
物流業界で使用されるKPIとは?計算方法もご紹介
こんにちは。物流に関する知識をまとめたメディア「ピックゴー物流コラム」編集部です。
物流は国民の生活基盤を支える重要な存在です。しかし、物流業界は慢性的な人手不足や燃料価格の高騰などに悩まされています。そのような状況を打破するためには、「物流KPI(物流管理指標)」を導入し、経営の効率化・高度化を図ることが大切です。
今回は物流KPIの概要や業界における重要性を解説し、国土交通省が物流事業者に勧めている代表的なKPIの指標と計算方法を紹介します。ぜひ、自社の運行効率の管理や輸送品質の向上にお役立てください。
目次[非表示]
- 1.物流事業におけるKPIの重要性
- 2.実際に利用されている物流KPIと計算式
- 2.1.コスト・生産性
- 2.2.品質・サービスレベル
- 2.3.物流条件・配送条件
- 3.物流KPIを導入して業務の効率化を図ろう
物流事業におけるKPIの重要性
KPIとは?
KPIとは「Key Performance Indicator」の略であり、「重要業績評価指数」と翻訳される言葉です。物流業界に限らず、事業を行う際は売上や利益、顧客数などの目標を設定するのが一般的です。これをKGI(Key Goal Indicator)、「重要目標達成指数」と呼びます。
しかし、漠然とした目標を設定しただけでは、現在どの程度達成しているのか、何が足りないのかなどの現状確認が難しくなります。目標に対する達成度を可視化できなければ、経営の意思決定にも影響を与えるでしょう。
そのような事態を防ぐには、目標の達成度合いを計測するための中間的な指標を設けるのが良いとされています。その役割を担っているのがKPIです。たとえば営業部門では、「訪問件数」や「受注件数」をKPIとして設定し、達成状況を確認することで最終目標の達成度合いの計測に役立てています。
物流KPI
顧客のもとへ商品やサービスを届けるには、物流管理を行う必要があります。適切な物流管理が行われているかを判断する指標が、「物流KPI(物流管理指標)」です。物流業界では、主に以下の3点についてKPIを設定し、管理の適切性を判断します。
- コスト・生産性
- 品質・サービスレベル
- 物流条件・配送条件
実際に利用されている物流KPIと計算式
こちらでは、物流KPIとして導入するべき指標と算出する際の計算式を、国土交通省が発表した「物流事業者におけるKPI導入の手引き」をもとにご紹介します。自社のケースに当てはめ、どれを導入するか検討してみてください。
【出典】「(概要版)物流事業者におけるKPI導入の手引き」(国土交通省)
https://www.mlit.go.jp/common/001098638.pdf
コスト・生産性
- 保管効率
物流センターや倉庫、向上などの保管スペースを、どの程度効率良く使用できているかを示すKPIです。以下の計算式で算出されます。
★保管効率=保管間口数÷総間口数
- 人時生産性
ピッキングや仕分け、梱包など庫内作業の生産性を確認する際に使用する指標です。従業員一人ひとりの生産性を測る際にも役立ちます。人時生産性は以下の計算式で算出されます。
★人時生産性=処理ケース数÷投入人時
- 数量当たり物流コスト
物流センターで発生する物流コストについて、数量当たりで管理する際に使用するKPIです。計算式は以下の通りです。
★数量当たり物流コスト=物流コスト÷出荷数量(ケース、重量、容積等)
- 日次収支
四半期や年次単位ではなく、日次単位で収支を算出する際に用いられるKPIです。車両1台ごとに算出することもできます。計算式は以下の通りです。
★日次収支=1日当たりの収益−1日当たりのコスト
- 実車率
車両の稼働状況を確認する際に使用する指標です。荷物を積んでいない状態で稼働する、空車走行を減らすために役立ちます。実車率の算出方法は以下の通りです。
