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煽り運転とは?罪状・罰則から被害にあったときの対処方法まで解説


重大な事故を起こす原因になる「煽り運転」。

周囲の車や人に被害を及ぼす行為であるため、警察庁はドライバーに注意喚起を行なっています。

煽り運転の加害者や被害者にならないためには、基本的な知識を身につけておくことが大切です。


しかし、煽り運転について詳しく知らない方は「どんな罪・罰則があるのかわからない」、「煽り運転の被害に合ったときの対処方法がわからない」という悩みもあるでしょう。


当記事では、煽り運転の詳細から罪状・罰則、被害にあったときの対処方法まで詳しく解説します。

煽り運転の理解を深められるので、ぜひ参考にご覧ください。


煽り運転とは

煽り運転とは、前方や後方の車に対して迷惑行為をする運転方法を指します。

例えば危険を感じるほど車間距離を詰めたり、危険な急ブレーキをしたりといった行為は煽り運転となります。


煽り運転は安全な走行を妨害する行為であるため、被害者からの通報によって加害者は懲役や罰金、免許剥奪といった罰則が課されるのです。

一時の怒りに身を任せて煽り運転をするドライバーは多く、取り返しのつかない結果になってしまうこともあります。


とくに貨物の配送を行う物流会社のドライバーが煽り運転をした場合、業界全体の信用を失ってしまう可能性も高いです。

煽り運転の具体例については、以下の表をご覧ください。

危険な車間距離を詰めた接近

前方もしくは後方の車に危険な車間距離に近づいて走行

不必要な急ブレーキ

後方の車に対して、不必要な急ブレーキを行う

危険な進路変更・追い越し

後続車・並走車に対して、危険な進路変更や追い越しを行う

不必要なハイビーム

前方の車に対して、不必要なハイビームを行う

不必要なクラクション

前方の車に対して、不必要なクラクションを行う

蛇行運転・幅寄せ

後続車・並走車に対して、運転を妨害する蛇行運転や幅寄せを行う

高速道路の低速走行

高速道路で規定以下の速度で走る

高速道路の駐停車

高速道路上で周囲の車を妨げて駐停車


煽り運転の罪状・罰則

2020年6月10日に道路交通法の一部改正が法律により決定し、妨害運転による罰則が定められました。

煽り運転は行為によって罪状・罰則が異なり、以下のような刑に処せられます。

煽り運転の行為

罪状・罰則

車両の通行を妨害する行為

3年以下の懲役または50万円以下の罰金、免許取り消し、違反点数25点、欠格期間2年

妨害運転による危険性が高い行為

5年以下の懲役または100万円以下の罰金、行政罰として免許取り消し、違反点数35点、欠格期間3年


煽り運転の厳罰化に関する背景

道路交通法の一部改正がある背景には、2017年に起きた煽り運転による「東名高速夫婦死亡事故」が大きく関係しています。


2017年6月5日に神奈川県足柄上郡大井町の東名高速道路下り線にて、煽り運転によって男女2人の死亡事故が発生しました。


結果として煽り運転による事故は刑事裁判へと発展し、世間の意見から道路交通法の見直しが必要であると報道されました。

この事件をきっかけに運転手の交通トラブル対処への意識が高まり、加害者には相応の厳罰が必要になったのです。


煽り運転をする人の特徴

煽り運転をする人には、以下のような特徴があります。

  • 早く進みたいと思っている

  • 相手を困らせることに楽しさを感じている

  • 自分が強い存在であることをアピールしている

それでは詳しく解説します。


早く進みたいと思っている

少しでも早く進みたいと思っているドライバーは、煽り運転をする傾向にあります。


前方の車に向かってクラクションを鳴らしたり車間距離を詰めたりといった行為をするため、短気な人によく見られる行動です。


また、時間に追われている方は、苛立ちをほかのドライバーにぶつけてしまいます。

ドライバーの性格が大きく関係しているので、該当する方は精神的な余裕を持つことが大切です。


相手を困らせることに楽しさを感じている

煽り運転をすることで、周囲のドライバーを困らせて楽しむ方も存在します。

日頃のストレスを発散させるために煽り運転をしているため、自分が悪いことをしている自覚を持っていません。


煽り運転の危険性を意識しておらず、何かあれば逃げればいいと思っている傾向にあります。

煽り運転の行為は大きな事故につながるので、間違ってもストレスの発散としてやっていい行為ではないと理解することが大切です。


自分が強い存在であることをアピールしている

