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軽貨物ドライバー必見!インボイス制度の影響・対応方法を詳しく解説

インボイス制度がはじまったことにより、各業界で登録をはじめた企業や個人事業主も少なくはありません。配送業界でもインボイス制度の活用が順次進んでおり、軽貨物ドライバーとして仕事をしている方も対象となります。
しかし、個人事業主として軽貨物ドライバーの仕事をしている方は「インボイス制度に登録するべきかわからない」という悩みもあるでしょう。
当記事では、軽貨物ドライバーの方に向けてインボイス制度の詳細から影響、メリット・デメリット、対応方法まで詳しく解説します。


目次[非表示]

  1. 1.インボイス制度とは
  2. 2.運送企業のインボイス対応事例
    1. 2.1.佐川急便
    2. 2.2.ヤマト運輸
  3. 3.軽貨物ドライバーが受けるインボイス制度の影響
  4. 4.インボイス制度におけるメリット・デメリット
    1. 4.1.免税事業者のメリット・デメリット
    2. 4.2.課税事業者のメリット・デメリット
  5. 5.軽貨物ドライバーがインボイス制度へ加入する方法
  6. 6.軽貨物ドライバーがインボイス制度を活用するポイント
    1. 6.1.適格請求書発行事業者の登録
    2. 6.2.取引先の事業者状況の確認
  7. 7.軽貨物ドライバーがインボイスを発行する方法
    1. 7.1.インボイス制度の負担軽減措置について
  8. 8.軽貨物ドライバーがインボイス制度へ加入するときの注意点
  9. 9.インボイス制度に関するよくある質問
    1. 9.1.Q.1:インボイス登録センターからインボイスを登録するにはどうすればいい?
    2. 9.2.Q.2:インボイス制度の登録に費用はかかる?
    3. 9.3.Q.3:インボイス制度の登録期間を過ぎたらどうなる?
  10. 10.まとめ


インボイス制度とは

インボイス制度とは、消費税の仕入税額控除の方式の1つです。仕入税額控除とは「消費税を算出する際に課税売上の消費税額から課税仕入れの消費税額を差し引く」ことで、課税事業者(売り手側)が発行する請求書や納品書などに記載された税額のみを仕入税額控除できる制度となっています。
2023年10月1日から日本でインボイス制度が導入されるようになり、税制改正によって提出期限が延長されて9月30日まで受付が延長されました。
2023年9月30日までは帳簿方式が採用されていましたが、事業者の帳簿に記載された納付税額算出方式であったため、正確な適用税率や消費税額などを計算することが困難でした。
一方インボイス方式は、売り手側の事業者が発行する請求書や納品書などに基づいた納付税額を算出します。正確な納税が出来るため、売り手側が無駄な税金を国に支払う必要がなくなります。


運送企業のインボイス対応事例

大手運送企業でも、すでにインボイス制度への登録がはじまっています。
こちらでは、国内の代表的な企業である佐川急便とヤマト運輸のインボイス対応について詳しく紹介します。これからインボイスの登録を検討している方は、ぜひ参考にご覧ください。


佐川急便

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佐川急便では、2023年10月1日にインボイス制度の登録が完了しています。適格請求書発行事業者として登録されており、登録番号も発行済みです。
送り状には、佐川急便の登録番号と適用税率が追記されています。不特定多数が利用でき、ご依頼主控を適格簡易請求書として発行可能です。


ヤマト運輸


ヤマト運輸では適格請求書発行事業者として登録をしており、インボイス制度に対応しています。すでに登録番号を発行しているため、仕入税額控除の手続きに対して適格請求書の発行が可能です。
インボイス制度支援ソリューションを展開し、企業や個人事業主のインボイス登録サポートも行なっています。また送り状には適用税率の記載と登録番号が追加されており、従来と同じように送り状を利用できるようになっています。


