
定期配送サービスとは?法人・ECの仕組みからメリット・選び方まで徹底解説
こんにちは。物流に関する知識をまとめたメディア「ピックゴー物流コラム」編集部です。
「そろそろ定期配送をきちんと仕組み化したい」「サブスクや定期便を始めたけれど、現場が追いついていない」そんなお悩みはありませんか。
オフィス用品や飲料の補充、ECの定期購入、店舗・倉庫間のルート配送など、定期配送サービスは一度うまく設計できれば、発注業務や配送の手間を大きく減らし、コストと品質の両方を安定させることができます。
一方で、「自社に合うサービスの選び方がわからない」「ドライバー不足の中で本当に運行を維持できるのか不安」という声も多く聞かれます。
本記事では、定期配送サービスの基本的な仕組みや種類から、導入メリット、よくある失敗パターンと選び方のポイントまで、物流担当者の目線でわかりやすく解説します。
さらに、柔軟な定期配送体制を構築するための配送プラットフォーム「ピックゴー」の活用方法についても紹介しますので、「安定した配送」と「物流コストの最適化」を両立させたい企業のご担当者さまは、ぜひ最後までチェックしてみてください。
目次[非表示]
- 1.定期配送サービスとは?基本の仕組みと種類
- 2.定期配送サービスを導入するメリット
- 2.1.発注・在庫管理の自動化による業務負担の削減
- 2.2.配送コストの平準化と最適化ができる理由
- 2.3.品切れ・欠品リスクの低減と顧客満足度アップ
- 2.4.ドライバー不足・採用コストなど人手不足課題への対策
- 3.定期配送サービスの主なタイプと活用シーン
- 3.1.オフィス用品・日用品・飲料などの定期補充便
- 3.2.食品・飲料・日用品ECにおけるサブスク型定期配送
- 3.3.店舗・倉庫間配送やラストワンマイルなど法人向け定期配送
- 3.4.時間制・距離制で組むルート配送のパターンと考え方
- 4.自社に合う定期配送サービスの選び方
- 4.1.料金体系(距離制・時間制・荷量ベース)と最低利用条件を確認する
- 4.2.ドライバーの品質・教育体制・サポート体制をチェックする
- 4.3.急な増便や繁忙期にも柔軟に対応できるか
- 4.4.対応エリア・車両タイプ・温度帯など物流要件との適合性
- 4.5.システム連携・配送状況の見える化・管理画面の使いやすさ
- 5.柔軟な定期配送を実現する配送プラットフォーム「ピックゴー」の活用ポイント
- 5.1.全国規模のドライバーネットワークで必要なときに定期便を構築できる
- 5.2.時間制・距離制などニーズに合わせた料金設計が可能
- 5.3.専任スタッフによる運行管理とトラブル時のサポート体制
- 5.4.スポット配送と組み合わせた効率的な物流設計・コスト最適化
- 6.まとめ:定期配送サービスで物流を安定させ、コア業務に集中できる体制をつくる
定期配送サービスとは?基本の仕組みと種類

「定期配送サービス」と聞くと、まずイメージするのは「毎月決まった日に商品が届く仕組み」ではないでしょうか。
大まかにはその通りですが、実際の現場ではもう少し幅広い意味で使われています。
定期配送サービスは、あらかじめ「届けるタイミング」と「届ける場所・ルート」を決めておき、継続的に同じ配送を行う仕組みです。
たとえば、次のようなケースが典型的です。
毎週月・水・金にオフィスへ飲料を補充する
毎月第1営業日に、店舗へ販促物を一括で届ける
毎日決まった時間に、センターから店舗へ商品を横持ちする
一度スケジュールやルートを設計してしまえば、あとはその計画に沿って運行していくだけなので、「忘れた」「発注漏れが起きた」といったヒューマンエラーが減りやすくなります。
また、定期配送サービスの中には、いわゆる「サブスク(定額制サービス)」と組み合わさったものも多く存在します。
たとえば、定額料金で決まった量の飲料や食品が届くサービスや、ウォーターサーバー・浄水器カートリッジの定期交換などが代表例です。
一方で、通常のスポット配送と比べると、
契約期間が長くなることが多い
運行ルートの設計が必要になる
