
ロジスティクスとサプライチェーンマネジメントの違いとポイント
目次[非表示]
- 1.ロジスティクスとサプライチェーンマネジメントの違い
- 1.1.ロジスティクスとは?
- 1.2.サプライチェーンマネジメントとは?
- 1.3.ロジスティクスとサプライチェーンマネジメントの違い
- 1.4.類似した単語との違い
- 2.ロジスティクスやサプライチェーンマネジメントのメリットと注意点
- 3.ロジスティクスを構築する際のポイント
- 3.1.専任の担当者を決める
- 3.2.物流管理システムやITツールを導入する
- 3.3.アウトソーシングを活用する
- 4.サプライチェーンマネジメントの導入の流れ
- 4.1.STEP1:サプライチェーンにおける課題を抽出する
- 4.2.STEP2:サプライチェーンマネジメントの担当者やチームを編成する
- 4.3.STEP3:企業間の連携に役立つ物流ソリューションの導入を検討する
- 4.4.STEP4:定期的に施策の評価を行う
- 5.ロジスティクスとサプライチェーンマネジメントの違いを理解して物流改善に努めよう
こんにちは。物流に関する知識をまとめたメディア「ピックゴー物流コラム」編集部です。
物流業や製造業で耳にする機会の多い「ロジスティクス」や「サプライチェーンマネジメント」といった言葉。
聞いたことはあるものの、それほど深く理解していなかったり、物流やERPなどの単語と混同してしまっていたりするケースも少なくありません。
そこで今回は、ロジスティクスとサプライチェーンマネジメントの概要や両者の違い、導入時のポイントなどを解説します。物流コストの増大や供給網の管理にお悩みの場合は、ぜひ参考にしてください。
ロジスティクスとサプライチェーンマネジメントの違い

ロジスティクスとサプライチェーンマネジメントは、どちらも物流改善に取り組む際に使用される言葉ではあるものの、その意味には違いがあります。
ここでは両者の違いや類似した単語との相違点をご紹介します。
ロジスティクスとは?
ロジスティクスとは物流の持つ機能を高度化し、調達から生産、販売、回収までの工程を一元管理して、需要と供給の適正化を図る仕組みのことです。
英語では「logistics」と表記します。元々は軍事用語で、戦地における人員や兵器などの物資の供給を表す単語でした。
後に物流現場に転用されて現在の意味を持つようになりました。
サプライチェーンマネジメントとは?
サプライチェーンマネジメントとはサプライチェーン全体で情報を共有し、原材料の調達から商品の販売までのすべてのプロセスを最適化する手法のことです。
「Supply Chain Management」の頭文字を取ってSCMと省略されることが多い傾向にあります。
サプライチェーンは商品が消費者の手元に届くまでのプロセスのことで、「供給連鎖」を意味します。
部品や原材料の調達、生産、流通、販売という流れが一般的です。
ロジスティクスとサプライチェーンマネジメントの違い
ロジスティクスは、企業が単独で自社の物流プロセスの改善を目指す仕組みです。
一方サプライチェーンマネジメントは、供給網に関わるあらゆる企業が連携してサプライチェーンを最適化する取り組みを指します。
供給網に関わる企業の例としては、メーカーやサプライヤー、小売業者、運送会社、物流会社などが挙げられます。
ロジスティクスは、サプライチェーンマネジメント構築のための出発点ともいえるでしょう。
供給網全体に働きかけるには、まず自社の物流プロセスを見直す必要があるためです。
類似した単語との違い
- ロジスティクスと物流 
物流とは「物的流通」の略称で、生産地から消費地へ商品を運ぶ一連の流れのことです。
輸送・配送、保管、包装、荷役、流通加工、情報の6つの機能があります。
物流が商品を運ぶ流れや活動そのものを表すのに対し、ロジスティクスは物流活動を見直して最適化を図る管理手法である点が異なります。
- サプライチェーンマネジメントとERP 
ERPとは「Enterprise Resources Planning」の頭文字を取った単語で、「企業資源計画」を意味します。
人やモノ、お金などの経営資源を一元管理して効率的に運用するためのマネジメント手法です。
ERPは企業経営全体の効率化を目指す手法であり、供給網に特化して最適化を目指すサプライチェーンマネジメントよりも広い概念といえます。
- サプライチェーンマネジメントとCRM 
CRMは「Customer Relationship Management」の略称で、「顧客関係管理」と訳される単語です。
顧客情報や案件情報を適切に管理することで顧客との良好な関係を築くための手法を指します。
両者は情報を一元管理する手段という点で共通していますが、最適化の対象が「顧客との関係」「サプライチェーン」と、それぞれ異なっています。
ロジスティクスやサプライチェーンマネジメントのメリットと注意点

