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物流DXとは?テクノロジーが物流業界の未来を変える

こんにちは。物流に関する知識をまとめたメディア「ピックゴー物流コラム」編集部です。


ネットショッピングの需要拡大やドライバーの人材不足などの問題を受けて、物流現場への負担は大きくなっています。人口減少も叫ばれる中、今後ますますデジタル技術を活用した効率的な物流を構築していくことが求められているでしょう。


この記事では、物流 DXの意味や利点を理解して、企業の物流・配送担当者のニーズに合った改善策をご提案します。物流 DXの基本と具体的な事例を紹介し、効果的な導入方法や成功事例もご覧ください。


目次[非表示]

  1. 1.①物流DXとは
    1. 1.1.物流DXの基本概念
    2. 1.2.物流DXの重要性
  2. 2.②物流DXの利点
    1. 2.1.生産性の向上
    2. 2.2.コスト削減
    3. 2.3.顧客満足度の向上
  3. 3.③物流DXの課題
    1. 3.1.システムの更新・カスタマイズ
    2. 3.2.トレーニングと人的資源
    3. 3.3.メンテナンスとセキュリティ対策
  4. 4.④物流DXの取り組み方
    1. 4.1.ITシステムの導入
    2. 4.2.データ分析の活用
    3. 4.3.最適化の推進
  5. 5.⑤物流DXの事例紹介
    1. 5.1.宅配事業者の事例
    2. 5.2.建設機械レンタル事業者の事例
  6. 6.⑥物流DXの将来展望
    1. 6.1.人工知能との連携
    2. 6.2.ロボット技術の進化
    3. 6.3.自動運転の導入


①物流DXとは

まず物流DXという言葉の意味を見てみましょう。国土交通省が公開している資料『最近の物流政策について』(2021年1月22日)の中では、「機械化・デジタル化を通じて物流のこれまでのあり方を変革すること」と定義されています。


2024年問題や深刻化する人手不足を課題とする物流業界。これまでの物流のあり方を変革する物流DXは、今後ますます重要性が高まっていくと言えるでしょう。


物流DXの基本概念

DXとはデジタルトランスフォーメーションの略称であり、一般的にデジタル技術を用いてビジネスモデルを変革させる取り組みを指します。


デジタル技術と一口に言ってもビッグデータやAIの活用、機械による業務の効率化など様々ですが、これらはあくまでDXの手段であり、本質はビジネスモデルを変革することで競争上の優位性を確立することにあります。


物流業界においては、「在庫管理の効率化」「配送ルートの最適化」「倉庫の自動化」などを通じて収益構造の改善、新たな付加価値の提供、生産性の向上などを図ることがDXとして考えられるでしょう。


物流DXの重要性

物流分野における労働力不足は近年顕在化しており、トラックドライバーが不足していると感じている企業は増加傾向にあります。2019年の調査では約70%の企業が「不足」又は「やや不足」と回答している現状(※)において、業務をデジタル化することで人手不足に対応することは喫緊の課題と言えます。


また働き方改革にともなって想定される「2024年問題」は運送会社にとって利益の減少をもたらし、モノを運びたい企業にとってはコストの増大へとつながるでしょう。物流に関わるあらゆる企業にとって、収益構造の改善へとつながるDXは極めて重要ではないでしょうか。
※国土交通省「最近の物流政策について」(2021年1月22日)より


②物流DXの利点



ここで改めて、物流に関わる企業にとってのDXの利点を整理しましょう。物流DXに取り組むことで得られる代表的な利点として、以下のようなものが考えられます。

  • 生産性の向上
  • コスト削減
  • 顧客満足度の向上


それぞれ詳しく見ていきます。


生産性の向上

労働生産性の向上という観点で物流業界を見てみると、電話、FAX・紙でのやりとりが主流でデジタル化はあまり進んでいないのが実態です。
デジタル化による生産性の向上が見込める業務として、配車計画・手配、配送の完了連絡、貨物の照会、出荷伝票の作成などが挙げられます。これらアナログな業務をデジタル化することで、業務の効率化が図れるでしょう。


