catch-img

バリューチェーンとは?導入のメリットと分析の流れ、主な戦略

こんにちは。物流に関する知識をまとめたメディア「ピックゴー物流コラム」編集部です。


バリューチェーンは、企業の一連の事業活動における、「価値」の創造に着目したフレームワークです。バリューチェーンの考え方を理解することで、自社や競合他社の強み・弱みを明確にでき、市場での競争優位性の確保に役立ちます。


今回は、バリューチェーンに関する基本的な知識や、分析方法、メリットについて徹底解説します。他社との差別化や自社の課題の洗い出しにお悩みの場合は、ぜひ実践してみてください。


目次[非表示]

  1. 1.バリューチェーンとは?
    1. 1.1.バリューチェーンの意味
    2. 1.2.バリューチェーンとサプライチェーンの違い
  2. 2.バリューチェーンの主な構成要素
    1. 2.1.主活動
    2. 2.2.支援活動
  3. 3.バリューチェーンを分析するメリットと注意点
    1. 3.1.メリット
    2. 3.2.注意点
  4. 4.バリューチェーン分析の流れ
    1. 4.1.STEP1:自社のバリューチェーンの把握
    2. 4.2.STEP2:各プロセスのコストの分析
    3. 4.3.STEP3:各プロセスの強みと弱みの分析
    4. 4.4.STEP4:VRIO分析を行う
  5. 5.バリューチェーン分析の後に行う主な戦略
    1. 5.1.集中戦略
    2. 5.2.差別化戦略
    3. 5.3.コスト・リーダーシップ戦略
  6. 6.バリューチェーンを分析して自社の強みに磨きをかけよう


バリューチェーンとは?

バリューチェーンは製造業や小売業、飲食業など幅広い業界・業種で使用されている考え方です。バリューチェーンの理解を深めることで、競合他社と比較して自社の強みや弱みがどこにあるのか分析し、事業戦略に役立てられます。こちらでは、バリューチェーンの特徴やサプライチェーンとの違いについてお伝えします。


バリューチェーンの意味

バリューチェーンとは、企業の事業活動の一連の流れの中で、付加価値が生み出される過程を導き出すフレームワークのこと。原材料の調達や商品の製造、販売、労務管理、技術開発など、企業の事業活動を価値(Value)の連鎖(Chain)として捉える考え方です。バリューチェーンを使って差別化戦略を構築する分析手法をバリューチェーン分析と呼びます。


バリューチェーンは、日本語では直訳的に「価値連鎖」と訳されることが一般的です。ハーバード・ビジネススクール教授のマイケル・ポーターが提唱した言葉で、1985年発行の著書『競争優位の戦略』の中で初めて言及しました。


バリューチェーンとサプライチェーンの違い

サプライチェーンとは、商品が消費者の手元に届くまでのプロセスのことで、日本語では「供給連鎖」と訳します。


具体的には、原材料や部品の調達から、商品の生産、物流・流通、エンドユーザーへの販売という一連の流れを指します。サプライチェーンは企業が行う一連の業務の流れそのものに着目するのが特徴で、自社だけでなく複数の企業が関わることが一般的です。また、商品の供給方法を見直すことで、業務を効率化する手法をサプライチェーンマネジメント(SCM)と呼びます。


バリューチェーンは、企業が行う一連の業務の流れで「価値」が付与されるプロセスに着目する点でサプライチェーンとは異なります。


バリューチェーンの主な構成要素



利益(マージン)を生むためのバリューチェーンの構成要素は、「主活動」と「支援活動」の2つに分類されます。こちらでは、主活動と支援活動の詳細について、具体例を踏まえてご紹介します。


主活動

主活動とは、企業の活動のうち、直接的な価値を生むものを指します。主活動に含まれる業務は、産業のジャンル別に異なるのが特徴です。自社の主活動を確認する際は、「購買物流」「製造」「出荷物流」「販売・マーケティング」「サービス」の流れに沿って分類するのがおすすめです。以下では、業界・業種別に主活動の内容を確認します。


  • 製造業の場合

製造業では、購買物流や製造などの業務がメインで付加価値を生みやすいプロセスです。例えば自動車メーカーの場合、購買物流には、商品企画や必要な原材料・部品などの調達業務が該当します。特に原材料や部品の調達業務は、コスト分析も求められるため、価値を最大化するために重要です。


そして、製造には工場での部品の加工や車両の製造、出荷物流には車両の販売店への出荷、販売・マーケティングにはディーラーなどでの販売業務が当てはまります。どれも製品の品質や顧客満足度に直接影響する活動であり、バリューチェーンの中心的な役割を担っています。


また、サービスには製品のメンテナンスやアフターサービスなどが該当。市場の多様化が進む現代では、製品を販売するだけでなく、購入後のフォロー体制の充実度も顧客の購買意欲に直結しています。


