
フルフィルメントとは?主な業務内容と外注のメリット・デメリット
目次[非表示]
- 1.フルフィルメントの基礎知識
- 1.1.フルフィルメントとは?
- 1.2.フルフィルメントサービスと3PLの違い
- 2.フルフィルメントの主な業務内容
- 3.フルフィルメントサービスを利用するメリット
- 3.1.コア業務に注力しやすくなる
- 3.2.顧客満足度の向上が期待できる
- 3.3.物流コストの削減に役立つ
- 4.フルフィルメントサービスを利用するデメリット
- 4.1.バックヤード業務のノウハウが自社に蓄積しない
- 4.2.顧客のニーズを把握するのが難しい
- 4.3.利用以前と同様のサービスを顧客に提供できなくなるおそれがある
- 4.4.業務の状況をリアルタイムで確認しにくい
- 5.フルフィルメントサービスを選ぶ際のポイント
- 5.1.委託する業務範囲と目的を明確にする
- 5.2.商品の保管環境を確認する
- 5.3.個人情報の管理が行き届いている業者を選ぶ
- 5.4.料金体系を確認する
- 5.5.将来の事業拡大を想定して業者を選定する
- 6.フルフィルメント業務の品質向上に取り組み事業成長を加速させよう
- 7.ピックゴーを活用した物流面からのビジネス支援
こんにちは。物流に関する知識をまとめたメディア「ピックゴー物流コラム」編集部です。
フルフィルメントは、ECサイト運営に必要なバックヤード業務の総称です。フルフィルメントの業務範囲は多岐にわたるため、事業拡大とともに現場の負担も増大し、人手不足や品質の低下につながるケースも少なくありません。
本記事ではフルフィルメントの概要や主な業務内容、アウトソーシングのメリット・デメリットを解説します。委託先の選び方にも触れますので、フルフィルメント業務の効率や品質向上にお悩みの場合はぜひ参考にしてください。
フルフィルメントの基礎知識

フルフィルメントは英語で「fulfillment」と表記し、「実行」や「遂行」を意味する言葉です。物流業や倉庫業ではECサイトを運営する際によく使用されます。こちらではフルフィルメントの概要や混同されることの多い3PLとの違いを解説します。
フルフィルメントとは?
フルフィルメントとはECや通販事業において、商品の受注から消費者への配送までに必要な一連の業務のことです。具体的には受注管理や入荷、検品、問い合わせ対応、在庫管理、返品処理などが該当します。フルフィルメントの業務範囲は徐々に拡大傾向にありますが、現状ではマーケティング業務は含まれないと解釈するのが一般的です。
また、EC事業向けの物流施設をフルフィルメントセンター(FC)と呼びます。自社で物流倉庫を保有し、一連の業務を請け負うフルフィルメントサービスを提供するアウトソーシングベンダーも登場しています。
フルフィルメントサービスと3PLの違い
3PLとは荷主企業が物流部門全般の業務を外部の物流会社に委託する業務形態のことです。「Third-Party-Logistics」の略語で、「サードパーティ・ロジスティクス」と読みます。
フルフィルメントサービスと3PLは、委託できる業務の範囲に違いがあります。3PLは物流業務のみを請け負うのに対して、フルフィルメントサービスは直接物流とは関係しない業務まで外注できるのが特徴。決済処理や顧客対応などECサイトの運営に欠かせない業務に幅広く対応してもらえます。
フルフィルメントの主な業務内容