コスト削減

注文処理の自動化によって、作業時間が削減されます。またこれにより人的エラーやコミュニケーションのミスを減少させ、誤った注文や配送が減り、コストの節約が実現できます。
また輸送ルートや配送スケジュールの計画といった観点では、燃料コストを削減しトラックや車両の効率的な利用が可能となります。
在庫データの管理をデジタル化することで適切な在庫レベルの維持につながり、商品の滞留や廃棄物の削減が可能です。これもまたコスト削減に貢献します。


顧客満足度の向上

配送・物流業者にとって、顧客に正確な商品を正確な時間に提供することは第一の義務です。遅延や誤った商品の配送はクレームの原因となるため、物流DXを活用してリアルタイムのトラッキングや在庫管理を改善し、配送の正確性を高めることは顧客満足度を向上させるでしょう。
また顧客のニーズに合わせたカスタマイズされたサービスやパーソナライズされた体験を提供することは、顧客の満足度を高める方法の一つです。物流DXはデータを活用して、個々の顧客に合わせたサービスを提供するための機会を提供します。


③物流DXの課題


これまで物流DXの概要・メリットについてご説明してきましたが、適切に実施するための課題についても紹介いたします。

  • システムの更新・カスタマイズ
  • トレーニングと人的資源
  • メンテナンスとセキュリティ対策


という観点から物流DXの課題を見ていきましょう。


システムの更新・カスタマイズ

配車業務、倉庫運営、注文の処理…どんな業務であってもDXのためには既存のシステムを適切にデジタル化する必要があります。この際、サーバーやネットワークのアップグレードなどが必要な場合、大規模なコストがかかることがあります。

また、どのようにデジタル化する場合においても、デジタルプラットフォームとの繋ぎ込みにおいて事業ごとのカスタマイズやデータの移行は避けられません。実態に即した、きめ細やかな対応が求められるでしょう。


トレーニングと人的資源

従業員に新しいテクノロジーを効果的に活用させるためにはトレーニングが必要です。トレーニングコストや作業中の適切なサポートが提供されない場合、従業員に適切なスキルを持たせることが難しく、結果として生産性が落ちるリスクがあります。

また各種システムの導入にあたっては社内の調整のみならず、顧客や取引先との連携も必要になる場合が多々あります。社内外で見落としなく実装に進むことが重要です。


メンテナンスとセキュリティ対策

物流DXシステムを適切に稼働させるために、定期的なメンテナンスとサポートが必要です。これにはシステムのアップデート、障害対応、セキュリティ対策などが含まれます。
セキュリティ対策が不足していると、データ漏洩やサイバーセキュリティ攻撃に対処するためのコストが増加する可能性があります。


④物流DXの取り組み方



物流DXの実施に際しては適切な計画、予算編成、テクノロジーの選択、トレーニング、セキュリティ対策などが重要です。また長期的な視野を持ち、コスト削減と業務効率化のバランスを保つことが求められます。

ここでは「ITシステムの導入」「データ分析の活用」「最適化の推進」という3つのポイントから具体的に物流DXへの取り組み方を見ていきましょう。


ITシステムの導入

まずは現在の業務プロセスを評価し、改善すべきポイントを特定します。どのような課題があり、どのような目標を達成したいのかを明確にすることで、導入すべきITシステムが検討できるようになります。
具体的には、在庫管理の改善、配送スケジュールの最適化、顧客サービスの向上などが目標となるでしょう。これらのニーズに合ったシステムを選択するために、ベンダーやソフトウェアの比較、デモの評価、評判の調査などを行います。システムのスケーラビリティと将来の成長に対する適応性も考慮します。


データ分析の活用

既存のデータを新しいシステムに移行し、異なるシステム間でのデータの統合を行います。この際、データの整合性と正確性を確保するために注意が必要です。
これらの統合が済むと、リアルタイムのデータを収集・分析し、業務プロセスの最適化へと進めます。現在運行中の車両や、日々変化する受発注のデータに基づいて配送ルートの調整や在庫管理の改善を行いましょう。


