
EC物流倉庫とは?業務内容とアウトソーシング時のメリット・注意点
こんにちは。物流に関する知識をまとめたメディア「ピックゴー物流コラム」編集部です。
EC物流倉庫は、ECサイトやオンライン販売事業を運営する際に必要となる物流施設です。しかし、コスト面から自社で倉庫を保有することを懸念する事業者も少なくありません。そのような場合におすすめするのが業務のアウトソーシングです。今回は、EC物流倉庫の基礎知識や業務内容、外注のメリット・注意点を解説します。アウトソーシング業者の選び方にも触れますので、倉庫業務の効率化や物流品質の改善にお悩みの場合はぜひ参考にしてください。
EC物流倉庫の基礎知識

EC物流倉庫は、通販物流における商品管理や発送作業などを行う重要な施設です。まずは、EC物流倉庫の基礎知識や業務内容をご紹介します。
EC物流倉庫とは
EC物流倉庫とはネットショップ(ECサイト)を運営する際の倉庫業務を行う物流施設のことです。
ECは「Electric Commerce」の略称で電子商取引と訳され、インターネット上で商品・サービスを売買することを指します。EC物流倉庫は、BtoCの出荷をメインに扱うのが特徴です。ECビジネスの成長により宅配便の需要が増しており、EC物流倉庫の重要性が高まっています。2020年度の宅配便取扱個数は、「48億3647万個」で過去最高を記録しました。こちらは前年比約11.9%の増加です。
【出典】「令和2年度宅配便取扱実績について」(国土交通省)https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha04_hh_000235.html
EC物流倉庫の主な業務内容
受注処理
ネットショップの注文情報を確認し出荷に必要な一連の処理を行う業務です。具体的には在庫確認や入金確認、受注完了メールの送信、出荷指示、キャンセル処理などを行います。
入庫、検品
入荷した商品に破損や不良品、数量間違いなど不備がないか確認し保管場所へ収納する作業のこと。マテハン機器やバーコードなどを活用して、業務の効率化や省人化を図るのが一般的です。マテハンとは 「マテリアルハンドリング」の略で、工場や倉庫などでのモノの移動・保管に関わる取り扱い全般を指す物流用語です。現場ではフォークリフトや自動搬送ロボットなどが使用されます。
保管
倉庫内の物品を出荷まで適切に管理する作業です。食品は冷蔵品と冷凍品とで温度・湿度を調整したり、商品サイズに応じて荷積み方法を変えたりなど荷物ごとに保存条件を整える必要があります。また 、どの商品がどこに保管されているかわかる状態にする「ロケーション管理」も保管業務に含まれます。
流通加工
荷主の要望を受けて行う商品価値を高める工程全般のこと。具体的にはタグ付けや食品の二次加工、ギフトラッピング、チラシの封入などを行います。
ピッキング、仕分け
出荷指示書をもとに倉庫から商品を取り出し、配送先ごとに分類する作業です。通販物流の現場では受注から発送までのスピードが重要視されるため、シングルピッキングが採用される傾向にあります。シングルピッキングはオーダーピッキングや摘み取り式とも呼ばれ、出荷先ごとに商品を倉庫から取り出す方式のことです。
梱包、出荷
梱包資材で荷物を包みユーザーのもとへ発送する工程です。自社に配送部門がない場合は、発送代行サービスなどを利用します。
EC物流倉庫の業務をアウトソーシングするメリット・注意点