★実車率=実車キロ÷走行キロ
- 実働率
日数を用いて稼働状況を確認するKPIです。稼働していない車両を減らすために活用されます。実働率の計算方法は以下の通りです。
★実働率=実働日数÷営業日数
- 積載率
車両の許容積載量に対して、実際にどの程度荷物を載せたかを確認する指標です。輸送効率の改善やルートの見直しに役立ちます。計算方法は以下の通りです。
★積載率=積載数量÷積載可能総数(重量、容積、容積換算重量)
品質・サービスレベル
- 棚卸差異率
帳簿在庫と実在庫の差異を確認するためのKPIです。紛失や盗難、誤出荷などの実態を把握し、在庫管理の改善に活用します。棚卸差異は以下の計算式で算出されます。
★棚卸差異率=棚卸差異÷棚卸資産総数
- 誤出荷率
誤出荷の発生率を確認する際の指標です。計算方法は以下の通りです。
★誤出荷率=誤出荷発生件数÷出荷指示数(受注数等)
- 遅延・時間指定違反率
納品遅れや時間指定違反の発生率を確認する際に利用するKPIです。以下の計算式で算出されます。
★遅延・時間指定違反率=遅延・時間指定違反発生件数÷出荷指示数(受注数等)
- 汚破損率
商品の汚れや破損などの発生率を確認する際の指標です。計算方法は以下の通りです。
★汚破損率=汚破損発生件数÷出荷指示数(受注数等)
- クレーム発生率
輸送にともなう顧客からのクレーム発生率を確認する際に利用するKPIです。計算方法は以下の通りです。
★クレーム発生率=クレーム発生件数÷出荷指示数(受注数等)
物流条件・配送条件
- 出荷ロット
出荷数量や重量のことで、顧客や納品先ごとに計測することで、輸送や庫内作業の効率化につながります。
- 出荷指示遅延件数
納品期日を過ぎてから出荷指示を出した件数を計測するKPIです。輸送遅延を改善するために活用されます。
- 配送頻度
顧客や納品先ごとの配送頻度を計測するものです。配送頻度を見直すことで、車両の稼働効率の適正化や庫内作業の効率化を目的としています。計算方法は以下の通りです。
★配送頻度=配送回数÷営業日数
- 納品先待機時間
納品先に到着した後、待機している時間を平均化したものです。時間通りに到着したにもかかわらず、待機時間が生じている場合は、何らかの対策を施す必要があります。
- 納品付帯作業時間
納品時に生じた付帯作業の時間を平均化したものです。開梱や棚入れ、検品といった契約外作業の発生状況を確認でき、契約内容の見直しなどの対策を講じることができます。
- 納品付帯作業実施率
納品回数に対して、どの程度付帯作業を実施しているかを確認するKPIです。納品付帯作業時間と合わせて算出するのが一般的です。
★納品付帯作業実施率=付帯作業実施回数÷納品回数
物流KPIを導入して業務の効率化を図ろう
今回は、物流業界におけるKPIの重要性と、具体的な指標や計算方法をお伝えしました。業務の効率化やサービス向上に、ぜひお役立てください。
なお、荷主と配送パートナーをオンラインで結びつける配送プラットフォーム「ピックゴー」は物流KPIの向上にも役立ちます。
例えば、保有車両を減らして、荷物配送をアウトソーシングすることで空車率を減らせるため、コスト・生産性を示すKPIである「実車率」「実働率」の向上につながります。また、依頼から最短56秒(2021年8月時点)でマッチングできるため、急な依頼でも配達遅延が起こりにくく、品質・サービスレベルを示すKPI「遅延・時間指定違反率」を減少しやすくなります。遅延が起こりにくくなることで「クレーム発生率」の縮小にもつながります。
さらに、通常の運送会社に依頼するよりも車両手配に時間がかかりにくいため、物流条件・配送条件のKPIである「納品付帯作業時間」「納品付帯作業実施率」の削減に役立ちます。
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