  • サービス業の場合

サービス業では、新たなサービスの企画や営業活動などの業務が、付加価値を生む中心的なプロセスです。例えば、飲食店の場合、購買物流にはサービスの企画や食材の仕入れなどの業務が当てはまります。


また、製造には食材の調理、出荷物流には料理の提供、販売・マーケティングには会計業務が該当します。最後のサービスには、来店後のお礼メールやクーポン券の配布などがあり、リピーター獲得のために重要です。


  • 第一次産業の場合

第一次産業では、生産者、加工会社、販売会社などが連携して付加価値を高めています。例えば、農業の場合、購買物流には生産に必要な投入財の供給、製造には農業生産や農産物の加工が当てはまります。


また、出荷物流には農産物の輸送・流通、販売・マーケティングにはスーパーやコンビニでの販売業務が該当。サービスとして農作物の調理方法や美味しい食べ方などを紹介しているケースもあります。従来はそれぞれが個別に付加価値を生み出していましたが、「フードバリューチェーン」の浸透により、各段階での連携が進められています。


支援活動

支援活動とは、企業の主活動を支援する活動のことで、主に間接部門の業務が該当します。具体的には全般管理、人事・労務管理、技術開発、調達活動などです。


バリューチェーンを分析するメリットと注意点



バリューチェーン分析は、付加価値を生み出している工程を把握するためだけでなく、各工程の問題点の洗い出しを目的としても行われます。バリューチェーン分析によって、活動ごとの工程を可視化し、付加価値の有無を視覚的に判断できるためです。こちらでは、バリューチェーンを分析するメリットと注意点について解説します。


メリット

  • 利益を最大化しやすい

バリューチェーン分析を行うことで、付加価値を生み出しているプロセスが明確になるため、利益を最大化しやすくなります。得意な分野に経営資源を集中的に配分し、付加価値を増大させることも可能です。


また、バリューチェーン分析によって自社の強みや弱みを確認できれば、経営戦略の方向性を考える際に役立ちます。具体的には、「どの工程までを自社で行うか」「他社と連携すべき点はあるか」などの視点を持つことで、垂直統合や水平統合の可能性を検討しやすくなります。


  • 競合他社の活動を予測しやすい

バリューチェーン分析は、自社だけでなくライバル企業の分析にも役立ちます。競合他社の強みや課題を把握できれば、次の活動を予測しやすくなり、自社の戦略に活かすことも可能です。消費者のニーズや市場の状態を踏まえて先回りしたり、提供する商品やサービスの差別化を図ったりすることで、自社の市場での競争優位性を向上できます。


  • コスト削減につながる

バリューチェーン分析を実践すると、どの活動が製品やサービスに付加価値を加えているのか明確になり、今後優先的に取り組むべきプロセスと重要性の低いプロセスを見極めやすくなります。優先順位の高いプロセスには、経営資源を効率的に再配分することで、商品・サービスの品質向上やコスト削減を実現可能です。


  • 自社のサービスを見直しできる

バリューチェーン分析によって、改めて自社のサービスの魅力や弱点を見直すことで、新たな価値を生み出すチャンスにもつながります。例えば、品質は優れているものの手際や接客面で不安がある場合は、人材育成や人材マネジメントに注力したり、提供時間に課題がある場合はオペレーションを最適化したりなど。サービスの見直しによってより多くの価値を顧客に提供できれば、市場での競争力の向上も期待できます。


注意点

バリューチェーン分析は、自社で完結した流れのみ分析可能であり、製造や調達などを他社が行う場合にはあまり適していません。製品・サービスの付加価値は、他社でも作り出せる可能性があるためです。


バリューチェーン分析の流れ



バリューチェーン分析は、4つのステップに沿って行われるのが一般的です。こちらでは、バリューチェーン分析の基本的な流れを解説します。


STEP1:自社のバリューチェーンの把握

最初に、自社の業務や活動をできるだけ細かく洗い出し、機能別に整理しましょう。例えば、小売業の場合、商品の仕入れや販売、店舗運営、集客などの業務を、購買・製造・物流・販売といった機能別に整理するのです。整理が完了したら、主活動と支援活動に振り分け、主活動は実際のプロセス順に並べましょう。
これにより、自社のバリューチェーンを視覚的に把握できるようになり、強みや弱みを分析しやすくなります。また、細かな業務や活動まで列挙することで、一般的な企業とは異なる活動や、足りない部分を発見できる可能性も高まります。


