
運送業界の厳しい現状|今ある課題を克服し今後を生き残るために
こんにちは。物流に関する知識をまとめたメディア「ピックゴー物流コラム」編集部です。
運送業界は深刻な人手不足という問題を抱えています。
長時間労働の是正が行われる働き方改革関連法の施行は、「2024年問題」として運送業界の人手不足に拍車をかけているのが現状です。
この記事では、運送業界の現状が厳しいといわれている理由は何なのか、2024年問題への対策はあるのかなどについてわかりやすく解説します。
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運送業経営者が不安に感じる現状
運送業界はどんなことが厳しいのか……M&Aの仲介サービスを提供しているM&Aキャピタルパートナーズ株式会社が2022年に実施した運送業経営者へのアンケートがあります。
運送業界の実態を知るために、公表されたアンケート結果をもとにご紹介しましょう。
物流・運送業経営者の75.2%が先行きを「さらに厳しくなる」と回答
『物流業界の実態調査』では、働き方改革関連法の施行によって先行きが厳しくなると回答した経営者は、75.2%にも上りました。
特に運送業界においては、時間外労働の上限規制が適用されることで、さらなる人手不足が懸念されているのです。
長距離輸送のトラックドライバーは、道路事情や天候、荷待ち時間などによって、どうしても不規則かつ長時間の労働になる傾向があります。
今後適用される時間外労働の規制に則って従来の業務を行うのであれば、中継点の増設やトラックの増車など、企業にとっては大きな負担が発生すると考えられます。
【出典】迫る2024年問題!物流・運送業の意識調査を実施、難航する事業承継の実態が明らかに|M&Aキャピタルパートナーズのプレスリリース
物流・運送業経営者の多くが感じている課題とは?
前項でご紹介したアンケートでは、物流・運送業経験者が現状の課題であると感じている項目についてもヒアリングしています。
参考:迫る2024年問題!物流・運送業の意識調査を実施、難航する事業承継の実態が明らかに|M&Aキャピタルパートナーズ
経営者がもっとも大きな課題だと感じているのは、現状では燃料価格の高騰で、全体の67.3%が回答しています。
次いでドライバーの不足が60.4%、ドライバーの高齢化が55.4%、2024年問題を含む労働環境が51.5%です。
ドライバーの高齢化は、日本が迎えようとしている超高齢化社会の縮図ともいえます。
物流や運送業界における長時間労働のネガティブなイメージが影響し、若手の人材をなかなか確保できないことも人手不足の原因といえるでしょう。
運送業の厳しい現状|個別の課題を深掘り
運送業の厳しい現状は、主に3つのカテゴリーに分けることができます。
燃料価格の高騰という企業が担う経費の部分、高齢化も含むドライバーの不足というハード面の部分、そして2024年問題というインフラの部分です。
それぞれどのように対応すればよいのか、現状がどれほど厳しいのかについて、課題を個別に深掘りしていきます。
燃料価格高騰への対応
国土交通省の調査によると、2016年にガソリンスタンドで70円だった軽油の価格は、2023年9月には106円/Lにまで上昇しています。
燃料価格の高騰は経費の増大に直結し、利益の減少を生んでしまうため、本来であれば運賃に上乗せし荷主に請求したいところですが、運賃交渉ができていないのが現状です。
燃料価格高騰への対応としては、主に3つの対策が考えられます。
- 業務の効率化:配送のルート・頻度の見直し
- 低燃費車両の導入:ハイブリッド車などの燃費性能の良い車両の導入
- 燃料サーチャージの導入:燃料価格の増減分を別建ての運賃として設定する
またエコドライブを実施するようドライバーに教育や周知を徹底することも、燃料価格高騰への対策といえるでしょう。
ドライバーの人材不足と高齢化の問題
ドライバーの人手不足の原因としては、業界へのネガティブなイメージが先行していることが挙げられます。
- 長時間で不規則な労働時間
- 労働内容に見合わない賃金の安さ
以前は一定の若い世代にも『仕事は大変だけど稼げる仕事』『車が運転できる仕事』として人気がありましたが、他社との価格競争によって運賃を上げられず、ドライバーの賃金は決して高くないのが現状です。
人手不足を解消し、高齢化をストップさせるためには、柔軟な労働条件の設定や、女性・外国人労働者が働けるような労働環境の整備が必要になります。
業界全体の賃金アップを行うことで、若年世代の労働力確保にも効果があるでしょう。
2024年問題への対応
2024年問題は企業だけではなく、働いているドライバーにも影響があります。
残業代などが減ることで年収が下がり、離職を招くという負の連鎖が生まれる可能性があるのです。
2024年問題に運送業界がどう対応すればよいのか、具体的な対策は3つあります。
- ITの活用:車両管理システムや予約受付システムなどの導入
- 労働環境・条件の改善:時短勤務制などの導入や福利厚生制度の充実
- M&Aの実施:人材確保や労働条件の改善に効果的
ITの導入や労働環境の改善が自社だけでは難しい場合は、一部の事業を売却して資金を調達したり、大手企業の傘下に入ってITを活用できるようにするM&Aも検討する必要があります。
運賃についての荷主との交渉
「燃料価格の高騰などを運賃に反映させることができれば……」と考える運送業者は多いものの、荷主との交渉は難しいのが現状です。
経済産業省は、価格交渉が頻繁に行われている9月と3月を『価格交渉促進月間』とし、交渉が思わしくない業界においては下請中小企業振興法による『指導・助言』の実施を検討しています。
2024年問題を抱える運送業界にとって、荷主への運賃の交渉が行えれば、運送会社の負担は軽減し、従業員の賃金アップなども可能になるはずです。
価格転嫁・価格交渉に応じない荷主に対して、国の指導が入ることになれば、効果は必ず上がるでしょう。
運送業者の現状打破をお手伝いできるピッグゴーのサービス
運送業者が抱える現状の課題は多くありますが、状況を打破するためのお手伝いができるサービスがあります。
ピックゴーがどのようにお役に立てるのか、3つのサービスを課題別にご紹介しましょう。
人材不足や荷主交渉の負担を解消|ピックゴー
運送会社の抱える人材不足や、荷主交渉の負担を軽減するためには、配送プラットフォームのピックゴーがおすすめです。
ピックゴーは、荷主と配送パートナーを直接オンラインでつなぐプラットフォームです。
荷主には依頼から配送までの時間短縮や、荷量に合わせた配車によりコストを削減できるメリットがあります。
ドライバーにとっても、運送会社の社員としてではなく、直接荷主と繋がることができるため、仕事に見合った適正な料金を受け取ることが可能です。
個人事業主として配送の仕事を希望するドライバーもいることから、会社としてアウトソーシングを検討する良い機会にもなるでしょう。
2024年問題に向けたアウトソーシング
カスタマイズ配送は、自由に物流を設計できるカスタマイズ可能なサービスです。
24時間365日対応が可能で、食品・建材・医療品など、商材も問いません。
ルート配送・エリア配送・店舗間配送などさまざまな用途に利用できます。
専任の担当者がニーズに合ったプランを提案してくれるので、自社で対応が難しい場合はアウトソーシングを検討することもおすすめです。
運送業で生き抜くために|厳しい現状を対策しよう
運送業界が抱える課題は現状が厳しいものが多く、2024年の働き方改革法の施行は企業だけではなく、従業員であるドライバーにも大きな影響があるといわれています。