次はロジスティクスやサプライチェーンマネジメントのメリットや注意点を解説します。
構築したロジスティクスやサプライチェーンマネジメントを機能させるには、メリットだけでなく注意点も理解しておくことが重要です。
メリット
- 顧客満足度の向上を期待できる 
物流プロセスを最適化することで商品を顧客に届けるまでのリードタイムが短縮されるため、顧客満足度の向上が期待できます。
在庫量が減少し、保管に必要な倉庫代や人件費などの削減も見込めます。
キャッシュフローの改善につながり、経営の健全化にも役立つでしょう。
- 生産や在庫管理を最適化できる 
ロジスティクスやサプライチェーンマネジメントを構築することで物流プロセスにおける情報共有が容易になります。
その結果、正確な需要予測が可能になるため、生産や在庫管理を最適化できる点もメリットです。
過剰在庫や在庫不足を解消しやすくなり、売上の増加につながります。
消費者ニーズが多様化している現代では特に重要視される役割です。
- 物流コストを削減しやすくなる 
ロジスティクスやサプライチェーンマネジメントによって生産や在庫管理を最適化できれば、余剰在庫の管理やそれに関連する物流コストを削減できます。
具体的には材料費や生産・輸送コストなどを減らすことが可能です。
物流コストの無駄にお悩みの場合は、ロジスティクスやサプライチェーンマネジメントの構築をおすすめします。
- 営業支援が可能になる 
ロジスティクスやサプライチェーンマネジメントの構築には、専任の担当者や部門が必要です。
そのため、営業部門が在庫管理などの物流活動を行う必要がなくなり、本来の業務に集中しやすくなります。
営業部門の負担が増大している企業で特に有用な手段といえるでしょう。
注意点
- コストがかかる 
ロジスティクスやサプライチェーンマネジメントを構築する場合、各プロセスを一元管理する物流システムやITサービスの導入が必要になるためコストが発生します。
システムの運用や保守を担う人材の雇用にもコストがかかります。
自社の物流プロセスやサプライチェーンの課題を確認したうえで、適切なシステムを導入することが大切です。
- 社内・社外を問わず連携が求められる 
ロジスティクスやサプライチェーンマネジメントを機能させるには、部署間や企業間の横断的な協力が欠かせません。
具体的には営業部門や物流部門、商品開発部門などの部署、メーカーやサプライヤー、運送会社などの企業との連携が重要です。
リーダーシップを発揮する人材や企業がいるとスムーズに取り組みを進められるでしょう。
ロジスティクスを構築する際のポイント

ロジスティクスを構築してコスト削減や自社の物流プロセスの最適化を実現するには、どのような点に注意すれば良いのでしょうか。
ここではロジスティクスを構築する際のポイントを解説します。
専任の担当者を決める
ロジスティクスの構築には部署間の連携が必要となるため、調整役となる専任の担当者を決めると良いでしょう。
在庫管理や物流管理に関する知見を持った人材をアサインできるのが理想です。
人材が見つかったら、担当者を中心に各部署の責任者や経営者で話し合いを行い、ロジスティクスプランを策定します。
具体的には自社のサプライチェーンにおける課題や導入すべき物流システム・ツール、自動化の可能性、アウトソーシングの可否などを検討しましょう。
物流管理システムやITツールを導入する
ロジスティクスを適切に運用するには、物流管理システムやITツールの活用も重要です。
倉庫管理システム(WMS)を使った在庫管理やAIによる生産管理、ロボットによる作業の自動化などを通してロジスティクスの最適化を進めましょう。
アウトソーシングを活用する
検討の結果、自社でのロジスティクスの構築が難しい場合は、アウトソーシングの活用も視野に入れましょう。
配送業務の知見が豊富な運送会社や物流業務全般を委託できる3PL事業者にアウトソーシングすることで、自社の物流プロセスを最適化できます。
サプライチェーンマネジメントの導入の流れ

最後にサプライチェーンマネジメントを導入する際の手順を解説します。
サプライチェーンマネジメントの構築には、関連企業の協力も欠かせません。
事前にステップを確認したうえで周知することが重要です。
STEP1:サプライチェーンにおける課題を抽出する
まずは、供給網全体の状況を踏まえてサプライチェーンマネジメントを導入する目的を確認し、自社が解消すべき課題を抽出しましょう。
事前に問題点を明確にしておくことで今後の方針が立てやすくなります。
物流の各フェーズに応じて課題を洗い出すと良いでしょう。
STEP2:サプライチェーンマネジメントの担当者やチームを編成する
次に目的や課題を考慮したうえでサプライチェーンマネジメントに取り組む担当者やチームの編成を行います。
関連会社や子会社も含めて物流プロセスごとにスペシャリストを集めるのが理想です。
供給網全体の最適化という目的を考慮すると、物流部門だけでなく営業やシステム部門からも人材を募る必要があります。
また、担当者が決まったらリーダーも選出しておくほうが良いでしょう。
供給フローを熟知した人材を中心にチームを構築できれば、サプライチェーンマネジメントの導入を効率的に進められます。
STEP3:企業間の連携に役立つ物流ソリューションの導入を検討する
次のステップでは、サプライチェーンマネジメントの構築において企業間の情報共有を円滑にするために、物流ソリューションの導入を検討しましょう。
情報共有にタイムラグが生じると一体感が失われやすくなるため、企業間の連携をサポートしてくれるソリューションを選ぶことが重要です。
STEP4:定期的に施策の評価を行う
サプライチェーンマネジメントを構築した後は、定期的に施策の評価を行いましょう。
導入目的の達成度合いや課題へのアプローチ状況、物流ソリューションの費用対効果などを確認します。
自社の物流プロセスだけでなく、供給網全体への影響を考慮して評価する必要があります。
ロジスティクスとサプライチェーンマネジメントの違いを理解して物流改善に努めよう

ロジスティクスとサプライチェーンマネジメントは、どちらも物流現場で使用される言葉ではあるものの、その目的や役割は異なります。
ロジスティクスの導入からサプライチェーンマネジメントの構築へと発展させ、自社の物流プロセスを最適化させましょう。
配送コストの最適化や物流業務のアウトソーシングをご検討の際は、「ピックゴー」をご利用ください。
貴社ビジネスに合わせた新しいモノの流れの構築をご提案いたします。