軽貨物ドライバーが受けるインボイス制度の影響


個人事業主の軽貨物ドライバーは、インボイス制度によってさまざまな影響を受けます。
そもそも年間売上が1,000万円以下の個人事業主は、免税対象者になるので消費税を国に支払う必要はありません。
インボイス制度がはじまった現在でも該当の個人事業主が免税対象者であることに変わりはありませんが、そのままでは取引先がインボイスを発行することができません。すると取引先が余分な消費税額を国に支払わなくてはいけないため、負担が徐々に増えていきます。
例えば荷主から税込5,500円の仕事を依頼された場合、受け取った運送会社は消費税500円を国に納税しなくてはいけません。そして運送会社から軽貨物ドライバーに税込4,400円で依頼すると、軽貨物ドライバーは消費税400円を国に納税する必要があります。
インボイス制度に登録していれば仕入税額控除を利用して、軽貨物ドライバーに支払った消費税を差し引けるので500円分だけの負担で済みます。
しかし、軽貨物ドライバーがインボイス制度に登録していなければ、運送会社が消費税400円分を負担しなければならず二重課税となってしまうのです。結果的に運送会社は負担を減らすためにインボイス制度へ登録している個人事業主を優先して受注する流れとなるので、登録が済んでいないドライバーの案件が減ってしまいます。
運送会社と個人事業主のどちらにとっても不利益な状況になることから、インボイス制度の影響は大きいものになっていると言えるでしょう。


インボイス制度におけるメリット・デメリット


インボイス制度の登録が進むなかで、免税事業者と課税事業者にはそれぞれメリットとデメリットがあります。場合によっては、免税事業者のまま軽貨物ドライバーを続けることが有益になることもあるのです。
良い点と悪い点をチェックしながら、インボイス制度に登録をすべきか判断してください。


免税事業者のメリット・デメリット

まず免税事業者のメリットとしては、消費税が国から免税される点にあります。
個人事業主は年間売上が1,000万円以下であれば消費税を支払う必要がないため、消費税をそのまま収益にできます。
しかし、インボイス制度がはじまってから依頼側の消費税負担が大きくなっているので、案件数の減少や報酬の減額になるデメリットもあるでしょう。免税事業者の軽貨物ドライバーが生き残りづらくなる可能性も高いです。


課税事業者のメリット・デメリット

インボイス制度に登録している課税事業者であれば、取引先に対してインボイスを発行できるメリットがあります。
消費税を納めた売上高1,000万円以上の事業者とやり取りができるようになるため、やり方次第で高い利益を獲得することも可能です。
しかし、インボイス制度に登録すると課税事業者になるので、経理作業をしなくてはいけません。国税庁が認めた請求書を発行しなければならず、確定申告のときにインボイスの消費税分を支払う必要があります。
また、消費税分を自身で負担しなければいけないため、回収できる利益が少なくなってしまいます。消費税の負担を減らしたいときは、後述で解説する負担軽減措置を理解しておきましょう。


軽貨物ドライバーがインボイス制度へ加入する方法

それでは、軽貨物ドライバーがインボイス制度へ加入する方法について説明していきます。まずインボイス制度へ加入する条件は、個人事業主として課税事業者になっていることです。
免税事業者のままではインボイス制度へ加入できないため、注意しておきましょう。まだ個人事業主として開業が済んでいない場合、以下の流れで加入します。


  1. 開業届を提出:開業届は管轄の税務署で提出可能
  2. 黒ナンバーの取得:軽バンの黒ナンバーを取得
  3. インボイス登録センターから登録:電子申請もしくは郵送


以上の手順で、インボイス制度へ加入できます。
開業届を提出するタイミングは、開業したい日の1ヶ月以内が目処となっています。マイナンバーカードを所持しているなら、インターネットから開業届を提出可能です。
インターネットで開業届を提出する場合、国税庁のe-taxから登録できます。e-taxから登録するときは、スマホもしくはICカードリーダライタ、利用者識別番号を用意しておきましょう。
電子申請の場合、2週間程度でインボイスの登録番号が通知されます。13桁以下の番号が課税事業者としての番号になるため、大切に保管しておきましょう。


軽貨物ドライバーがインボイス制度を活用するポイント


軽貨物ドライバーがインボイス制度を活用するときは、以下のようなポイントをチェックしてください。


  • 適格請求書発行事業者の登録
  • 取引先の事業者状況の確認


それでは詳しく説明します。


適格請求書発行事業者の登録

課税事業者としてインボイス制度の登録ができたとしても、適格請求書発行事業者の登録が済んでいなければ適格請求書を発行できません。
適格請求書発行事業者の登録には、税務署に登録申請書を提出する必要があります。登録申請書を提出後、税務署の審査を終えて登録と公表・登録簿への登載が必要です。登録申請書の提出時には、消費税課税事業者選択届出書も合わせて用意しておきましょう。


