
生産管理とは?製造現場が抱える課題と解決に役立つシステム
こんにちは。物流に関する知識をまとめたメディア「ピックゴー物流コラム」編集部です。
生産管理は製造現場における重要な業務のひとつです。機能的な生産管理体制を構築することで、業務効率の改善や製品の品質向上につながります。しかし、生産管理の業務内容は多岐にわたるため、課題を抱えている企業も少なくありません。
今回は、製造現場が直面している生産管理の課題や、解決に役立つシステムをご紹介します。生産管理に取り組む際の業務フローも解説しますので、これから生産管理体制を構築しようと考えている場合もぜひご確認ください。
目次[非表示]
- 1.生産管理の基礎知識
- 1.1.生産管理とは?
- 1.2.生産管理と製造管理との違い
- 2.生産管理の具体的な業務フロー
- 3.生産管理における主な課題
- 3.1.正確な需要予測が難しい
- 3.2.部署間の調整で板挟みになりやすい
- 3.3.トラブルへの臨機応変な対応が必要になる
- 3.4.業務負荷の可視化・平均化が難しい
- 4.生産管理を効率化する主な方法
- 4.1.生産管理システムの導入
- 4.2.MESの利用
- 4.3.ERPの利用
- 4.4.生産スケジューラの導入
- 5.生産管理を機能させて生産性の向上につなげよう
生産管理の基礎知識

メーカーなどものづくりの現場では、自社商品の競争力向上や業務効率の改善を目的に、生産管理が実施されています。こちらでは、生産管理の概要や製造管理との違いをご紹介します。
生産管理とは?
生産管理とは、生産の諸要素(人、物、設備、金、情報)に関する計画・目標・指示を立案し、適切に管理する業務全般を指す用語で、製造業をはじめとしたさまざまな業種で使用されています。具体的には、生産計画の立案、生産スケジュールに基づいた原材料の調達、進捗管理、品質検査などの業務が該当します。生産管理を徹底することで、QCDの最適化につながるのがメリットです。QCDとは、品質(Quality)、コスト(Cost)、納期(Delivery)を表す英語の頭文字を組み合わせたもの。QCDの最適化は顧客満足度、売上アップのためにも重要な視点です。
生産管理と製造管理との違い
製造管理とは、製品の生産工程を計画・チェックする業務のことで、工程管理と呼ぶこともあります。製造管理の対象は、生産スケジュールの立案や納期管理といった工程の管理に限られるため、製造管理は生産管理の一部分といえます。
生産管理の具体的な業務フロー

生産管理の業務は、ライン生産や受注生産など、企業の生産方式によって異なるのが特徴です。そして、業務の効率化や品質の向上、コスト削減を実現するには、生産管理の業務フローに対する適切な理解が欠かせません。以下では、生産管理の主な仕事内容や業務フローについて解説します。
需要予測
需要予測とは、さまざまなデータをもとに製品の需要を予測する業務です。具体的には、過去の受注状況、季節、販売計画、工程計画、他社製品の売れ行きなどのデータを参照します。供給不足による機会損失や供給過多による過剰在庫などのリスクを減らすためには、精度の高い需要予測が求められます。
生産計画
生産計画は生産する製品の情報を整理し、数量やタイミング、生産期間などを検討する業務です。需要予測を踏まえて、必要となる資材や作業員についても確認しておく必要があります。
調達・購買計画
調達・購買計画とは、資材や部品の調達計画を立て、実際に確保する業務のこと。供給不足による製造ラインのストップや過剰在庫によるキャッシュフローの悪化を防ぐためには、生産スケジュールに沿って適切に資材や部品を調達する必要があります。
生産実施・制御
生産実施・制御は実際に製品を生産し、工程計画通りの進行を統制する業務です。製造管理や生産統制と呼ぶ場合もあります。製造管理については生産管理部門が行わず、製造部門で担当している会社も少なくありません。そのため、生産管理部門と製造部門の間で緊密な関係を築いておくことが重要です。
品質管理
品質管理とは、完成した製品の品質チェックや不良品対応を行う業務です。正しい資材や工程で製造されているか、部品数は合っているか、加工が適切かなど、さまざまなポイントから製品の品質を確認する必要があります。不良品が発生した際は、原因の究明や同一ロット・製造日の製品の特定、場合によっては工場のラインをストップさせることもあります。
在庫管理
在庫管理はタイミングに応じて商品を必要な量だけ出荷できる状態になるよう、在庫を適切に維持・管理する業務のこと。生産スケジュールの遅れや製品の売れ行きなどを考慮して、生産計画の見直しを行い、在庫量が増減しすぎないように調整します。
生産管理における主な課題

