
貨客混載の背景と現状|メリット・デメリットと導入時にすべきこと
こんにちは。物流に関する知識をまとめたメディア「ピックゴー物流コラム」編集部です。
多頻度小口配送の増加やドライバーの人材不足、長時間労働などの課題を抱えている運送業界。それらの問題を解決する手段として、近年注目を集めているのが「貨客混載」です。
今回は、貨客混載に関する基礎知識や現在行われている取り組みの詳細、メリット・デメリット、導入時の注意点についてお伝えします。貨客混載のデメリット解消に役立つおすすめの車両管理システムも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次[非表示]
- 1.貨客混載の基礎知識
- 1.1.貨客混載とは?
- 1.2.貨客混載が求められる背景
- 1.3.貨客混載の現状
- 2.貨客混載のメリット・デメリット
- 3.貨客混載の導入時にすべきこと
- 3.1.双方にメリットがあるか確認する
貨客混載の基礎知識
貨客混載とは?
貨客混載とは、乗客と荷物の輸送・運行を一緒に行う取り組みです。鉄道や飛行機、路線バス、タクシーなどの旅客事業の一部のスペースが、荷物の運搬に利用されます。貨客混載は客貨混載と呼ぶ場合もあります。
貨客混載が求められる背景
貨客混載は、運送業界と過疎地での問題を同時に解決するのに役立つため、各方面で期待されています。運送業界では、トラックドライバーの人手不足の状態が続いています。この点、貨客混載で一部の業務を旅客運送業者に委託することで、労働力不足のカバーが可能です。
また、過疎地では、人口減少により公共交通機関の機能低下や経営状態の悪化が進み、存続が危ぶまれている会社もあります。貨客混載を活用することで、運賃収入を得られ、公共交通機関の経営改善が期待できます。
貨客混載の現状
貨客混載にはさまざまな規制がありましたが、幾度の実証実験を経て、2017年9月から国土交通省が、過疎地域などでのバスやトラック、タクシーなどによる貨客混載を一部解禁しました。そして、2020年11月には「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律」が改正され、貨客混載の手続きを迅速に行えるようになっています。
貨客混載のメリット・デメリット
メリット
- 環境への負荷が軽減される
貨客混載は、バスやタクシーなど他の運送手段を利用することで、環境負荷の大きいトラックへの依存を減らすことが可能です。CO2排出量を低減できるため、環境問題解決の手段としても注目されています。
- 物流コストを削減しやすい
貨客混載では、公共交通機関の空きスペースを活用して貨物を配送するため、物流コストを削減しやすいのもメリットです。コスト削減を実現できれば、利益の最大化や新たな人材の雇用に資金を充てられます。
- EC市場の拡大に伴う配送需要の増加に対応しやすい
貨客混載によって貨物の種類や輸送先に応じて配送方法を選択することで、物流の効率化を実現でき、EC市場の拡大に伴う配送需要の増加に対応しやすくなります。そのため、withコロナ時代に突入し、小口配送の増加への対応が不安視されているなか、解決手段のひとつとして貨客混載が注目を集めています。
デメリット
- 運搬できる量に限界がある
貨客混載は、乗客スペースの一部を利用して荷物を置くため、運搬できる量に限界があります。荷物を乗せる場合は、本業の旅客運送業を圧迫しないよう配慮が必要です。
- 到着まで時間がかかることがある
貨客混載では、公共交通機関への貨物の積み替え作業などが必要になるため、トラックのみで配送する場合と比較して到着まで時間がかかることがあります。効率的に配送するためには、公共交通機関のダイヤ改正や調整などが求められる可能性があります。
- 1回の配送に関わる会社や人の数が多い
貨客混載は、貨物運送業者と旅客運送業者が連携して荷物を運ぶため、1回の配送に関わる会社や人の数が多いのが特徴です。配送の段階に応じて関係者間での調整が必要であり、場合によっては地域の特性なども踏まえなければならないため、やや手間に感じるケースもあります。
貨客混載の導入時にすべきこと
双方にメリットがあるか確認する
貨客混載を導入する際は、貨物運送業者と旅客運送業者双方にメリットがあるよう、運賃や発送期間などを設定することが大切です。必要であれば、時刻表や運行ルートの調整を行いましょう。また、各社の一定期間の損益分岐点を算出しておくと、連携によってメリットが生まれる荷物の量や配送頻度を判断しやすくなります。