
EC事業者の配送料金完全ガイド|主要5社宅配料金比較とECの送料戦略・コスト削減のコツ
目次[非表示]
- 1.配送会社を選ぶ前に考えたい「送料戦略」の基本
- 2.配送料金が決まる仕組みの基礎
- 2.1.配送料金を左右する主な要素
- 2.2.宅配便・メール便・コンパクト便の違い
- 3.サイズ別|主要宅配サービスの料金イメージ
- 3.1.60サイズの商品を送るとき
- 3.2.80サイズの商品を送るとき
- 3.3.100サイズ以上の商品を送るとき
- 4.クール便の料金と取り扱いのポイント
- 4.1.クール便の追加料金イメージ
- 4.2.冷蔵・冷凍商品を送るときの注意点
- 5.海外発送の料金目安と注意点
- 5.1.海外向け配送料の基本
- 5.2.海外発送で確認すべきこと
- 6.主要配送会社の特徴まとめ(5社+ピックゴー)
- 6.1.ヤマト運輸
- 6.2.佐川急便
- 6.3.日本郵便(ゆうパック・ゆうパケットなど)
- 6.4.福山通運・西濃運輸などの路線便
- 6.5.配送プラットフォーム「ピックゴー」
- 7.EC事業者が配送料を抑える具体的な方法
- 7.1.小さい商品はポスト投函型サービスも検討する
- 7.2.宅配会社との特約契約・ボリュームディスカウント
- 7.3.物流倉庫・3PLとセットでコスト設計する
- 7.4.梱包設計を見直してサイズダウンを図る
- 7.5.送料無料ライン・同梱施策の設計
- 8.シーン別|ネットショップのおすすめ配送戦略
- 9.ピックゴーを活用した柔軟な配送戦略
- 10.配送料金と宅配業者選びに関するよくある質問(FAQ)
- 10.1.ネットショップの送料は「一律」「エリア別」「サイズ別」のどれがいいですか?
- 10.2.メインで使う宅配会社はどう選べばいいですか?複数社使うべきですか?
- 10.3.Q. 送料無料にしたいのですが、損しないラインはどう決めればいいですか?
- 10.4.クール便や大型商品は別料金にした方がいいですか?
- 10.5.海外向けの送料はどう決めればいいですか?
- 10.6.緊急配送や当日配送のニーズにはどう備えるべきですか?
- 11.まとめ:配送料金を「コスト」ではなく「戦略」として設計しよう
ネットショップ・EC担当者の多くが、一度はこんな悩みにぶつかります。
送料をいくらに設定すればいいか分からない
とりあえず大手宅配会社を使っているけれど、本当にそれでいいのか不安
送料無料にしたら受注は増えたけど、気づいたら利益がほとんど残っていない
配送料は「ただのコスト」ではなく、
売上・利益・カート離脱率・リピート率 にまで影響する、とても重要なテーマです。
この記事では、ネットショップ・EC担当者向けに、
配送料金が決まる仕組み
主要宅配5社+配送プラットフォームの特徴と使い分け
サイズ別の料金イメージとクール便・海外発送のポイント
送料戦略・コスト削減の具体的な考え方
緊急配送や大型荷物に「ピックゴー」を組み合わせる方法
をまとめて解説します。
配送会社を選ぶ前に考えたい「送料戦略」の基本

宅配会社を比較する前に、まずは自社側の前提を整理することが大切です。
自社商品のサイズ・重量を棚卸しする
最初にやるべきは、「自社の商品がどんなサイズ・重量なのか」を把握することです。
主力商品の梱包後のサイズ(三辺合計)
梱包後の重量
1回の注文で購入される点数の傾向
同梱した場合、どのサイズ帯になることが多いか
このあたりをざっくり集計しておくと、
60サイズがメインのショップなのか
80サイズ・100サイズが多いのか
メール便や薄型パッケージを活用できそうか
といった「送料設計のベース」が見えてきます。
1配送あたりの利益と送料のバランスを見る
商品単価や粗利を見ずに送料だけを決めてしまうと、
気づいたときには「売れば売るほど儲からない状態」になってしまうこともあります。
1注文あたりの平均単価
粗利額(売上 − 原価)
そこからどれくらい送料に使えるのか
をざっくり計算しておくと、
送料無料ラインはいくらにするべきか
どのエリアを一律送料にして、どのエリアは別料金にするか
といった判断がしやすくなります。
送料無料ライン・同梱戦略の方向性を決める
よくある送料設定のパターンは次の通りです。
全国一律送料
エリア別送料(北海道・沖縄・離島などを分ける)
購入金額に応じた段階的送料
○○円以上送料無料
「送料無料」はとても強い訴求ですが、乱発すると利益を圧迫します。
1回の注文でいくら利益が出るか
〇〇円以上送料無料にすると単価や購入点数はどう変わりそうか
といった仮説を立てながら、送料無料ラインや同梱を促す施策も同時に考えておきましょう。
配送料金が決まる仕組みの基礎

