含む):100,000台以上
一般貨物(2~10t車):3,000社以上
ピックゴーでは、スポット・定期・長距離配送など、日本全国にある案件のなかから、時間や条件を見て仕事を選ぶことができます。
自分のペースで仕事を受注できるため、運送会社でドライバーとして働くよりも休みのスケジュールを組みやすくなることが大きなメリット。
収入を増やしたい場合は、副業として案件を受注することも可能です。
(注)掲載している数値は2025年10月時点のものです。
ピックゴーの特徴
ピックゴーにはいくつかの特徴があります。
高品質な案件を多く配信している
ピックゴーでは、直荷主からの案件を多数配信しています。
荷主の審査を実施しているため、トラブルのリスクを抑えることも可能です。
また、現場でのトラブルに備え、24時間365日、現場をサポートする体制が整っているので、安心して仕事をすることができます。
ドライバーの評価基準を設定
ピックゴーでは、ドライバーの評価基準を設定し、公正な評価を行っています。
配送品質の高いドライバーほど仕事を獲得しやすい仕組みを構築することで、コネや早い者勝ちといった仕事の獲得方法を是正しています。
スマホアプリで手軽に案件を探せる
ピックゴーは「ピックゴーパートナー」というアプリをダウンロードすることで利用できるようになります。
会員情報の登録、必要書類のアップロードなど、必要な手続きを行い審査に通れば仕事を受注することができます。
スマホアプリの通知をONにしておくことで、近くの案件が自動で届くようになります。
最短56秒で受注できる
ピックゴーの案件には「接車最短案件」というものがあります。
「接車最短案件」とは、1番早く来れるドライバーを荷主が募集している案件のことです。
現在地周辺の案件で「接車最短案件」があれば、最短56秒で受注することが可能です。
運送業の休みのルールを知り法令に則った働き方を選ぼう
運送業のドライバーは休みが取れないというイメージがあります。
たしかに長距離ドライバーなどは休みを取りづらく、長時間労働になりやすい傾向があることは否めません。
しかし、2024年4月からは新しいルールが適用され、長年の課題となっていたドライバーの長時間労働や休日出勤などの条件が変わります。
運送会社が果たさなければならない義務もあるため、旧態依然とした状態が改善されなければ、仕事の再選択をすることも視野に入れてみましょう。
ピックゴーは、個人事業主のドライバーや一般貨物運送会社と荷主企業をつなぐ配送プラットフォームで、自分のペースに合った仕事を選ぶことができるサービスです。
特に、完全歩合給制度で報酬が不安定になりがちな個人事業主のドライバーの方には、おすすめのサービスといえるでしょう。
ピックゴーを最大限に活用すれば、しっかりとした休みを確保しながら運送業へ従事できることを覚えておいてください。