最適化の推進

物流DXにおける最適化の対象は、配送と在庫管理の大きく2つに分けられます。まず配送においては効率的なルートプランニングがカギとなります。デジタルツールやルート最適化ソフトウェアを使用して、最適なルートを計画し、交通状況や天候の変化に対応することで燃料コストの削減や配送時間の短縮につながります。


次に在庫についてですが、過剰な在庫は費用をかけ、不足はサービス品質を低下させる可能性があります。データ分析や需要予測を活用して、在庫の最適なレベルを維持しましょう。


最後に、最適化の推進においては環境への配慮も重要です。燃費の最適化、排出削減、環境にやさしい輸送オプションの検討など、持続可能な配送プラクティスを導入しましょう。


⑤物流DXの事例紹介



ここからは、実際に物流DXの推進に成功した企業事例について見ていきましょう。「ピックゴー物流コラム」編集部として、弊社のサービスを中心に紹介させていただきます。


宅配事業者の事例

日本郵便株式会社ではこれまで、熟練ドライバーの確保やルート作成、誤配送への対応などに課題を持っていました。そこでSmaRyuポストという宅配業務を効率化するシステムを導入したことで、配送の効率と品質向上に成功しました。
スマホを通じて熟練ドライバーのノウハウを共有し、荷物状況・位置情報を見える化することでより生産性を高く配送を行えるようになりました。


建設機械レンタル事業者の事例

㈱レンタルのニッケンでは、建設機械の配送に用いる車両の手配に課題があったところ、配送プラットフォーム「ピックゴー」を利用することで機会損失を避け、コストの削減にもつながりました。


「ピックゴー」は管理画面上で配送依頼をかけると、全国のドライバーのスマートフォンアプリや運送会社の管理画面に一斉にプッシュ通知が届き、それを見て配送業務を受けたいと思ったドライバーや運送会社がエントリーすることができるシステムです。車両の位置情報も常に把握できるため、顧客に対し到着予想時刻を即座に顧客に伝えられるようになりました。


⑥物流DXの将来展望



ここまで、物流DXの現状や導入事例についてご覧いただきました。ここからは、将来的にさらなる期待ができる物流DXのトピックスを紹介していきます。


人工知能との連携

人工知能=AIは過去のデータを活用して需要予測モデルを構築し、需要の変動を予測します。これにより、在庫管理を最適化し、適切な在庫レベルを維持できます。


倉庫やトラックにおいては、センサーデータ(IoTデバイスからのデータ)が重要です。AIはセンサーデータをリアルタイムで解析し、トラックやコンテナの状態、温度、湿度などを監視します。AIにより、異常が検出されると即座に対応措置を講じるシステムを構築しうるでしょう。


またルート最適化という文脈でも、AIはトラフィック情報、天候、交通パターンなどをリアルタイムで分析し、最適な配送ルート計画に貢献します。効率的なルートプランニングにより、燃料コストを削減し、配送時間を最小限に抑えることができます。


ロボット技術の進化

まず代表的なところでは自動倉庫ロボットがあります。倉庫内での荷物の移動やピッキング作業を自動化し、倉庫内の効率が向上して正確性が増す取り組みです。24時間の稼働も可能なので、迅速な受注処理と発送を実現します。


また人間と協働するロボットアシスタントも魅力的な存在です。これらのロボットは、重い物の持ち上げや運搬を支援し、人間の労力を軽減します。また点呼を支援するロボットなどもまだまだ普及の余地がある存在です。


自動運転の導入

物流業界において自動運転は革命的なトピックと言えるでしょう。センサー、カメラ、GPSなどを活用し自動的に運転するこの技術は、ドライバーを疲労や運転時間の制約から解放し、人の手を介さずに長距離配送が迅速かつ効率的に行えます。


法律や規制との調整が最大の課題となりますが、将来的な期待値が最も高い技術であることは疑いありません。


また山間部や交通の便が悪いエリアではドローンによる自動配送も高いニーズがあると言えます。こちらに関しても今後の普及がまだまだ期待できる技術と言えるでしょう。

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