取引先の事業者状況の確認

軽貨物ドライバーの事業で仕入れが必要な場合、取引先が免税事業者か課税事業者かを確認する必要があります。
課税事業者であれば仕入税額控除を受けられるため、自身の負担をなくせます。
もし取引先が免税事業者であっても、2023年10月1日から3年間は消費税額の8割を仕入税額控除できます。取引先の事業者状況によって消費税の負担額が変動するので、事前にチェックしておくようにしましょう。


軽貨物ドライバーがインボイスを発行する方法

軽貨物ドライバーが適格請求書を発行するには、適格請求書発行事業者であることが前提です。取引先に適格請求書を発行するときは、以下の項目を記載してください。

  • 適格請求書発行事業者の氏名・登録番号
  • 取引年月日
  • 取引内容
  • 税率ごとに区分して合計した金額・適用税率
  • 税率ごとに区分した消費税額等
  • 書類の交付を受ける事業者の氏名もしくは名称


上記項目を記載することで、領収書や仕入明細書を適格請求書として扱えます。


インボイス制度の負担軽減措置について

インボイス制度では、納税者の消費税負担をおさえるために負担軽減措置が用意されています。負担軽減措置の特徴は、以下の2点です。


  1. インボイス制度の開始から3年間は2割負担
  2. 仕入額の1万円未満はインボイスの保存が不要


1点目について、2023年10月1日からはじまったインボイス制度は、納税すべき税金額を20%の負担のみで済ませられるという内容です。
例えば年間の売上高が500万円であれば、基本的に消費税の50万円を国に納める義務があります。ただし、負担軽減措置の期間(2023年10月から2026年9月)内であれば、50万円の20%である10万円のみを納めることになります。
2点目については、1回の取引で仕入れ額が1万円未満であればインボイスの保存が不要という点です。こちらはインボイス制度の開始から6年間有効になっているため、納税者の負担を大きくおさえられます。
このように一定期間内であれば負担軽減措置によって、納税額をおさえられることを理解しておきましょう。


軽貨物ドライバーがインボイス制度へ加入するときの注意点


軽貨物ドライバーがインボイス制度へ加入するときは、適格請求書の記載項目とインボイス書類の保存期間に注意しておきましょう。
適格請求書の記載には決められた項目があるため、間違いがないように記載しなくてはいけません。もし正確な記載がされていなければ、買い手側が仕入税額控除を受けられない原因となります。
また、インボイスの書類は7年間の保存が義務付けられています。理由としては、納税額を調査するときに記載されている書類が必要になるからです。
個人事業主は書類管理も必要になるので、面倒がらずに正しく整理しておきましょう。


インボイス制度に関するよくある質問


最後にインボイス制度に関する質問について、いくつか回答します。
インボイスの疑問をなくすためにも、ぜひ参考にご覧ください。


Q.1:インボイス登録センターからインボイスを登録するにはどうすればいい?

インボイス登録センターを利用するときは、必要な書類を郵送します。
国税庁のページから書類をダウンロードできるため、ぜひチェックしてください。
参考URL:国税庁「適格請求書事業者の登録申請」


Q.2:インボイス制度の登録に費用はかかる?

インボイス制度の登録は、費用は一切かかりません。
登録に郵送を選ぶときは切手が必要になるため、自身で負担するようにしましょう。


Q.3:インボイス制度の登録期間を過ぎたらどうなる?

インボイス制度は、登録期間を過ぎても手続きができます。
ただし、税務署からインボイスの登録番号を通知してもらう必要があり、登録期間以降は届くのが遅くなる可能性が高いです。


まとめ

今回は、軽貨物ドライバーの方に向けてインボイス制度の詳細から影響、メリット・デメリット、対応方法まで詳しく解説しました。
インボイス制度の登録は必ず必要であるわけではありませんが、取引先と良好な関係を継続するためには手続きをしておくことが大切です。ただし、課税対象者として消費税の負担が増えるため、個人事業主にはメリットとデメリットがあることを理解しておかなくてはいけません。
インボイス制度に登録せずに事業を続けることもできるので、自身の状況に合わせて手続きを検討することをおすすめします。インボイス制度の登録を行いたいときは、ぜひ当記事で紹介した手順を参考にしながらはじめてください。

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