
軽貨物運送業で独立失敗を防ぐには?しっかり準備して年収アップへ
こんにちは。物流に関する知識をまとめたメディア「ピックゴー物流コラム」編集部です。
インターネットで簡単に注文し、家や職場などまで商品を届けてくれるインターネット通販(EC)。現在、このEC市場の拡大に伴い、運送業の需要が高まっています。
運送業の中でも、軽自動車を運転する軽貨物運送業は、比較的開業のハードルが低いとされています。そのため、新たにサラリーマンから個人事業主になって参入する人、または副業として開業する人が増加中です。ところが、中には開業したもののうまく事業を安定化させられず、独立失敗。車両のローンをアルバイトで返済しなくてはならなくなる…というようなケースもあります。
とはいえ今後も、軽貨物運送業界は需要拡大が見込める業界であることに変わりはありません。今後軽貨物運送業への参入を考えている方は、開業前に独立失敗を防ぎ、成功に導くポイントを把握しておきましょう。
早速、軽貨物運送業の独立失敗を防ぐポイントをご紹介します。
目次[非表示]
- 1.軽貨物運送業の独立失敗を防ぐポイント
- 1.1.独立前に収支計画を立てる
- 1.2.軽貨物運送業の開業に必要な主な費用
- 1.3.開業前に固定客を獲得する
- 1.4.任意保険に加入する
- 2.軽貨物運送業が独立におすすめの理由
- 2.1.ほかの業種よりも開業しやすい
- 2.2.軽貨物運送業の需要は高い
- 3.軽貨物運送業の独立開業方法
- 3.1.軽貨物車と駐車場を用意する
- 3.2.運輸支局に開業を届け出る
- 3.3.運輸支局に提出する必要書類
- 3.4.軽自動車検査協会で黒ナンバーを取得する
- 3.5.保険に加入する
- 3.6.開業届を提出する
- 4.軽貨物運送業の開業後は、配送プラットフォームの登録がおすすめ
- 5.事前のシミュレーションで、独立失敗を避け成功に導こう
軽貨物運送業の独立失敗を防ぐポイント
軽貨物運送業の独立失敗を防ぐには、まずは開業前にしっかりと収支のバランス、売上の見込みや経費などのシミュレーションをすることが大切です。どのようなポイントに気をつけてシミュレーションをすれば良いのか、詳しく解説します。
独立前に収支計画を立てる
第一に、あらかじめ収支計画を立てておくことが必要です。「初期費用はいくらかかるのか」「月収、年収はどのくらい見込めるのか」といった収支の概算に加えて、軽貨物運送業の業務内容、勤務時間、開業に必要な手続きなどの、事業の基礎知識をしっかりと調べておくようにしましょう。
軽貨物運送業の開業に必要な主な費用
- 軽貨物車両代もしくはリース代
すでに持っているなら不要ですが、運送に使用する軽貨物車両(軽トラックや軽バン)を購入する費用がかかります。運送会社からリースする場合は、月ごとにリース代が計上されます。
- 軽自動車税(種別割)
毎年4月1日時点で、軽自動車の所有者にかかる税です。税率は車種によって異なり、原動機付自転車・二輪車・小型特殊自動車の場合は2000〜6000円、軽自動車(三輪・四輪)の場合は4500円〜1万2900円となります。自家用車よりも、営業車の方が税率は低いです。
- 軽自動車税(環境性能割)
自動車購入時にかかる税です。新車・中古に関わらず、取得価格が50万円を超える車両に対して課税されます。税率は燃費基準の達成率によって、非課税、1.0%、2.0%の3パターンに分けられます。ただし、令和2年9月30日までは1.0%削減されます。
- 自動車重量税
車両の新規登録時と車検時にかかる税です。金額は自動車の重量に応じて定められています。事業用の軽自動車の場合、新車新規からの経過年によって、5200円〜5600円となります。エコカー減税適用の車両であれば、減税もしくは免除となります。
- 車検費用
車検費用は初回の3年後、以後2年ごとに支払います。車検費用には、重量税や自賠責保険料などを含む法定費用と、車の点検・整備費用が含まれています。軽自動車の場合、相場は5〜8万円です。
- 黒ナンバー交付にかかる費用
自分で届け出をした場合、車検証の発行やナンバープレートの交付に2000円程度かかります。黒ナンバー取得を代行してもらうと、代行手数料で数万円かかるようです。
- 保険料
営業用車は保険料が高額になります。強制加入の自賠責保険料は24カ月で1万5千円程度、任意保険料は等級にもよりますが新規加入でおよそ20〜25万円程度は見積もっておいた方が良いでしょう。
