
物流業界の課題|解決に向けて運送会社が取れる対策とは?
こんにちは。物流に関する知識をまとめたメディア「ピックゴー物流コラム」編集部です。
ECサイトの一般化により物流の需要は拡大の一途をたどっています。一方で、人材の不足、業務効率の低下、さらに新型コロナウイルスの影響など、困難な課題に直面している物流企業は少なくありません。各事業者はこの問題へどのように取り組んでいくべきなのでしょうか。
こちらでは、物流の現場が直面している課題や主な解決策についてお話しします。自社にとって問題の解決につながる情報をお探しの場合は、参考資料としてお読みください。
目次[非表示]
- 1.物流業界の主な課題
- 1.1.ドライバー不足
- 1.2.業務の激務化・非効率化
- 2.物流業界の課題解決に向けて、運送会社が取れる対策
- 2.1.ITツールやシステム導入による効率化
- 2.2.業務の自動化
- 2.3.宅配ボックスの設置推進
- 2.4.自動運転やドローン配送など新技術の活用
- 2.5.共同配送の実施
- 2.6.モーダルシフトの活用
- 3.物流業界の課題を把握し対策を用意しておくことが重要
物流業界の主な課題
まずは、物流業界が直面している具体的な課題と現状をご紹介します。
ドライバー不足
多くの物流業界の事業者は、深刻なドライバー不足に直面しています。2021年5月時点で、ドライバーの欠員率は4.1と全産業平均2.4の約2倍に到達しました。こうした人手不足の背景には、トラックドライバーの厳しい労働環境があります。ドライバーの仕事は全業種平均よりも長時間労働で年間所得額が低い傾向にあります。そのため新しくドライバーになる若者が増えにくく、ドライバーの高齢化が進んでいる状況です。
【出典】厚生労働省「労働経済動向調査(令和3年5月)の概況」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/keizai/2105/
【出典】厚生労働省「統計からみるトラック運転者の仕事」
https://driver-roudou-jikan.mhlw.go.jp/national/
業務の激務化・非効率化
ネット通販の普及により、物流業界では個人宅への宅配需要が増加しています。宅配便の取扱個数は、2020年度で過去最高の48億3647万個に達しました。この宅配需要の増加はドライバー業務の激務化や非効率化につながっています。
例として、不在による再配達の手間は代表的な激務化・非効率化の原因です。また、宅配に迅速さが求められることからトラックの荷台に空きがあっても配達に向かうため、積載率が減少しやすくなっています。
【出典】国土交通省「令和2年度宅配便取扱実績について」
https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha04_hh_000235.html
物流業界の課題解決に向けて、運送会社が取れる対策
上述したような直面している課題に対し、物量業界では解決策を迫られている状況です。以下では、運送会社が取れる対策をご紹介します。
ITツールやシステム導入による効率化
ひとつは、ITツールやシステム導入によって効率化を図る対策です。例として、倉庫管理システムによる商品管理の徹底、動態管理システムによる配送ルートの最適化などが挙げられます。物流業務に関わる作業の効率化につながり、人手不足の課題に対処しやすいでしょう。
業務の自動化
続いて、作業に特化したロボットやツールを導入し、業務を自動化する対策です。物流ロボット、自動梱包機、自動封函機、マテハン、RPAなど、業務に合わせたロボット・ツールの導入によって少ないリソースでも業務を処理できるようになります。とりわけ、人手不足の課題に対応しやすい対策です。
宅配ボックスの設置推進
宅配ボックスは、受け取り主の不在時に荷物を入れておく容器のこと。受け取り主が配達員に対応できない場合でも配達を完了できます。近年では、新型コロナウイルス感染予防の観点からも需要が高まっているアイテムです。
宅配ボックスの設置は再配達の削減につながります。そのため、個人宅への宅配ボックス設置推進も課題解決が期待できる方法です。ドライバーが一度で荷物を配達できるようになり、業務の負担軽減が期待できます。再配達しなくて済んだ場合にポイントを付与するなど宅配ボックス設置によるメリットを提供し、サービスに取り組んでいる企業があります。
自動運転やドローン配送など新技術の活用
トラックの自動運転やドローン配送なども、物流業界を救う技術として実用化が急がれています。いずれも、ドライバー不足という大きな問題に直接アプローチする技術です。
完全の無人のトラック運転を実現できるのはまだ時間がかかると考えられていますが、ドライバーが運転する1台のトラックを無人のトラックが追従するシステムは少しずつ実用化に向けて検証が進められています。3台のトラックを1人のドライバーで動かせば、ドライバーの仕事量を3分の1に圧縮可能です。
空を飛ぶ小型無人機を使用して荷物を運ぶドローン配送も注目を集めています。こちらも人手不足を解消できるほか、交通状況の影響を受けないため大幅な配送効率のアップが期待できます。すでに離島への配送などで実用化された例もあります。現在は都市部などにも配送できるように環境整備が進められている段階です。
共同配送の実施
共同配送とは、物流事業者同士が連携し、異なる荷主の商品を同じトラックに積載し配送する手段のことです。配送先が同じ荷物と一度に運ぶことで、積載率の低下を防ぎます。ドライバーの長時間労働の是正、配送コストの削減、CO2排出量の削減などが期待できる方法です。一方で、複数の事業者が関連するため、事業者間の柔軟な連携が求められます。
モーダルシフトの活用
モーダルシフトとは、トラックによる配送を鉄道や船舶による輸送にシフトすることです。鉄道・船舶の輸送はトラックによる配送に対し、CO2排出量の点から環境負荷が少ないと考えられています。このことから、もともとは環境に配慮した取り組みとして生まれました。
現在は、輸送量に対して必要な人数が少ないこと、長距離輸送のコストが少ないこと、渋滞の影響を受けないことから、物量業界の課題解決につながると考えられています。
物流業界の課題を把握し対策を用意しておくことが重要
物流業界の主要な課題をご紹介しました。他にも細かな課題が予想されますが、少なくとも今回ご紹介した課題は多くの運送会社が直面していると考えられます。
運送会社が生き残っていくためには何らかの対策が必要です。
受け取り主に呼びかけが必要な宅配ボックスの設置や、まだ本格的な実用化にはいたっていない自動運転・ドローン配送など、運送会社だけでは実現できない対策もあります。
一方で、ツールやシステムを利用した業務効率化は、運送会社側でできる取り組みのため、積極的に着手していくことが重要です。