
理論在庫とは?実在庫との差異が生じる原因、ズレを小さく抑えるコツ
こんにちは。物流に関する知識をまとめたメディア「ピックゴー物流コラム」編集部です。
理論在庫や実在庫は、在庫管理や棚卸作業が必要な現場で重要視される指標です。特にEC事業や倉庫業を営む事業者の場合、理論在庫と実在庫のズレが企業の売上や顧客からの評判につながるケースも少なくありません。
そこで今回は、理論在庫の概要や実在庫とのズレが生じる原因、両者の差異を小さく抑えるコツをわかりやすくまとめて解説します。この機会に理論在庫の適切な知識を身につけ、在庫管理の効率化や適正化に活用しましょう。
目次[非表示]
- 1.理論在庫とは?
- 1.1.理論在庫の意味
- 1.2.理論在庫と実在庫の違い
- 2.理論在庫と実在庫の差異の主な原因
- 2.1.仕入先のミス
- 2.2.商品のカウントミス
- 2.3.データ登録時の作業ミス
- 2.4.データ更新時のタイムラグ
- 2.5.紛失や盗難
- 2.6.棚卸時の作業ミス
- 3.理論在庫と実在庫の差異を小さく抑えるコツ
- 3.1.在庫管理システムや倉庫管理システム(WMS)を導入する
- 3.2.ダブルチェックを徹底する
- 3.3.倉庫内のセキュリティ強化に取り組む
- 3.4.棚卸の方法を見直す
- 4.理論在庫と実在庫を適切に管理して棚卸差異を最小限にしよう
理論在庫とは?
理論在庫は、棚卸や在庫管理における重要な数字です。ここでは理論在庫の意味や実在庫との違いについて解説します。
理論在庫の意味
理論在庫とは商品の入荷数と出荷数から計算されるデータ上の在庫数のこと。帳簿在庫や伝票在庫とも呼ばれます。例えば800個商品を入荷して500個出荷した場合、理論在庫は300個と算出されます。理論在庫は、新たな商品の入荷や倉庫内の移動、不良品の発見などに伴い増減します。
理論在庫と実在庫の違い
実在庫とは倉庫内や小売の店舗、工場などで目視によって確認できる実際の在庫のことです。理論在庫と実在庫にズレが生じることを棚卸差異(在庫差異)と呼びます。棚卸差異が大きくなるとさまざまな問題が生じます。例えば理論在庫より実在庫が多い場合は、過剰在庫によるキャッシュフローの悪化や在庫管理コストの増大、処分費用の発生など。理論在庫より実在庫が少ない場合は、販売機会の損失による売上の減少や在庫不足による顧客満足度の低下などが懸念されます。
理論在庫と実在庫の差異の主な原因
物流の現場では理論在庫と実在庫の差異が頻繁に見られる場合もあります。ここではその原因を確認します。
仕入先のミス
仕入先が商品を納入する際に予定とは異なる数を納品したケースです。例えば300点の入荷予定に対して298点や302点納品した場合などが該当します。本来は入荷時の検品作業で判明するものですが、繁忙期などで丁寧に確認せず、納品書の内容をそのまま信じてしまうと棚卸差異につながる可能性があります。
商品のカウントミス
商品の入出荷時や在庫を移動する際に商品点数を数え間違えるケースです。生じる棚卸差異は比較的小さいものの、何度も繰り返しているといつの入荷でズレが生じたのかを究明することが難しくなります。
データ登録時の作業ミス
商品点数をカウントした後、データに反映させる際に担当者が入力ミスをするケースです。具体的には数字や桁を打ち間違えたり、入力を忘れたりするのが原因です。入力ミスは、理論在庫と実在庫のズレが大きくなる傾向にあります。
データ更新時のタイムラグ
商品と伝票の動きが一致しておらず、データ更新・変更時にタイムラグが生じるケースです。例えば商品を入荷して数日後に納品書を受け取る場合、入荷処理のタイミングによっては理論在庫と実在庫に差異が生じます。
紛失や盗難
担当者や関係者が在庫品を持ち出して紛失したり、盗み出したりするケースです。過去には転売目的で自社倉庫から商品を持ち出した事例などもあります。実在庫が理論在庫より必ず少なくなる場合は、紛失や盗難を念頭に調査を行いましょう。
棚卸時の作業ミス
実在庫と帳簿上の在庫にズレがないか調べる際に担当者がミスをするケースです。例えば商品バーコードの読み取り漏れや二重カウントなどがあると棚卸差異が生じます。
理論在庫と実在庫の差異を小さく抑えるコツ
棚卸差異が増大している場合は、売上への影響や確認作業の増加による業務効率の低下などが懸念されます。そこで次は、理論在庫と実在庫の差異を小さく抑えるコツをご紹介します。
在庫管理システムや倉庫管理システム(WMS)を導入する
在庫管理システムとは在庫情報や入出庫情報を記録・管理し、在庫の過不足を削減するシステムのこと。また倉庫管理システムは、部品や完成品の保管、入出庫の管理など倉庫作業全般をマネジメントするために利用されるツールを指します。
在庫管理システムや倉庫管理システムは、ハンディターミナルと組み合わせることで商品のバーコードやQRコードを読み取るだけでシステム上に在庫データを反映できます。商品点数のカウントやデータへの入力作業などが不要になり、ヒューマンエラーによるミスを減らせるでしょう。
ダブルチェックを徹底する
見逃しや思い込みによるミスが頻発している場合は、作業ごとに別のスタッフを配置して二重・三重でチェックを行うのが効果的です。例えば商品を出荷する際のピッキングや梱包は同一のスタッフが行うと慣れによるミスが発生しやすいため、作業員を分けることでチェック体制を厳しくしましょう。
倉庫内のセキュリティ強化に取り組む
紛失や盗難が発生している場合は、倉庫内のセキュリティを見直しましょう。具体的には入退室管理のシステム化や防犯カメラの設置などの対策が考えられます。また就業規則や倉庫業務におけるルールを見直し、持ち出しや盗難が判明した場合の処分について明記することも大切です。
棚卸の方法を見直す
差異が大きい場合は、棚卸の方法を再検討するのも良いでしょう。具体的には棚卸を行う間隔を短くすることでミスに早めに気づけるようになり、棚卸差異の拡大を防止できます。商品数が多く棚卸サイクルの短期化が負担になる場合は、棚卸の範囲を限定して実施するだけでも十分な効果が見込めます。
理論在庫と実在庫を適切に管理して棚卸差異を最小限にしよう
理論在庫はあくまでデータ上の在庫ではあるものの、実在庫とのズレが大きくなるとさまざまな弊害をもたらすため、適切な管理が必要です。在庫管理システムの導入やダブルチェックの徹底、倉庫内のセキュリティ強化などに取り組み棚卸差異を最小限に抑えましょう。
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