相手よりも自分のほうが強い存在であるとアピールするドライバーは、煽り運転をする傾向にあります。

自分の立場を誇示したいがために、周囲のドライバーに迷惑をかけて楽しんでいます。


相手に追い越しをされたことから苛立ち、報復行動として煽り運転をするドライバーも少なくはありません。

周囲に弱いところを見せたくないという気持ちが強いため、少しでも気に食わないことがあれば煽り運転をしてしまいます。


同乗者に良いところを見せたいために法定速度以上のスピードを出すドライバーもいるので、公共の道路であることを十分理解しておかなくてはいけません。


煽り運転にあったときの対処方法

煽り運転にあったときは、以下のような対処方法を理解しておきましょう。

  • 冷静に対応できるようにする

  • ドライブレコーダーを付けておく

  • ドアをロックしておく

  • 車のナンバー・特徴をチェックする

  • 110番に通報する

  • 人が多い場所へ移動する

それでは詳しく解説します。


冷静に対応できるようにする

煽り運転をされたときはパニックになりやすいため、まずは落ち着くことが大切です。

気持ちが焦っていると間違った行動を取ってしまい、被害を拡大させてしまう恐れがあります。


ゆっくりと深呼吸をして精神状態を安定させることで、適切な対処ができるようになります。

もし停車できそうな場所があれば、冷静さを取り戻すためにも一度ストップすると良いでしょう。


ドライブレコーダーを付けておく

煽り運転の被害を防ぐには、証拠を残しておくためにも車にドライブレコーダーの装着が必要です。

ドライブレコーダーを装着しておけば、ドライバーの運転行為を録画できるので煽り運転をされたときに映像を提示できます。

煽り運転をした車のナンバーも特定できるため、警察が対処しやすくなります。


また、車の後部にドライブレコーダーを装着していることを伝えるシールなどを貼っておけば、煽り運転を受けるリスクを軽減することが可能です。

警察庁でもドライブレコーダーの装着が推奨されているので、万が一に備えて車につけておきましょう。


ドアをロックしておく

煽り運転を受けたときは、必ず車のドアをロックしておきましょう。

相手が車から出てきてドアを開けようとすることもあるため、直接被害を受けないためにもロックが必要です。

相手から話しかけられたり挑発されたりしても、絶対にドアのロックを解除してはいけません。


車のナンバー・特徴をチェックする

煽り運転をした車のナンバーや特徴をチェックしておくことで、相手が逃走したときに警察へ説明できるようになります。

ドライブレコーダーを装着していれば録画情報から警察が特定できますが、なければ被害者からの説明が必要です。


相手の車のナンバーや形、色などをチェックすれば、警察の捜査に役立ちます。

同乗者がいるなら、スマートフォンやカメラで相手の車を撮影しておくと良いでしょう。

ドライバーが撮影するときは、必ず停車してから行うようにしてください。


110番に通報する

煽り運転を受けたときは、110番に通報して警察に対処してもらうようにしましょう。

もしドライバーが運転しているときは、同乗者に通報してもらうことをおすすめします。


警察に要件を説明するときは、冷静になって状況を落ち着いて話すことが大切です。

車やドライブレコーダーには「HELPNET」という機能が搭載されていることもあり、専用ボタンを押せばHELPNETオペレーションセンターと音声でつながります。


オペレーションセンターがドライバーの位置情報を特定して警察に通報してくれるため、こちらのサービスを使えるなら煽り運転を受けたときに利用しましょう。


人が多い場所へ移動する

煽り運転を受けたときは、お店の駐車場やパーキングエリアなど人が多い場所へ移動しましょう。

周囲の目があれば、煽り運転をしたドライバーが向かってきても通報してもらえます。


田舎道では人通りが少なくなるため、煽り運転を受けたときはドアをロックしてすぐに警察へ通報するようにしましょう。


煽り運転をされたときの注意点

煽り運転をされたときは、絶対に仕返しをしようとしてはいけません。

煽り運転をしたドライバーに向かって同じような行為をすれば、自分も加害者になる恐れがあります。


思いもよらぬ事故につながる原因にもなるため、苛立ちを覚えても冷静さを忘れてはいけないのです。

相手が悪かったとしても、法律に違反すれば罰則対象になってしまいます。


煽り運転への仕返しはドライバーにとって何のメリットにもならないので、適切な対処を行うようにしましょう。


