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モーダルシフトとは?国が支援する、物流の課題解決に役立つ運送方法

 

こんにちは。物流に関する知識をまとめたメディア「ピックゴー物流コラム」編集部です。

 
労働力不足やトラック輸送によるCO2の大量排出などの課題を抱える物流業界。これらの問題を解決する手段として、国が推進しているのが「モーダルシフト」と呼ばれる運送方法です。

 

今回は、モーダルシフトの基本的な知識と国が実施している支援策、モーダルシフトを導入するメリット・デメリットなどをご紹介します。輸送効率の向上やトラックドライバー不足にお悩みの場合は、ぜひ参考にしてください。

 

モーダルシフトとは?

 

モーダルシフトの意味

モーダルシフトとは、トラックを中心に行われている貨物輸送の一部に、環境負荷の少ない鉄道や船舶などの輸送方法を用いることを指す言葉です。トラックで直接目的地まで運ぶのではなく、転換拠点で輸送手段を鉄道や船舶に切り替えて輸送を行います。

 

国によるモーダルシフトへの支援

  • 物流総合効率化法による支援

「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律(物流総合効率化法)」とは、輸送効率の向上や環境負荷の低減を目的とした施策に取り組む事業者を支援する法律です。物流事業者は国土交通省に認定申請を行うことで、「モーダルシフト等推進事業費補助金」として、モーダルシフトの取り組みに対する計画策定経費や運行経費などが補助されます。

 

また、こちらの法律では運送する貨物を保管する営業倉庫に対して、法人税や固定資産税・都市計画税の減免制度も定めています。営業倉庫とは、他社の貨物を保管する倉庫業の営業を行うために、国土交通大臣の登録を受けた倉庫のことです。

 
  • グリーン物流パートナーシップ会議での表彰

グリーン物流パートナーシップ会議とは、物流事業の生産性向上や環境の負荷低減に資する取り組みを確認し、成功事例の共有を促進するための会議です。国土交通省と経済産業省が共同で開催しており、多くの企業や荷主が参加するだけでなく、取り組みについて功績が認められる優良事業者が毎年表彰されています。

 
  • 輸送障害時の車両移動の弾力化

国土交通省は、鉄道で輸送障害が発生し事業所からトラックを応援に向かわせる場合、従前の車両数の変更に伴う手続きについて、一定の条件を満たす場合は不要とする旨の通達を2015年に発出しました。この制度変更により、モーダルシフト導入時に輸送障害が発生した場合でも、柔軟に対応しやすくなっています。

 

モーダルシフトを導入するメリット

 

 

二酸化炭素(CO2)の排出を抑えられる

トラックや自動車などの営業用貨物を利用するよりも、鉄道輸送や海上輸送で荷物を運ぶほうがCO2の排出量が少ないとされています。具体的には、鉄道では92%、船舶では82%CO2の排出を抑えることが可能で、地球温暖化対策としての役割も注目されています。

 
【出典】:「運輸部門における二酸化炭素排出量」(国土交通省)
https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/environment/sosei_environment_tk_000007.html

 

一度に大量の荷物を輸送できる

モーダルシフトを導入し、貨物鉄道や船舶を利用することで、一度に荷物を大量輸送可能です。トラック輸送と比較して手配する車両数も少なくできるため、コスト削減も期待できます。

 

道路の混雑を解消につながる

トラック輸送を鉄道や船舶に切り替えることで、渋滞など道路の混雑の解決に役立つというメリットもあります。また、鉄道や船舶は渋滞がなく時刻表通り運行しやすいため、ジャストインタイム物流の実現にも効果が期待できます。

 

ドライバー不足の解消に役立つ

モーダルシフトを活用することで、最小限の労働力で大量の荷物を運ぶことができるため、物流業界が抱えるトラックドライバー不足の解消に役立ちます。労働力不足を解消できれば、ECサイトの普及により広がった、多頻度小口配送にも対応しやすくなるでしょう。

 

モーダルシフト導入時のデメリット

 

輸送のリードタイムが長くなりやすい

モーダルシフトは、輸送のリードタイムが長くなりやすい点が課題です。船舶を利用する場合は輸送時間が長くなり、駅や港湾では荷物の積み替え作業が発生するため、輸送量が多いほどリードタイムが長くなる傾向にあります。また、天候の影響を受けやすく、ダイヤが変更になるケースも少なくありません。サプライチェーンの安定のためには、代替輸送手段を用意しておく必要があります。

 

近距離・中距離輸送ではコストが割高になりやすい

大量輸送が可能な鉄道や船舶は、輸送距離によってはコストが割高になる可能性があります。特に、近距離・中距離輸送の場合は、コストが大きくなります。すべての荷物の輸送にモーダルシフトを取り入れるのではなく、トラック輸送との使い分けが重要です。

 

臨機応変に対応しにくい

鉄道や船舶を活用した輸送は、駅から駅や港から港に限られるため、臨機応変な対応が難しい点もデメリットです。目的地が駅や港ではない場合、別途トラックを手配してコンテナの積み替えを行う必要があります。

 

荷物の破損リスクがある

モーダルシフトを導入すると、コンテナの積み替え作業が発生するため、荷物の破損リスクが生じます。トラブルの原因によっては、荷主から損害賠償を請求される可能性もあります。

 

モーダルシフトの導入で労働力不足や環境問題の解決に取り組もう

 
モーダルシフトの導入は、依然として課題があるものの、労働力不足や環境問題などの物流業界が抱える問題解決の手段として注目を集めています。メリットやデメリットを理解したうえで、積極的に取り組んでいくのが望ましいでしょう。

 

配送マッチングプラットフォーム「ピックゴー」は、今後、軽貨物輸送の他に、飛行機や鉄道など多様な配送インフラネットワークを自社の配送機能として実装する「オンデマンド配送2.0」の強化に取り組んでいく予定です。モーダルシフトの導入にも役立ちますので、ぜひお問い合わせください。

 

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