ここからは、配送料金そのものの仕組みを整理します。
配送料金を左右する主な要素
多くの宅配サービスで、料金は主に次のような要素で決まります。
荷物のサイズ(三辺合計)
荷物の重量
発送地とお届け先のエリア(距離)
通常便/クール便/速達などのサービス種類
個人契約か、法人契約・特約契約か
同じ商品でも、
梱包サイズが大きすぎる
発送地から遠い地域への配送が多い
といった条件が重なると、送料は一気に高くなります。
宅配便・メール便・コンパクト便の違い
代表的な配送手段のイメージは次の通りです。
宅配便
一般的な段ボール発送。追跡・補償・時間帯指定が揃っている。
洋服・雑貨・日用品など多くの商品はこのゾーン。
メール便系(ポスト投函型サービス)
小さな荷物・薄型の荷物向け。ポスト投函で受取がラク。
厚み・重量制限がある代わりに、宅配便より安価になることが多い。
コンパクト便・レターパック類
専用箱や封筒を使う定額制サービス。
小さめだが大事なもの、書類や小型雑貨などに向く。
自社の主力商品が、
メール便サイズに収まるのか
毎回80サイズ以上になってしまうのか
によって、最適な配送手段は変わってきます。
サイズ別|主要宅配サービスの料金イメージ
ここでは、60サイズ・80サイズ・100サイズという
よく使われるサイズ帯ごとのイメージを整理します(具体的な金額ではなく考え方ベースです)。
60サイズの商品を送るとき
小物・雑貨・コスメ・一部アパレルなどが該当しやすいサイズです。
場合によっては、メール便系・コンパクト便の方が安くなることもあります。
ポイントは、
梱包を工夫して「60サイズ+メール便系」に収まるかどうか
厚み制限をクリアできるかどうか
をチェックすることです。
80サイズの商品を送るとき
多くのECショップで“標準的な段ボールサイズ”になりやすいゾーンです。
アパレルの複数点購入・食品の詰め合わせ・日用品のまとめ買いなどが該当しやすいです。
ここでは、
各社の80サイズ料金を比較して、メインで使う会社を決める
送料無料ラインの設定に、80サイズの送料を組み込む
といった考え方が重要になります。
100サイズ以上の商品を送るとき
家電・大型雑貨・まとめ買い・複数商品同梱などで登場しやすいサイズ帯です。
一定以上のサイズになると、宅配便よりもチャーター便や路線便が有利なケースも出てきます。
この領域では、
宅配便で対応できる上限サイズか
路線便やチャーター便、配送プラットフォーム(ピックゴーなど)を組み合わせた方が良いか
を検討する余地が出てきます。
クール便の料金と取り扱いのポイント
食品・スイーツ・生鮮品を扱うショップにとって、クール便は欠かせません。
クール便の追加料金イメージ
多くのサービスでは、
通常の宅配便料金
+ クール便の追加料金
という形で料金が決まります。
「常温」と「冷蔵/冷凍」で、
1個あたりの送料がどれくらい変わるか を把握しておくことが大切です。
冷蔵・冷凍商品を送るときの注意点
冷蔵と冷凍でサービスが分かれているケースが多い
梱包は保冷材・保冷シートを使い、箱の中に無駄な空間を作らない
不在時に再配達になると品質が落ちるリスクがあるため、時間帯指定が重要
クール便を使う商品は、送料・梱包コスト・廃棄リスク を合わせて設計する必要があります。
海外発送の料金目安と注意点

海外向けの販売を検討している場合、国内とは別の視点が必要です。
海外向け配送料の基本
海外向けの送料は、
重量
配送エリア(国・地域)
利用するサービス(国際郵便・国際宅配)
などによって変わります。
アメリカやヨーロッパなど主要エリア向けの料金表を一度確認し、
どの重量帯でどれくらいのコストになるか
商品価格と比べて現実的か
をざっくり把握しておくとよいでしょう。
海外発送で確認すべきこと
送れない商品(禁制品・規制対象物)がないか
関税や消費税など、受取側にかかる可能性のある費用
インボイス・税関告知書など必要な書類
国内向けよりも手間は増えますが、
きちんと設計すれば新しい市場を開拓できる可能性もあります。
主要配送会社の特徴まとめ(5社+ピックゴー)
ここでは、ECでよく利用される代表的な配送会社の特徴を整理します。
ヤマト運輸
個人・EC向けサービスが充実しており、荷受け側の利便性が高い
再配達・時間帯指定・コンビニ受取など、受取側にとって便利なオプションが豊富
小型荷物向けのポスト投函サービスもあり、アパレルや雑貨と相性が良い
佐川急便
BtoBの実績が豊富で、大口出荷や法人取引で選ばれることが多い
大量出荷するEC事業者には、特約契約で競争力のある料金を提案してくれる場合も
エリアによっては集荷・配達のルールが異なることがあるので事前確認が大切