フルフィルメントの業務は、荷物が物流倉庫へ届いた瞬間からスタートします。こちらではフルフィルメントの主な業務内容について、一連の流れに沿ってご紹介します。
入荷、検品
入荷や検品は、メーカーや卸会社からフルフィルメントセンターに届いた商品に不備がないか確認する作業です。商品の間違いや数量間違い、破損、汚損などを放置したまま出荷してしまうと購入者からのクレームにつながる可能性があるため、丁寧なチェックが求められます。またECサイトでは多くの種類の商品を取り扱うため、倉庫管理システムハンディターミナルなどのITツールを活用して効率化を図るケースが多いのが特徴です。
棚入れ、保管
棚入れや保管は、商品ごとに指定された棚へ移動し、注文が入るまで在庫として管理する業務です。スペースを有効活用できるよう、パレット単位で商品を保管するなど各事業者が独自に工夫しています。ECサイトは都市部からの注文が多く、事業者は地価の高いエリアにフルフィルメントセンターを構える必要があり、大規模な倉庫を用意しにくい傾向にあるのが理由です。また、商品の移動時にはフォークリフトや管理用のバーコードなどが使用されるのが一般的です。
受注処理
受注処理は、エンドユーザーからの注文を受け、在庫や決済の確認を行ったうえでフルフィルメントセンターへ出荷指示を出す工程です。ネット注文だけでなく電話注文も可能な場合は、コールセンター業務も含まれます。
ピッキング
ピッキングは、顧客からの注文情報をもとに保管場所から商品を取り出す作業です。ECでは注文から配送までのスピードが顧客からの評価に直結するため、作業の自動化・効率化を目的としたピッキングシステムやロボットの導入が進んでいます。
ピッキングの方法にはオーダーピッキングとトータルピッキングの2種類があります。オーダーピッキングとは注文があるたびにピッキング作業を行う方法のことです。一方トータルピッキングは、複数の注文のピッキングをまとめて行う方法を指します。ECでは受注頻度の高い商品にすぐにアクセスできることから、オーダーピッキングや両者を組み合わせたマルチオーダーピッキングが採用されやすい傾向にあります。
流通加工
流通加工は、エンドユーザーからの要望に応じて商品を加工する工程です。袋詰めや値札付け、精肉・鮮魚の加工、製品の組み立てなど商品価値を高めるための作業全般を指します。
梱包
梱包は、配送時に商品が破損しないよう保護する作業です。要望がある場合は、ギフトラッピングやメッセージカードの封入などを行うケースもあります。顧客からのクレームや満足度の低下を防ぐために重要な工程です。梱包前には商品の状態に問題がないか最終チェックを行います。
発送
発送は、商品を配送業者に引き渡し、顧客のもとへ届けるプロセスです。発送完了メールなどを送信し、顧客に商品の受け取りの準備を促す必要があります。EC事業者のなかには発送業務のみを外部委託するケースも見られます。
決済業務
決済業務は、事前に指定した方法で顧客から商品代金を徴収する工程です。従来は代引き業務を配送業者に依頼するケースもありましたが、近年ではオンラインでのキャッシュレス決済が主流です。
返品処理、クレーム対応
商品の配送後にトラブルが生じた場合は、返品処理やクレーム対応も行います。返品処理では一度商品の状態を確認してから再発送したり、連絡があった時点で新しい商品を送り直したりなど企業によって対応はさまざまです。また、クレーム対応専門のカスタマーサービスを用意している企業もあります。
フルフィルメントサービスを利用するメリット

フルフィルメントの業務は多岐にわたるため、知見の豊富な専門業者にアウトソーシングするケースも見られます。そこで続いては、フルフィルメントサービスを利用するメリットをご紹介します。
コア業務に注力しやすくなる
アウトソーシングを活用することでフルフィルメント業務を外部の専門業者に任せられるため、コア業務に人員や時間を充てやすくなるのがメリットです。ネットショップ運営に関連するコア業務の例としては、ECサイト制作・運営や販売促進、マーケティング、商品開発などが挙げられます。
また工数の多い物流業務を外部に委託し、コア業務に注力することで売上の向上も見込めます。販路拡大による越境ECの実現やスピーディーな事業の立ち上げを狙う際にも活用できるでしょう。
顧客満足度の向上が期待できる
代行サービスではフルフィルメント業務を専門に扱うプロにアウトソーシングできるため、受注から発送までの時間短縮や作業品質の向上につながります。顧客満足度や購買体験の向上も期待でき、リピーターの獲得による売上アップも見込めるでしょう。
また、スムーズな顧客対応や在庫管理におけるミスの削減にも役立ち、競合との差別化を図ることができます。外注業者はフルフィルメント業務に関する知見が豊富なため、事業を拡大して取り扱う商品の種類や注文量が増えた場合でも高いクオリティで対応してもらえる点も安心できるでしょう。人手不足の心配もなくなっていき、商品の販売施策を積極的に打ち出しやすくなります。
物流コストの削減に役立つ
フルフィルメントセンターを自社で保有する場合、さまざまなコストが固定費で発生しており企業経営に影響を与えています。人件費や倉庫の賃料、コールセンターにかかる費用などが代表例です。
センター内の業務をアウトソーシングすることで一部のコストを変動費化でき、物流コストの削減が期待できます。キャッシュフローの改善につながり、安定した企業経営が可能になるでしょう。事業規模を拡大する場合も人員を急激に増やす必要がなく、コストを抑えて新規市場の開拓を狙えます。
フルフィルメントサービスを利用するデメリット