EC市場への進出がしやすくなった一方で、自社で倉庫を保有していない事業者も多く、商品管理や出荷作業などをアウトソーシングするニーズが高まっています。そこで次は、EC物流倉庫の業務を外注するメリットと注意点を解説します。
メリット
ヒューマンエラーの削減につながる
アウトソーシングでは物流業務に関する専門知識が豊富なプロに依頼できるため、誤配送や数量間違いなど人的ミスの削減が期待できます。自社で物流業務を行っている場合、従業員が別の業務と掛け持ちで作業していたり、経験の少ないアルバイトなどに任せていたりするケースが多くヒューマンエラーの原因となっています。人為的なミスの削減によって良好な状態で商品を消費者に届けることができれば、物流サービスの品質改善や顧客満足度の向上も見込めます。
売上アップが期待できる
EC物流倉庫サービスを利用することで物流業務に回していた経営資源をコア業務に充てられるため、売上アップにもつながりやすくなります。例えば営業やプロモーション、商品開発などに人材や時間を集中できれば、業務効率の改善や事業成長の加速に役立ちます。新たな人材の雇用や育成が必要なくなるため、事業規模に対して取り扱う物量が多くリソースが不足しがちな場合に適しているといえるでしょう。
注文量の増減に対応しやすい
EC物流倉庫業者には物流業務のプロが揃っており業務の最適化やシステム化に取り組んでいるため、注文量の増減にも柔軟に対応してもらえます。物流波動の大きい会社では繁忙期でも新たな人材を雇用する必要がなくなり、取り扱う商品を増やしたい場合でも安心です。
コスト管理、削減に役立つ
倉庫業務をアウトソーシングすれば自社で倉庫を用意する場合にかかる人件費や設備の購入費用、賃料などのコストを削減できます。閑散期でも固定費化しやすい物流コストを変動費化できるため、キャッシュフローの改善も可能です。
注意点
自社倉庫と比較してトラブル発生時の対応が遅れやすい
アウトソーシングでは情報伝達にタイムラグが生じやすいため、トラブル発生時の迅速な対応が難しい傾向にあります。在庫管理システムや倉庫管理システム(WMS)を導入し、スムーズな情報共有を図ることが大切です。
情報漏えいのおそれがある
EC物流倉庫の業務を外部に委託する場合は、自社で管理する顧客情報を委託業者に提供する必要があるため、情報漏えいのリスクが高まります。コストやサービス面だけでなくセキュリティ面でも信頼できる業者を選ぶ必要があります。
倉庫業務のノウハウを自社に蓄積するのが難しい
EC物流倉庫サービスでは倉庫業務の一部または全部を外部に委託するため、ノウハウを自社に蓄積しにくくなります。特に受注から発送までの業務をワンストップで依頼する場合は注意が必要です。将来的な倉庫業務の内製化を検討している場合は、一部の業務のみを外注するのが良いでしょう。
委託できない業務が発生するケースがある
EC物流倉庫サービスを利用する場合でも、すべての業務を委託できるとは限りません。対応可能な業務の範囲は業者ごとに異なるため、委託先によっては今まで通りのサービスを提供できなくなり、かえって品質が低下する可能性もあります。例えば特殊なギフト包装や手書きのメッセージカード作成など品質に個人差が生まれやすい業務は、対応できる業者が少ない傾向にあります。
EC物流倉庫サービスを選ぶポイント
EC物流倉庫サービスをうまく活用できれば物流品質を自社の強みに変えられます。ここではサービス選定のポイントを解説します。
物流倉庫の立地
物流倉庫がアクセスしづらい場所にあると、配送効率が天候や交通状況に左右されやすくなります。頻繁に配送遅延が生じると企業イメージの低下につながるおそれがあるため、高速道路や幹線道路から近い倉庫を選ぶのがおすすめです。
自社のストアとの連携性
モール型ECに出店している場合は、利用しているモールとの連携が可能な業者に委託するのが良いでしょう。連携が難しいと新たな業務が発生し、リソースの最適化や業務の効率化を実現できません。また自社でECサイトを立ち上げた場合は、在庫管理システムや倉庫管理システム(WMS)など導入済みのシステムとの連携に優れた業者を選ぶことが大切です。
料金とサービス内容のバランス
EC物流倉庫サービスの料金体系は業者ごとにさまざまです。例えば出荷件数に応じて配送料や保管料がかかる従量課金制、またパレットやコンテナごとの月額料金制などがあります。事前に予算を検討し見積もりを取った上で最適な業者を選択しましょう。ただし、コストばかりに目を向けると品質が後回しになる可能性があるため、料金とサービス内容のバランスを重視することが大切です。特に自社の強みといえる独自のサービスを提供している場合は、内容や品質を継続してもらえる委託業者を探しましょう。
トラブル発生時のフォロー体制
EC物流倉庫サービスを利用した場合でもトラブルをゼロにすることはできません。そのため、外注先の業者を選ぶ際は、トラブル発生時のフォロー体制も確認しておきましょう。顧客からの問い合わせに迅速かつ丁寧に対応する体制や荷主企業との情報共有の手段が整っていれば安心です。
外注できる業務の範囲
EC物流倉庫事業者に委託できる業務は、受注管理から発送業務まで多岐にわたります。しかし、中には一部の業務のみに対応している業者もいるため、自社の課題や依頼した業務の範囲に合わせて選択する必要があります。
EC物流倉庫の役割を理解して業績アップにつなげよう

今回は、EC物流倉庫の特徴や外注のメリット・デメリット、業者の選び方を解説しました。通販物流において自社で倉庫を保有しない場合は、EC物流倉庫サービスの利用が必須です。しかし、導入には情報漏えいのリスクやノウハウの蓄積など注意すべき課題も少なくありません。自社が抱える悩みや扱う商材に合わせてサービスとコストのバランスが取れた業者を選択しましょう。
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