生産管理の重要性は理解しているものの、業務内容が多岐にわたることから徹底が不十分な企業も少なくありません。こちらでは、生産管理が十分に行えていない会社が抱える主な課題や悩みの例をご紹介します。
正確な需要予測が難しい
顧客の需要には市場外の要因も影響するため、正確な予測が難しい傾向にあります。特に新製品に関する需要予測は、データが十分に集まっていないケースも多く、専門的なノウハウやマーケティングスキルを持った人材がそろっていても作業が難航するおそれがあります。データの分析方法は、製品の特性に応じて柔軟に変更することが大切です。
部署間の調整で板挟みになりやすい
生産管理部門は、部署間の調整役になる機会が多く、板挟みになってしまうことも。具体的には、営業部門からのリードタイム短縮の要望に対して開発部や製造部が拒否反応を示す場面や、不良品発生時の責任の所在を調査するシーンなどが考えられます。双方の意見を聞いた上で適切なソリューションを提示する必要があるため、生産管理部門の人材には高いコミュニケーション能力と問題解決能力が求められます。
トラブルへの臨機応変な対応が必要になる
製造の現場では、設備トラブルや不良品の発生、突然の大量受注への対応など、商品の品質に影響を与えるさまざまなトラブルが発生します。生産管理部門は社内の従業員や工場の作業員の負担、顧客への納期などを考慮して、こうしたトラブルに対処する必要があります。商品や製造過程に対する深い知見だけでなく、経営者的な視点も求められることから、生産管理が機能していない企業もあるようです。
業務負荷の可視化・平均化が難しい
生産管理業務では、生産ラインの能力に応じて工程計画を作成する必要があります。しかし、実際は業務負荷をリアルタイムで可視化・平均化するのは難しく、特定の生産ラインの負担が大きくなるケースも少なくありません。その結果生じた従業員や作業員の不満は、すべて生産管理部門に向けられます。
生産管理を効率化する主な方法

生産管理業務を効率化するには、専門的なノウハウや経験を持つ人材の育成に加えて、業務をサポートするシステムの導入が効果的です。以下では、生産管理の効率化に役立つシステムをご紹介します。
生産管理システムの導入
生産管理システムは製造現場における納期、在庫、工程、原価を総合的に管理できるシステムです。生産管理で求められる業務をITで実現したものであり、各業務プロセスの情報を一元管理することで、生産性向上やコスト削減が期待できます。生産管理は複数の部署・業務にまたがって行われるため、生産管理システムを導入する際は、目的を明確にし、全社的に取り組む必要があります。また、社内で利用している顧客管理システムや販売管理システムと連携できるツールやソフトを選ぶと、混乱なく生産管理を機能させることが可能です。
MESの利用
MESとは、製造工程の管理や作業者への指示などを行うシステムのこと。「Manufacturing Execution System」の略語で、日本語では「製造実行システム」と訳されます。生産ラインの一つひとつの工程と連携できるため、一般的な生産管理システムと比べて、現場の状況を把握しやすいのが特徴です。スムーズな生産体制の確立や限られた生産資源での現場の最適化などに役立ちます。
ERPの利用
ERPは「Enterprise Resource Planning」の頭文字をとった略語で、「総合基幹業務システム」や「経営資源計画」を意味します。企業資源を適切に分配し、有効活用するために導入されるケースが一般的です。ERPには、人事管理や在庫管理、販売管理などのシステムがパッケージングされているため、それぞれを分けて導入するより効率的な運用が可能になります。
生産スケジューラの導入
生産スケジューラとは、自社の生産システムや人員、設備などをもとに、生産計画の立案やスケジュールの見える化などを行うシステムです。生産管理システムにも同様の機能は搭載されていますが、生産スケジューラではより詳細な設定が可能です。具体的には、分・秒単位での工程計画の立案、設備の数に応じたシフトの設定などを行えます。そのため、限られた企業資源での効率的な作業体制の構築に役立ちます。
生産管理を機能させて生産性の向上につなげよう

今回は、生産管理業務が果たす役割や業務フロー、多くの企業が抱える悩みについて解説しました。生産管理には課題もあるものの、うまく機能させることができれば、生産性の向上や製品の品質アップが期待できます。不足している部分がある場合は、生産管理システムやERPの導入がおすすめです。生産管理部門の機能不全を防止できるものを選びましょう。
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