
パレット輸送とは?現場が抱える課題と活用時のメリット・デメリット
こんにちは。物流に関する知識をまとめたメディア「ピックゴー物流コラム」編集部です。
荷物を輸送する方式の一つに「パレット輸送」と呼ばれるものがあります。物流における荷役、運搬、保管などの作業の効率化に役立つため、実際の現場では広く用いられています。
今回は、パレット輸送とはそもそも何かという基礎知識から、使用されるパレットの種類別の特徴、この輸送方式のメリット・デメリットまで解説いたします。ぜひ参考にしてみてください。
目次[非表示]
- 1.パレット輸送とは?
- 1.1.パレット輸送の概要
- 1.2.パレット輸送における課題
- 2.パレット輸送で使用されるパレットの主な種類
- 3.パレット輸送のメリット・デメリット
- 3.1.パレット輸送のメリット
- 3.2.パレット輸送のデメリット
- 4.パレット輸送に必要な大型車両の手配は「ピックゴー」におまかせ
パレット輸送とは?
パレットと呼ばれる荷役台を用いて輸送するパレット輸送。ここではその概要と、国内の物流業界が抱えている課題についてご紹介します。
パレット輸送の概要
パレット輸送とは、パレットと呼ばれる貨物を載せる荷役台を使った輸送方法のことを意味しています。フォークリフトを用いることが前提となっているため、パレットには複数の差込口があり、ここにフォークリフトのツメを差し込むことで、貨物をパレットごと搬送できるという仕組みです。このように、パレット単位で荷物の積み込み・輸送・荷降ろしなどの作業を行うことを「パレチゼーション」や「パレット方式」と呼びます。
もともとパレットは、従来は倉庫内での荷物の移動や保管の際に利用されていましたが、積み降ろしや荷役作業の効率化を目的として、輸送の際にも用いられるようになりました。
パレット輸送における課題
実は、日本国内ではパレットサイズの標準化があまり進んでおらず、問題となっています。パレットサイズについてはJISで規定された1100mm×1100mm(T11型)の利用が推奨されてはいますが、事業者ごとに独自サイズのパレットを使用しているケースが多いのが現状です。
輸送効率を最大化するためには、サプライチェーン全体でパレットの標準化を進めていく必要があります。
パレット輸送で使用されるパレットの主な種類
パレット輸送に欠かせない荷役台のパレット。実は素材や形状などさまざまな種類があり、それぞれ特性が異なります。ここでは主なパレットの種類についてご紹介します。
素材ごとの分類
- 木製パレット
木でできたパレットで歴史が古く、世界的にも多く使用されているタイプです。「他の素材と比べて比較的安価に購入できる」「破損しても補修しやすい」「荷物が滑りにくい」などのメリットを多く備えていますが、一方で湿気に弱く腐食しやすいため、長期保管にはあまり適さないというデメリットもあります。
- プラスチックパレット
先ほど述べた木製パレットに替わって、現在主流となりつつあるタイプのパレットです。プラスチック素材で耐久性や耐水性が高いため、木製パレットの弱点と言える湿気や衛生面での問題をクリアしやすく、あらゆる物流シーンで利用しやすいのが特徴です。また、加工技術の進歩により、強度の強さと軽量さを両立していて扱いやすいというメリットもあります。一方で素材の特性上、再利用が難しい点がデメリットです。
- 金属パレット
鉄やアルミニウムで作られたパレットで、スチールパレットとも呼ばれます。強度や耐久性、耐荷重量などの面では他の素材よりも優れていますが、その分パレット自体が重くてコストも高いため、一般的な物流現場ではあまり使用されていません。医療関係の器具の輸送や航空輸送など、強度が求められる状況で主に利用されています。
- 紙パレット
主にボール紙を素材にしており、ダンボールパレットとも呼ばれています。耐荷重量が低いわけではありませんが、強度や耐久性などは他の素材に劣るため、使い捨て(ワンウェイ)としての利用が前提となっています。その分、リサイクルしやすいため、環境保護の観点から採用する輸送業者もいます。
形状ごとの分類
- 平パレット
フラットな形をしたタイプでパレットの上部に特定の構造物はありません。すのこを重ねたような形状で、フォークリフトのツメを差し込むための空洞(差込口)を備えています。荷物の運搬・管理がしやすいため、もっとも多く利用されている形状のパレットです。一般的な平パレットのサイズはおよそ1.1m×1.1mの正方形で、厚みは15cmほどです。
