
残荷とは?主な発生原因と物流事故を防止するためのポイント
こんにちは。物流に関する知識をまとめたメディア「ピックゴー物流コラム」編集部です。
荷主企業や運送会社は、サービスの品質向上だけでなく物流事故のリスク低減にも取り組む必要があります。物流事故が頻発すると顧客からの信頼が失われ、ブランドイメージや売上の低下につながる可能性があるためです。中でも物流倉庫から商品を運び出す際に発生しやすい物流事故が「残荷」です。今回は、残荷の基礎的な知識や主な発生原因、物流事故を防止するためのポイントについて解説します。
目次[非表示]
- 1.残荷の基礎知識
- 1.1.残荷とは
- 1.2.残荷以外の主な物流事故
- 2.残荷の主な原因
- 2.1.作業現場が整理整頓されていないこと
- 2.2.作業員の慣れ
- 2.3.人手不足
- 2.4.物量の増加
- 3.残荷を防止するためのポイント
- 3.1.残荷チェックを徹底する
- 3.2.作業の機械化や自動化を進める
- 3.3.アウトソーシングを活用する
- 4.残荷防止の仕組みを整備してブランドイメージの向上につなげよう
残荷の基礎知識
残荷は、荷主企業や運送会社が避けなければならない重大な事故です。ここでは残荷の概要やその他の物流事故について解説します。
残荷とは
残荷とは当日出荷すべき商品が物流倉庫やターミナルに残っている状態のこと。読み方は「ざんか」で、物流事故の一種です。残荷には次の2つのパターンがあります。
- 荷主や倉庫業者が当日出荷予定の荷物を運送会社に引き渡すのを忘れた
- 運送会社が出荷すべき荷物を倉庫に置き忘れた
残荷が起こると指定の日時に荷物を届けるのが難しくなり、顧客に損失を与える可能性があります。
残荷以外の主な物流事故
- 誤出荷
誤出荷とは出荷する商品自体や数量、配送先を間違えることを指します。ピッキング時の商品の取り違えや数量間違い、管理タグの貼り付けミスなどが主な原因です。誤出荷を起こさないためには、ダブルチェックや目視確認を徹底することが大切です。
- 在庫差異
在庫差異とはデータベースなどで管理している帳簿上の在庫数と、倉庫内の実在庫数にズレが生じている状態のことです。棚卸差異とも呼ばれます。伝票の入力ミスや数え間違い、管理ルールの不徹底、仕入れや発注時のミスなどが主な原因です。在庫差異をなくすには、在庫管理システムを導入しヒューマンエラーを防止する必要があります。
- 商品破損
商品を保管・輸送する際の破損も物流事故のひとつです。主な原因には落下や振動、転倒、荷崩れなどが考えられます。緩衝材の利用をはじめとした基本的な対策のほか、壊れ物注意や上積み禁止シールの活用、荷積みの最適化などを行う必要があるでしょう。
- 遅配
遅配とは商品の配送が指定の日時に間に合わないことを指します。EC市場の発展による物流量の増加や人手不足などが主な原因です。遅配を減らすには、ロケーション管理の徹底や機械の導入などによる作業の効率化が欠かせません。
残荷の主な原因
物流現場ではなぜ残荷が発生するのでしょうか。ここでは残荷の主な原因をご紹介します。
作業現場が整理整頓されていないこと
作業現場が雑然としていて当日出荷すべき荷物とそれ以外の荷物が明確に区別されていないと、見落としによる残荷が発生しやすくなります。3定管理などを取り入れ、倉庫内を整理整頓する必要があるでしょう。3定管理とは「定品」「定量」「定位」の3つの「定」に着目した荷物の管理方法です。それぞれの意味は以下の通りです。
- 定品:定められた商品を置く
- 定量:定められた量だけ置く
- 定位:定められた場所に置く
作業員の慣れ
慣れによって作業が緩慢になり残荷が発生するケースもあります。「あの荷物は誰かが運んでくれるだろう」という思い込みやうっかりミスによる積み残しなどが考えられます。
人手不足
人手不足により集荷のタイミングで積み残しや置き忘れのチェックが行えないと、残荷が発生する可能性が高まります。すぐに人員を補充して対処するのが理想ではあるものの、物流コストなどが障壁となり難しいケースも少なくありません。
物量の増加
物流現場では物量の増加により当日配達すべき荷物に対応しきれず、仕方なく残荷が生じてしまうケースもあります。実際、2020年度(令和2年度)の宅配便取扱個数は、48億3647万個で前年度比11.9%の増加を記録しています。
【出典】「令和2年度宅配便取扱実績について」(国土交通省)https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha04hh000235.html
残荷を防止するためのポイント
残荷の発生は荷主企業のイメージや売上の低下につながるおそれがあるため、事前の対策が重要です。ここでは残荷を防止するためのポイントを解説します。
残荷チェックを徹底する
残荷チェックとは当日出荷予定の荷物が倉庫内に残っていないか確認する作業のことです。エリアごとに担当者を決め、指差しや声出しによる確認で残荷の有無をチェックします。残荷チェックは慣れや思い込みなどによる見落としを防ぐため、「残荷がある」と思って行うことが大切です。事前にチェックリストを作成しておくと良いでしょう。
作業の機械化や自動化を進める
残荷の発生を防ぐには作業の機械化や自動化を進め、荷物の置き忘れやピッキングミスを減らすのが効果的です。具体的な方法としてはピッキングロボットや自動搬送ロボットの導入、倉庫管理システムの利用、バーコードとハンディターミナルを活用したピッキングシステムの構築などが挙げられます。
アウトソーシングを活用する
残荷が頻発する場合は、外部の物流会社に業務をアウトソーシングするのがおすすめです。知見が豊富な専門業者に委託することで物流業務の品質が向上し、残荷をはじめとしたヒューマンエラーの防止につながります。また固定費となりやすい物流コストの変動費化も可能になり、コストを最適化できるのもメリットです。
残荷防止の仕組みを整備してブランドイメージの向上につなげよう
残荷事故は、企業イメージや売上の低下につながる重要な問題です。残荷チェックの徹底や作業の自動化・機械化、業務のアウトソーシングなどを行い残荷の発生防止に努めましょう。
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