- 駐車場代
月極の駐車場代がかかります。駐車場の料金は地域によって異なりますが、都心になればなるほど高額になる傾向があります。駐車場は営業所・休憩所から2km以内に用意することが義務づけられているため、借りる際は注意しましょう。
- ガソリン代
たとえばガソリン代が1Lあたり180円とすると、1日の走行距離が100km〜200kmで月24日稼働の場合、およそ月額5万円程度かかることになります。働く日数や就業時間、走行距離、車の燃費などを踏まえて、月額、年額のガソリン代を見積もっておきましょう。
- 雑費
車の維持費用、台車やカーナビなどの備品代、業務に使用する携帯電話の通信費、作業着や軍手、ガムテープ、筆記用具代などの消耗品にも費用がかかります。
開業前に固定客を獲得する
独立後すぐに業務に移れるようにするためには、独立する前に顧客先となる企業や人と関係を築いておくのが望ましいです。人づてに業務委託を行う運送会社や顧客を紹介してもらったり、開業をサポートする業者と契約したりすると、関係を築くことができます。
独立直後、全体の案件数が少ない状態であっても、大手企業から定期的な案件をもらえれば、安定した発注数と費用対効果の高い案件が見込めます。開業前にできるだけ固定客を獲得し、開業後円滑なスタートができるようにしておきましょう。
任意保険に加入する
開業する前に、トラブルが発生した際の損失を防ぐための対策を考えておく必要があります。ぜひ任意保険の加入を検討してください。何か問題が起こった際には真摯に対応し、できる限り社会的信用の低下を抑えるよう努めたいものです。金銭的な問題で対応できないということがないように、事故やトラブルの補償をしてくれる保険に加入することをおすすめします。
軽貨物運送業が独立におすすめの理由
ほかの業種よりも開業しやすい
最低限必要なものは軽貨物車両代1台と駐車場、普通自動車免許のみです。軽貨物車両は、普通自動車免許で運転できるため、新たに免許を取得する必要がありません。
さらに、軽貨物運送業は必要書類を提出するだけで始められる「届出制」のため、許可が下りるのを待つことなく、すぐに事業を始めることができます。また、登録時に手数料も不要です。そして開業資金が少額で済むため、万が一撤退する際も痛手が少ないといえます。
軽貨物運送業の需要は高い
小回りの利く軽貨物車両が行いやすい、宅配業務の需要が増加しています。国土交通省によれば、2018年度の宅配便の取り扱い実績は43億701万個で、過去最高となりました。取り扱い実績は2015年から4年連続で増え続けており、その背景にはインターネット通販(EC)市場の拡大があります。2018年度の国内の消費者向け電子商取引市場規模は17兆9845億円で、ネット通販は前年比8.96%増と伸びているのです。
今後さらなる需要拡大が見込まれるため、開業直後でも案件が得られやすい状況だといえます。
【出典】
「トラック運送業の現状等について」(国土交通省)
http://www.mlit.go.jp/common/001242557.pdf
「電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました」(経済産業省)
https://bit.ly/3bRMQ2e
軽貨物運送業の独立開業方法
軽貨物車と駐車場を用意する
軽貨物車とは、軽トラック、軽バン、バイク(125cc)などを指します。自分が所有する車両はもちろん、リースした車両も営業車として使用できます。
そして駐車場は、営業所および休憩・睡眠施設から半径2km以内であることが必要です。
運輸支局に開業を届け出る
軽貨物車と駐車場が用意できたら、運輸支局に必要書類を揃えて提出しましょう。車検証のコピー以外の書類は、運輸支局の窓口で入手できますが、あらかじめWebサイトからダウンロードすることもできます。
運輸支局に提出する必要書類
- 貨物軽自動車運送事業経営届出書
営業用の軽自動車であることを示す「黒ナンバー」を得るための書類です。事業代表者の氏名や営業所の名称と住所、事業に使用する車両の数と種類、車庫の位置と広さ、運送約款などを記入します。
- 事業用自動車等連絡書