- タンクパレット
液体を運ぶ際に使用される専用のパレットです。安全に運搬できるよう、タンクの側面は金属製の枠などで覆われています。
- シートパレット
特殊クラフト紙や合成樹脂で作られた、薄いシート状のパレットです。専用のフォークリフトを使って運搬する必要があり、袋状の荷物を運ぶ際によく利用されます。
- ボックスパレット
鉄製の網でつくった箱型のパレットで、運搬する荷物を中に入れて使用します。3面または4面の側板を装着しており、側板には取り外し式、折り畳み式、固定式などのタイプがあります。
- ロールボックスパレット
底面は板状かつ側面は柵で囲われたパレットで、下部には車輪が付いているため、押すだけで簡単に移動可能です。ロールパレットやカゴ台車とも呼ばれています。
パレット輸送のメリット・デメリット
作業の効率化に役立つパレット輸送には、メリットだけでなくデメリットもあります。パレット輸送が持つ特徴を理解したうえで、有効に活用しましょう。
パレット輸送のメリット
- 大量の荷物をスピーディーに輸送できる
まず、荷物をパレット単位で運搬できるため、量が多くても素早く効率的に輸送できるのが大きなメリットです。また、荷物をパレット単位でまとめておくことができるので、運搬だけでなく、管理や保管にかかる手間も省けます。加えて、パレットの上部には余計な構造物がないため視認性が良く、荷物の積み込みや積み降ろし時の見落とし防止にもつながります。
- トラック内の無駄なスペースを減らせる
パレットを使用することで、すべての荷物をほぼ同じ形やサイズの直方体に整えることができます。そのため、トラックに積み込む際も無駄なスペースを作りにくく、トラック1台あたりの積載率を向上させることができ、結果的に輸送費の削減にもつながります。
- トラックドライバーの負担軽減につながる
パレットの上に一度荷物を載せてしまえば、そのまま荷物を移動させられるようになるため、倉庫の出し入れや積み込み・積み降ろしをいちいち手作業で行う必要がありません。そのため、ドライバーの体への負担を軽減でき、作業時間の削減にもつながります。パレット上に置いたままでも安定性を保てるため、保管時の手間も軽減できます。
- 荷物の破損リスクの低減に役立つ
手作業と比べて荷物の積み込み・積み降ろしの回数が少なくなるため、荷物の破損・汚損のリスクが低くなります。また、手作業の場合は荷物の特定箇所に強い力が加わってしまって破損につながることがありますが、パレットであればその心配はありません。
パレット輸送のデメリット
- フォークリフトが必要になる
これまで述べてきたように、パレットにはフォークリフト用の差込口があるなど、フォークリフトの使用が前提となっています。そのため、納品先にフォークリフトがない場合には利用しにくく効率的ではありません。手作業で少量の荷物を積み込み・積み降ろしする場合にはパレットのメリットは少なく、ダンボールのまま納品したほうが効率的なことがあります。
- 回収の手間がかかる
基本使い捨て(ワンウェイ)である紙パレットを除き、通常、パレットは荷物の輸送後に回収されます。運送業者に回収してもらうことも可能ですが、基本的に追加料金がかかってしまいます。なお、使用後の回収まで行ってくれるレンタルサービスもあります。
- 荷崩れのリスクがある
フォークリフトを使ってパレット輸送しているときに、揺れが起こって荷崩れを引き起こすリスクがあります。また、一般的なパレット輸送では、荷物は保護のためラップで包装されますが、その包装を外す際にも荷崩れが起きてしまうこともあります。
- 保管に広いスペースが必要になる
パレットは便利ですが、保管時に大きなスペースを取ってしまい、狭い工場や倉庫などでは作業スペースに困りがちです。フォークリフトのスムーズな稼働にも十分なスペースが必要になるため、倉庫自体が広いことが重要になります。
パレット輸送に必要な大型車両の手配は「ピックゴー」におまかせ
今回は、パレット輸送の概要と課題、使用されるパレットの主な種類などについてお伝えしました。パレットは作業の効率化に役立つ半面、フォークリフトの使用や広いスペースでの利用が前提となっています。パレット輸送の特性を理解したうえで、上手に活用していきましょう。
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