煽り運転をされないための対策方法

煽り運転をされないためには、以下のような対策方法があります。

  • 一定の車間距離を保つ

  • 急な車線変更・追い越しをしない

  • 周囲の車の動きに注意する

被害を受けないためにも、ぜひチェックしておいてください。


一定の車間距離を保つ

前方の車と一定の車間距離を保つことで、相手から煽り運転されるリスクを減らせます。

相手は過剰に近づかれることで苛立ちを覚える傾向があるため、無理に車間距離を詰めることはNGです。


相手から煽り運転を受けていると勘違いされることもあるので、一定の車間距離を保つように日頃から意識しておきましょう。


急な車線変更・追い越しをしない

道路を運転するときは、急な車線変更や追い越しはやめておきましょう。

周囲の車と十分な間隔がない状態で車線変更をすると、事故にもつながるので危険です。


また、相手に煽り運転をされるきっかけにもなるため、周囲の車との間隔を把握しておかなくてはいけません。

高速道路の追い越し車線では、前方の車を追い越すときだけ行うようにしましょう。


周囲の車の動きに注意する

当然ですが、道路を運転するときは、常に周囲の車の動きに注意しておくことが大切です。

前方はもちろん左右、後方をチェックしておくことで、危険な車を迅速に把握できるようになります。


例えば二車線の右側で運転しているときに、後方から車間距離を詰めてくる車があれば周囲をチェックしてから左車線に移動してください。


周囲の車の動きに注意しておけば、ドライバーが被害を受けるリスクを減らせます。

常に思いやりや譲り合いの気持ちを持ちながら、安全な運転を心がけましょう。


煽り運転で通報された場合の処分について

ドライバーの方は「もし自分が煽り運転をしたときにどうなるのか心配」という悩みもあるでしょう。

こちらでは、煽り運転で通報された場合の処分について詳しく解説します。


現行犯逮捕

煽り運転をして相手に通報された場合、警察が到着して被害状況を確認したうえで現行犯逮捕となります。

現行犯逮捕とは現に犯行を行なっている、または犯行直後の現行犯人を逮捕することです。


こちらは逮捕状がなくても逮捕できるため、その場で対処されます。

一般道路や高速道路で煽り運転が起きた場合、警察が安全なエリアに誘導して状況確認を行なってから逮捕という流れになります。


後日警察から呼び出し

煽り運転をして現場から逃走した場合、後日警察から呼び出しを受けます。

被害者は車に装着しているドライブレコーダーから相手のナンバープレートを特定して、警察に被害届を出すことで捜査が開始されます。


警察の捜査から煽り運転を確認された場合、ナンバープレートをもとにドライバーの個人情報を特定して自宅へ向かう流れです。


もし被害者がドライブレコーダーを車に装着していなかったとしても、オービス(速度違反取締装置)や公共の監視カメラをもとに加害者の車を特定します。

通報から数日後に警察が自宅まで来るため、加害者は任意同行を求められます。


煽り運転で通報されたときの対処方法

煽り運転で通報されたときは、以下のような対処方法があります。

  • 警察の取り調べに答える

  • 弁護士と相談する

それでは詳しく解説します。


警察の取り調べに答える

煽り運転の被害届を出された場合、警察の取り調べが行われます。

警察からの質問に対して、事実であることは素直に認めることが大切です。


否定的な態度を取ってしまうと、かえって罪が重くなってしまうケースがあります。

身柄拘束の期間も長くなってしまうため、状況を整理して素直に答えるようにしましょう。


弁護士と相談する

煽り運転の加害者になったときは、弁護士に相談するようにしましょう。

弁護士に相談すれば、煽り運転の状況をもとに被害者との示談交渉が可能です。


煽り運転に間違いがあった場合、弁護士が証拠を集めて無実を証明してくれます。

警察からも弁護士を任意で用意できることを説明されるため、交通法に知見がある弁護士に相談しましょう。


まとめ

今回は、煽り運転の詳細から罪状・罰則、被害にあったときの対処方法まで詳しく解説しました。

煽り運転は周囲の車に迷惑をかける行為であり、事故にもつながるので大変危険です。


現在では道路交通法の一部改正が法律により決定したことにより、煽り運転は厳しく取締られています。

ドライバーが安全に運転できる環境作りをするためにも、煽り運転の理解を深めて意識するようにしておきましょう。

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