日本郵便(ゆうパック・ゆうパケットなど)
郵便局ネットワークを活かしたサービスが強み
ポスト投函型のサービスや、全国一律料金のサービスなど、
小型商品向けの選択肢が多い郵便と荷物をまとめて利用したい事業者にとっては相性が良い
福山通運・西濃運輸などの路線便
中〜大口の法人向け輸送に強い路線便系の会社
パレット単位・複数個口の荷物を長距離輸送する場面で活躍
家具・什器・資材など、大型で宅配便では難しい荷物にも対応可能な場合がある
配送プラットフォーム「ピックゴー」
全国No1のドライバーネットワーク(10万人以上)を有する配送プラットフォーム
アプリ・Webから条件を入力するだけで、車両・料金・到着目安を確認できる
当日配送・スポット配送・大型荷物など、既存の宅配契約だけでは対応しにくいシーンで特に力を発揮する
EC事業者が配送料を抑える具体的な方法
ここからは、EC運営の現場で実践しやすい「送料コスト削減のヒント」を紹介します。
小さい商品はポスト投函型サービスも検討する
アクセサリー・小物・コスメサンプルなどは、
宅配便ではなくポスト投函型のサービスを使うと送料を抑えやすくなります。梱包を工夫して厚みをおさえれば、
もっと低コストなサービスに切り替えられることもあります。
宅配会社との特約契約・ボリュームディスカウント
毎月の出荷個数が一定以上になってきたら、特約契約を相談するタイミングです。
交渉時には、
月間の出荷個数
サイズ構成(60・80・100の比率など)
発送エリアの傾向
といった情報を整理しておきましょう。
物流倉庫・3PLとセットでコスト設計する
在庫管理や入出庫作業を外部の倉庫・3PLに委託する場合、
倉庫費用+配送料をトータルで設計することが大切です。単純に「送料が安い」だけでなく、
入出庫料金
保管料
在庫回転率
なども含めて、総コストで比較していくイメージです。
梱包設計を見直してサイズダウンを図る
「いつも80サイズで送っている商品が、工夫すれば60サイズに収まる」
といったケースは意外と多くあります。箱の大きさを見直したり、緩衝材の入れ方を工夫したりすることで、
サイズ区分を1ランク下げられれば、長期的には大きなコスト削減につながります。
送料無料ライン・同梱施策の設計
たとえば「〇〇円以上送料無料」にすることで、
まとめ買い・同梱を促し、1配送あたりの売上と利益を高めることができます。送料無料ラインを決めるときは、
平均単価
平均購入点数
送料コスト
のバランスを見ながら、赤字にならないラインを探すことが重要です。
シーン別|ネットショップのおすすめ配送戦略

ショップの規模や扱う商品によって、最適な配送戦略は変わります。
立ち上げ直後・出荷数が少ないショップ
まずは扱いやすさ・分かりやすさを優先し、
メインで使う宅配会社を1つ決める小型商品が多い場合は、メール便系サービスも併用する
送料無料ラインは様子を見ながら少しずつ調整するイメージで
月数百件規模に成長したショップ
出荷数が増えてきたら、特約契約や料金交渉を検討
サイズ・エリア・サービスによって、
メインの宅配会社
サブの宅配会社
を使い分けることも視野に入れる
大型商品・高額商品を扱うショップ
大型家具・家電・什器などは、
宅配便ではなく路線便・チャーター便・ピックゴーなどを組み合わせる破損・紛失時の補償内容や、設置サービスの有無なども含めて選定する
「絶対に遅れられない」「壊せない」案件では、
多少コストが高くても信頼性の高い手段を優先する
ピックゴーを活用した柔軟な配送戦略

普段は宅配便を使いつつ、
「ここぞ」という場面でピックゴーを組み合わせると、配送の自由度が一気に高まります。
緊急出荷・当日配送の“第二の手段”として
通常出荷は、契約している宅配会社を使う
「今日中に届けたい」「急に在庫を移動しないといけない」といったイレギュラーには、
ピックゴーを使ってスポットでドライバー・車両を手配する
このように、通常運用と緊急対応を分けて設計することで、コストとスピードの両立がしやすくなります。
大型・多量・特殊条件の荷物に対応する
イベント会場への什器搬入
店舗間での在庫移動
宅配便サイズを超える大型荷物
といったケースでは、ピックゴーで条件に合う車両・ドライバーを選ぶことで、
「どうやって送ろう?」という悩みを解消しやすくなります。
既存の宅配契約と競合させない使い分け
日常的な小口出荷は宅配便
大型・多量・緊急はピックゴー
という使い分けをあらかじめ決めておくと、
現場の判断もシンプルになり、オペレーションが安定します。
配送料金と宅配業者選びに関するよくある質問(FAQ)
ネットショップの送料は「一律」「エリア別」「サイズ別」のどれがいいですか?