軽自動車検査協会に提出する書類です。運輸支局での届け出が完了すると発行してもらえます。この書類は再発行してもらえないので、取り扱いに注意しましょう。
- 運賃料金設定届出書
事業開始後に受け取る運賃料金の設定を届け出る書類です。距離と時間に対応した運賃表を設定します。他、運送以外の料金として、積込み、取卸し、荷待ち時間などの諸作業に発生する料金も記載します。別添で料金表(貨物軽自動車運送事業運賃料金表)をあわせて提出します。
- 車検証のコピー
軽運送業に使う車両の確認をするための書類です。新車の場合は、車両の車体番号が記載されている書類を用意します。
軽自動車検査協会で黒ナンバーを取得する
運輸支局での届け出が終わったら、軽自動車検査協会にも必要書類を提出します。必要書類は、運輸支局で受け取った事業用自動車等連絡書、車検証のコピー、使用中の黄色地のナンバープレート(黄色ナンバー)です。これで「黒ナンバー」と呼ばれる黒地のナンバープレートが交付されます。軽貨物車には黒ナンバーの設置が義務づけられているので、必ずこの手続きを行いましょう。
保険に加入する
自動車損害賠償保障法に基づいた自賠責保険(自賠責共済)は強制保険のため加入が必要です。また、自動車保険(任意保険)についても十分な補償金額の契約を締結し、万が一の事故に備える必要があります。
また、貨物保険への加入も推奨されています。貨物保険に加入していれば、運送中の荷物を破損させた場合、所有者に対する損害賠償を補償できます。
開業届を提出する
開業日から1カ月以内に、所轄の税務署に開業届を提出しましょう。開業届を出しておくことで、節税効果の高い青色申告が可能になります。
軽貨物運送業の開業後は、配送プラットフォームの登録がおすすめ
配送プラットフォームとは、荷物を送りたい荷主と、荷物を届けたい軽貨物ドライバーを直接結びつけるサービスです。受注・発注をデジタル化することで、荷主が緊急の配送を依頼したいときに、すぐにドライバーを探せる仕組みとなっています。一方ドライバーは、荷物配送後、空の状態で走っている最中にも仕事を得ることができます。
軽貨物運送業を開業後、スピーディーに仕事を得るには、この配送マッチングサービスに登録しておくと良いでしょう。中でも、「ピックゴー」という配送プラットフォームがおすすめです。
ピックゴーには、全国60,000台以上の軽貨物(バイク・自転車含む)の配送パートナーが登録しており、日本最大級の規模を誇ります。荷主にとって使いやすいサービスであるため、荷主と配送パートナーの成約率は平均99.2%と、非常にマッチングしやすいのが特長です。
※記事内の数値はすべて2025年2月時点のものです。
また、適正化された報酬が得られるのも、事業主やドライバーにとっては大きなメリット。依頼主が配送パートナーと直接つながるシステムなので、運送会社の中抜きの排除が可能となっているのです。
そしてピックゴーでは、荷物の受取主からの評価制度が導入されています。評価が上がれば、配送パートナーは指名を受けやすくなるため、モチベーションの維持につながります。一方荷主はこの評価をもとに配送パートナーを選択できるため、案件に適した人材に依頼しやすくなるというメリットがあります。
さらに、現在自分の車両を持っていない配送パートナーでも開業しやすいように、ピックゴーを運営するCBcloudでは「クロッキー」という車両売買サービスを運営しています。最短即日での納車も可能かつ常温車から冷凍車まで幅広く取り扱いがあります。お急ぎの方も自分にぴったりな車両をお探しの方もお気軽にお問い合わせください。
車両購入をご検討の方を対象に開業に必要な黒ナンバー取得に関するご相談受付も行っていいます。
事前のシミュレーションで、独立失敗を避け成功に導こう
今回ご説明したように、軽貨物運送業の開業自体は、決してハードルの高いものではありません。しかし、その分、開業した後のシミュレーションを事前に行っておくことが必要です。「見切り発車で開業して、結局すぐに廃業せざるを得なくなってしまった」…という事態を避けるためにも、必ず詳細な収支計画を立てておきましょう。
また開業後は迅速に実働に入れるように、配送プラットフォームをうまく活用すると良いでしょう。空いた時間で仕事を得ることもできるので、突然の依頼キャンセルがあった際の補填にも使えます。
事前のシミュレーションでしっかりと対策を立てて、軽貨物運送業の安定化を目指しましょう。