自社の業務を外部の業者に委託する特性上、フルフィルメントサービスの利用にはデメリットもあります。効果を最大限享受するには、フルフィルメントサービスの活用で期待できるメリットを生かしつつデメリットをカバーするのが理想です。こちらでは4つの点をご紹介します。
バックヤード業務のノウハウが自社に蓄積しない
アウトソーシングを活用することでフルフィルメント業務を自社のスタッフが行わなくなるため、バックヤード業務に関するノウハウが自社に蓄積しにくくなります。将来的に自社の物流業務をすべて内製化したいと考えている場合は注意が必要です。ECサイトの立ち上げ時には、配送などリソースが不足している一部の業務を外注するのも良いでしょう。
顧客のニーズを把握するのが難しい
フルフィルメントサービスを利用する場合、カスタマーサポートやクレーム対応を外部に任せることになるため、顧客のニーズや声を確認するのに時間がかかりやすい点も課題です。フルフィルメントサービスを導入する場合は、現場との情報共有の方法を考えておく必要があるでしょう。またネットショップの公式SNSなどを運用し、顧客の反応や流行の移り変わりを直接確認する方法もあります。
利用以前と同様のサービスを顧客に提供できなくなるおそれがある
フルフィルメントサービスを利用する場合、自社で行っていたすべての業務を外注できるとは限りません。例えば手書きのメッセージカードの封入や特殊なギフト包装などのサービスは、委託先の業者にノウハウがないと対応してもらえない可能性があります。そのため、自社独自のサービスが支持を得ている場合、フルフィルメントサービスを利用することでかえって顧客満足度が低下するおそれがあります。
業務の状況をリアルタイムで確認しにくい
フルフィルメントサービスを活用すると物流業務全般を外注することになるため、物流の状況をリアルタイムで確認しにくい点にも注意が必要です。顧客から返品や追加注文に関する要望が届いた場合でも、迅速な対応ができなくなる可能性があります。在庫管理システムや倉庫管理システムの導入を進めてリアルタイムでの情報共有を図るなど事前に対策する必要があるでしょう。
フルフィルメントサービスを選ぶ際のポイント

EC市場の発展にともないフルフィルメントサービスを提供する事業者も多く登場しています。そのため、自社に適した委託先を選ぶにはいくつかのポイントを押さえておくことが重要です。最後にフルフィルメントサービスの選び方のポイントをご紹介します。
委託する業務範囲と目的を明確にする
フルフィルメントサービスを利用する場合、まずは自社の業務フローにおける課題を精査し、アウトソーシングする業務範囲と目的の洗い出しを行いましょう。例えば事業拡大にともない在庫管理の負担が増大している点や、返品対応が増えたことで売上が低下している点などを課題として挙げている事業者が多い傾向にあります。
解決したい課題によっては一部の業務のみを委託する方法も効果的です。すべてをアウトソーシングすることで業務効率は上がるものの、金銭的な負担も高まる点に注意しましょう。
商品の保管環境を確認する
管理の難しい商品や生鮮食品を扱う場合は、委託業者の商品の保管環境を事前に確認すると良いでしょう。類似商品の取り扱いに関するノウハウや温度調節が可能な倉庫を保有していない場合は、委託することでかえって物流品質が低下するおそれがあるためです。
また倉庫内で商品が劣化し、顧客からのクレームにつながるケースも想定されます。フルフィルメント業者によっては事前に倉庫見学ができる場合もあるため、事前にチェックしておくと安心です。
個人情報の管理が行き届いている業者を選ぶ
フルフィルメント業務の外注先を選ぶ場合は、個人情報の管理体制にも注意したいところです。物流業務では氏名や住所などの個人情報を取り扱う必要があり、管理が行き届いていない業者に委託すると漏えいなどのリスクが高まります。委託先のミスであっても自社の信頼や売上の低下に直結するため、プライバシーマークの保有などセキュリティ対策が充実している業者を選びましょう。
料金体系を確認する
フルフィルメントサービスの料金体系は、業者ごとにさまざまです。金額はもちろん、料金が商品点数と注文数のどちらで変動するのかも異なる場合があります。そのため、フルフィルメントサービスを導入する際は、複数の業者に見積もりを依頼したうえで費用感のシミュレーションを行うことが大切です。料金だけでなくサービスとのバランスも比較しましょう。
将来の事業拡大を想定して業者を選定する
フルフィルメントサービスは、将来的な需要も考慮して選定するのがおすすめです。例えば事業拡大にともない取り扱う商品数が増加した場合でも、柔軟に対応してもらえる業者を選ぶと安心でしょう。将来的な海外進出を検討している場合は、越境ECに対応したフルフィルメントサービスを探すのが良いでしょう。
フルフィルメント業務の品質向上に取り組み事業成長を加速させよう

今回は、フルフィルメントの概要やアウトソーシングのメリット・デメリット、委託先の選び方のポイントをお伝えしました。ECサイトの円滑な運営には、フルフィルメント業務の品質向上が欠かせません。アウトソーシングの活用も含めてフルフィルメント業務の見直しに取り組み、事業成長を加速させましょう。
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