
積載率とは?計算方法や低下による悪影響、数値向上のポイント
こんにちは。物流に関する知識をまとめたメディア「ピックゴー物流コラム」編集部です。
物流業界では配送の多頻度・小口化や日時指定配送の一般化などにより、多くの企業が積載率の低下に悩まされています。積載率の低い状態が続くと会社の売上の低下やトラックドライバーの負担の増大につながるおそれがあるため、迅速な対応が必要です。
そこで今回は、積載率の概要や計算方法、低下による悪影響、数値を向上させるためのポイントを解説します。荷主企業と運送会社が連携して積載率を改善し、効率的な配送環境の構築に取り組みましょう。
目次[非表示]
- 1.積載率の基礎知識
- 2.積載率の低下による悪影響
- 2.1.運送コストの増加
- 2.2.トラックドライバーの負担の増大
- 2.3.業務効率の低下
- 2.4.自然環境の汚染
- 3.積載率を向上させるポイント
- 3.1.共同配送に取り組む
- 3.2.箱のサイズを最適化する
- 3.3.積載率の平準化を図る
- 3.4.商品カテゴリーを集約する
- 3.5.輸配送時の制約を緩和する
- 3.6.配送管理システムを導入する
- 4.積載率を向上させて効率的な配送を実現しよう
積載率の基礎知識
積載率は、物流業界やロジスティクスの現場で頻繁に耳にする単語です。ここでは積載率の概要や計算方法を解説します。
積載率とは?
積載率とは輸送車両が積載できる荷物の量に対する、実際の積載量の割合を表す数値です。積載率が高いほど輸送効率が良いことを表しています。営業用トラックの積載効率は、1993年度には50%を超える数字でしたが、2019年度には40%を下回りました。積載率低下の主な要因は、EC市場の成長による貨物輸送の多頻度・小口化、宅配便の時間指定の普及などが考えられます。
【出典】「最近の物流政策について」(国土交通省)
https://www.mlit.go.jp/common/001388194.pdf
積載率の計算方法
積載率は、「積載率(%)=積載重量÷最大積載量×100」の計算式で算出可能です。例えば5tトラックに2tの貨物を積載した場合、積載率は2t÷5t×100=40%となります。また物流の現場では平均積載率を用いることもあります。例えば納品時の積載率が100%で帰り便の積載率が0%の場合、輸配送全体における積載率を50%と扱う計算方式です。
積載率の低下による悪影響
積載率の低下が続くと社会にどのようなデメリットがあるのでしょうか。ここでは積載率の低下による影響をご紹介します。
運送コストの増加
積載率が低下すると同量の荷物を運ぶのにトラックを複数回稼働させなければならないため、燃料費や人件費、荷待ち・荷役時間などの運送コストが増加しやすくなります。荷主企業の売上低下につながるおそれもあるでしょう。
トラックドライバーの負担の増大
配送回数が増えることでドライバーの労働時間が長くなりやすいため、トラックドライバーの負担の増大につながる点も課題です。実際、トラックドライバーの年間労働時間は、全産業の平均と比較して約2割長いことがわかっています。
また運送業界ではドライバーの高齢化も進んでおり、労働時間の長期化による影響が大きくなりやすい傾向にあります。就業者のうち約44.2%が40〜54歳、29歳以下は約10.2%で、どちらも全産業平均と比べて低い数字です。負担が増大することで離職者が増え、さらなる人手不足の深刻化につながる可能性もあります。
【出典】「最近の物流政策について」(国土交通省)
https://www.mlit.go.jp/common/001388194.pdf
業務効率の低下
積載率の低下によって一度の配送で運ばれる荷物の量が減少すると、倉庫作業を細切れに実施しなければならず業務効率低下の要因となります。ITシステムやロボットの導入で倉庫業務を効率化している場合でも、その恩恵を受けにくくなるのがデメリットです。
自然環境の汚染
積載率の低下で車両の稼働率が高まると排出されるCO2の量が増えるため、自然環境の汚染リスクにつながります。環境意識の高まりによってCO2削減への取り組みが企業評価にも影響しており、積載率の改善を進める必要があります。
積載率を向上させるポイント
物流コストの増大や人手不足など物流業界が抱える課題の解決には、積載率の改善が重要です。ここでは積載率を向上させるためのポイントを解説します。
共同配送に取り組む
共同配送とは配送先が共通の企業同士で同じトラックやコンテナ、パレットを使用して配送する方法です。複数の荷主企業が共同で特定の物流業者を利用するケースと、複数の運送会社が荷物を持ち寄るケースに分けられます。大型のトラックに少量の荷物を積み込んだ状態で配送する必要がなくなり積載率の向上が見込めます。帰り便を活用したり配送拠点の近い企業同士で連携したりするなどして、異業種の企業間でも共同配送を実施できるよう工夫することが大切です。
箱のサイズを最適化する
積載率の向上には、配送する製品のサイズに合わせて箱の大きさを調整するのも有効です。トラックに積み込みやすくなり、積載率の向上や荷崩れの防止につながります。ただし、新しく箱を開発する場合はコストがかかる点に注意しましょう。
積載率の平準化を図る
車両ごとの積載率に乖離がある場合は、平準化によって会社が請け負う荷物の総量を増やし積載率を向上させる方法もあります。自社の運行計画や物流コストを踏まえて適切な積載率を算出し、平準化を図りましょう。
商品カテゴリーを集約する
積載率の改善には、商品カテゴリーを集約して同一のコンテナに入れられる商品の種類を増やすのも効果的です。無駄なスペースの削減につながり積載率の向上に役立ちます。
輸配送時の制約を緩和する
配送時の制約によって積載率の向上が難しい場合は、運送条件の変更に取り組みましょう。例えば時間や配送日指定の緩和、物量の調整などが考えられます。ただし、運送会社や物流会社だけでは実現が難しいため、荷主と交渉して協力してもらう必要があります。
配送管理システムを導入する
配送管理システムとは商品の出荷から配達完了までのプロセスを一気通貫で管理するシステムです。配送管理システムを導入することで配送ルートや車両の割り当てなどを最適化でき、適切な積載率を算出して運行管理に役立てられます。
積載率を向上させて効率的な配送を実現しよう
トラックの積載率は、会社の業績やドライバーの労働環境に大きな影響を与えます。適切な積載率を算出した上で平準化やカテゴリーの集約、荷主との協力、管理システムの導入などを行い効率的な配送を実現しましょう。
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