STEP2:各プロセスのコストの分析

次に、活動ごとに必要となるコストを算出します。分析時には表計算ソフトなどを活用し、年間コストや担当部署を視覚的にわかりやすい形でまとめるのが基本です。

ひとつの部署で複数の業務を行っている場合は、かかったコストを合算して記入しましょう。ひとつの業務を複数の部署で行っている場合は、活動割合に応じてコストも按分します。また、コストを一覧化できたら、コストの発生要因や各コストの関連性についても分析しておくのがおすすめです。
こちらのステップにより、活動に対するコストの妥当性を把握しやすくなり、コスト削減に取り組む際の指標となります。


STEP3:各プロセスの強みと弱みの分析

コストの分析が完了したら、自社の強みと弱みを活動ごとに確認しましょう。具体的には、顧客満足度や利益につながっている、もしくはつながっていない点を詳細に列挙します。例えば、製造業の場合、「リードタイムの短さ」「独自性」「価格」「技術力」「製品の完成度」などが挙げられます。特定の人員のみで行うと客観性に欠ける可能性があるため、できる限り多くの方を対象に意見や情報を集めるのがポイントです。
また、こちらのステップでは、競合他社の強みや弱みも合わせて分析しましょう。ライバル企業と比較することで見えてくる課題や、自社の優位性もあるためです。


STEP4:VRIO分析を行う

最後に、VRIO(ブリオ)分析を行います。VRIO分析とは、経営資源を「Value(経済的な価値)」「Rareness(希少性)」「Imitability(模倣可能性)」「Organization(組織)」の4つの視点で評価し、競争優位性や強化すべきポイントを確認する手法です。
具体的には、ステップ3で抽出した自社の強みを上記4つの観点で分析します。例えば、Valueについては「その経営資源が価値を直接生み出すか」「脅威の無力化に役立つか」などの評価項目を決め、それぞれについて「Yes」「No」で判定。「Yes」の評価が多い活動は競争優位性が高い、少ない活動は競争優位性の構築が必要、と判断できます。


バリューチェーン分析の後に行う主な戦略


バリューチェーン分析で企業の経営資源などを把握した後は、経営資源最適化のため、主に3つの戦略を行うことになります。こちらでは、3つの戦略についてそれぞれ細かくご紹介します。


集中戦略

集中戦略とは、企業の持つ経営資源を特定の製品や顧客層、販売エリアなどに集中的に投下し、競争優位性を高く保つ戦略のこと。自社の得意分野に限られたリソースを投下することで、中小規模でも独自の強みを得やすく、大手企業とも競い合えるようになります。


集中戦略に必要なリソースを確保するには、企業のビジネス上の強み(コアコンピタンス)を生み出さない業務をアウトソーシングするのも良いでしょう。例えば、製造業における物流業務の場合、「PickGo」がおすすめです。軽貨物で40,000台以上(バイク・自転車含む)、一般貨物(2トン~10トン車)で1,000社以上の登録台数を誇る日本最大級の配送マッチングサービスで、大型トラックや冷凍車など、多様な車種を短期間で配車できます。


日本全国、24時間365日即日対応しており、パートナー決定にかかる最短時間は56秒のため、配送時間の短縮や配送品質の向上に役立ちます。

※上記の数値はすべて2021年8月時点のものです。


差別化戦略

差別化戦略とは、特定市場において自社製品やサービスの優位性を保つために、他社製品・サービスとの特異性を作り出す戦略のこと。具体的には、機能性やブランド力、品質、独自技術、デザイン性、顧客サービスなどの面で差別化を図り、競合が模倣できないように工夫する必要があります。バリューチェーン分析で判明した自社の強みをもとに、どの部分であれば差別化を図りやすいか検討しましょう。


コスト・リーダーシップ戦略

コスト・リーダーシップ戦略とは、市場における競争優位性を確立するために、製品やサービスにかかるコストを他社よりも安価に抑える戦略です。仕入れ方法の見直しや人件費の削減、生産工程の効率化などに取り組むことで、品質面を維持しながら低価格な製品を提供できるようになります。


バリューチェーンを分析して自社の強みに磨きをかけよう

今回は、バリューチェーンの分析方法や事業戦略に活かす際のポイントについてお伝えしました。バリューチェーン分析に取り組めば、利益の最大化やコスト削減といったメリットが期待できます。分析の効果を高めるには、自社の業務をできる限り細分化し、強みや弱みを明確にすることが重要です。経営戦略の有効性を確保するためにもバリューチェーン分析を実践してみてはいかがでしょうか。
バリューチェーンによる経営資源の最適化で、物流業務のアウトソーシングを検討する場合は、配送サービス「ピックゴー」がおすすめです。24時間365日いつでも配車を依頼できるため、配送品質の向上や物流コストの削減が期待できます。


⇒ピックゴー (法人のお客様向け緊急配送・即日配送)

⇒ピックゴー エクスプレス(アプリ版:個人のお客様向け緊急配送・即日配送)

キーワード検索

人気記事ランキング

タグ一覧