A. 商材と顧客層によってベストは変わります。
商品単価が高めで全国にお客さまがいるショップ:一律送料/無料ラインが受け入れられやすい
北海道・沖縄・離島への送料負担が重いショップ:本州とそれ以外で分けるエリア別送料が現実的
サイズのバラつきが大きいショップ:サイズ別送料にして、商品ページで事前に案内する
といったイメージで検討してみてください。
メインで使う宅配会社はどう選べばいいですか?複数社使うべきですか?
A. まずは「主力商品のサイズ・重量」「発送エリア」「出荷数」を整理し、
その条件で強みを持つ会社を軸に選ぶのがおすすめです。
出荷量が増えてきたら、
メイン1社+サブ1社
メール便系サービスをプラス
といった形で徐々に複数社体制にすると、リスクヘッジとコスト最適化がしやすくなります。
Q. 送料無料にしたいのですが、損しないラインはどう決めればいいですか?
A. ざっくりで構わないので、
1注文あたりの平均売上
平均原価
送料コスト
を計算し、「この金額以上なら送料無料でも利益が残る」というラインを探します。
最初は少し高めのラインからスタートし、
アクセス・転換率・利益の変化を見ながら調整していくのがおすすめです。
クール便や大型商品は別料金にした方がいいですか?
A. クール便や大型商品は、通常便に比べてコストが高くなりがちです。
商品価格に送料を含める
追加送料として別途いただく
など、ショップの戦略に合わせて設計しましょう。
「一定金額以上で無料」「一部地域・一部商品は追加送料」といったハイブリッドもよく使われるパターンです。
海外向けの送料はどう決めればいいですか?
A. まずは主要国(例:アメリカ・ヨーロッパ・アジア)の料金表を確認し、
自社商品の重量帯でどれくらいのコストになるかを把握します。
そのうえで、
商品価格に送料を含めるか
配送国ごとに送料を変えるか
などを検討しましょう。最初は発送国を絞ってテストしてみるのも一つの方法です。
緊急配送や当日配送のニーズにはどう備えるべきですか?
A. 通常は契約している宅配会社で出荷しつつ、
「どうしても今日中に届けたい」「大型荷物を急ぎで送りたい」といったケースに備えて、
ピックゴーのような配送プラットフォームの利用も想定しておくと安心です。
あらかじめ社内で
どんな条件ならピックゴーを使うのか
どの部署が判断するのか
を決めておくと、現場で迷わず対応できます。
まとめ:配送料金を「コスト」ではなく「戦略」として設計しよう
配送料は、ただ削るだけのコストではなく、
売上
利益
カート離脱率
顧客満足度
のすべてに影響する、重要な戦略要素です。
自社商品のサイズ・重量・利益構造を整理する
主要宅配会社・サービスの特徴を把握する
送料無料ラインや同梱施策を設計する
通常出荷と緊急・イレギュラー出荷で、使う手段を分けて考える
こうした工夫を積み重ねていくことで、
「お客さまにとって分かりやすく、ショップにとっても無理のない送料設計」に近づいていきます。
通常の宅配便に加えて、ピックゴーのような柔軟な配送サービスも上手に組み合わせながら、
自社にとってベストな配送戦略を作っていきましょう。