など、考えるべきポイントも変わってきます。
まずは、「定期便」「サブスク」「単発の通常配送」がどう違うのかを整理しておくと、自社にとってベストな形が見えやすくなります。
定期配送について詳しく知りたい方は、こちらの『定期配送とは?仕組み・メリットから自社物流への活かし方まで徹底解説』を併せてお読みください。
定期便・サブスク・通常配送の違い
「定期配送」とひとまとめにされがちな領域ですが、細かく見ると性質の違うしくみがいくつかあります。
ざっくり整理すると、次のようなイメージです。
種類 | 主な特徴 | 契約のイメージ | 使われやすいシーン |
|---|---|---|---|
通常配送 | 必要なときだけ、その都度依頼する | 単発・スポット | 急な欠品対応、キャンペーン時の増便など |
定期便 | 決まった日時・ルートで繰り返し配送 | 毎日/毎週/毎月など継続利用 | 店舗・倉庫間配送、オフィス備品の補充 |
サブスク型定期配送 | 商品やサービスを定額で継続利用 | 月額・年額などの定額課金 | 食品・飲料の定期購入、日用品の補充 |
通常配送(スポット)は、「今日だけこの荷物を届けたい」といった単発利用が中心です。
急な案件にも対応しやすい反面、都度手配が必要になり、現場の手間やコストが読みにくくなりがちです。
定期便は、「毎週火曜と金曜にこのルートで回る」といった形で、あらかじめスケジュールとルートを固定して運行します。
回数が多くなるほど1回あたりのコストを抑えやすくなり、ドライバー側も動きやすくなるのが特徴です。
サブスク型定期配送は、定期便の考え方に「定額料金」が組み合わさったものと考えると分かりやすいです。
毎月決まった金額で、決まった量の商品やサービスを利用できるので、利用者は家計管理や経費管理がしやすくなります。事業者側としても、売上が読みやすくなり、在庫や配送計画を立てやすいのがメリットです。
このように、「いつ、どのくらいの頻度で、どのような料金体系で届けるのか」によって、最適な仕組みは変わります。
続いて、法人向けと個人向けで、定期配送の考え方がどう変わるのかも整理してみましょう。
法人向け定期配送サービスと個人向け定期便の違い
同じ「定期配送」でも、法人向けと個人向けでは重視されるポイントが大きく違います。
イメージをつかみやすくするために、要点を並べてみます。
個人向け定期便の特徴
使いやすさや「ちょっとした楽しさ」が重視される
スマホから簡単に申し込み・スキップ・解約ができることが重要
1回あたりの金額は数千円前後など、少額の取引が多い
食品・飲料・コスメ・日用品など、生活に直結するアイテムが中心
法人向け定期配送サービスの特徴
「業務が止まらないこと」「店舗運営に支障が出ないこと」が最優先
遅延や欠品が発生したときのリスクが大きく、安定性が求められる
月あたり、年あたりの取引額が大きくなりやすい
複数拠点や複数店舗にまたがる配送も多く、ルート設計が重要
経理処理や請求書対応など、バックオフィスとの連携も必要
個人向けでは、「便利でお得」「生活がちょっと豊かになる」といった感覚的な価値も大切です。
一方、法人向けでは、
業務の止まりにくさ
コストの予測しやすさ
担当者の手間をどれだけ減らせるか
といった、ビジネス上のインパクトが重視されます。
そのため法人向け定期配送では、単に「毎回荷物が届けばOK」ではなく、「業務フロー全体の中でどう定期配送を組み込むか」という視点が欠かせません。
次では、こうした法人向けの定期配送が、実際の物流現場でどのような役割を担っているのかを見ていきます。
物流現場における「定期配送・ルート配送」の位置づけ
物流現場では、「定期配送」や「ルート配送」は、いわば“骨組み”のような存在です。ここがしっかりしていると、スポットの配送や急な依頼にも対応しやすくなります。
たとえば、次のようなイメージで役割分担されるケースが多いです。
定期配送・ルート配送
毎日・毎週・毎月など、決まった頻度で走る“基幹便”
店舗・倉庫間の横持ちや、定期的な納品を担当
スポット便・緊急便
想定外の欠品や追加発注に対応する“調整弁”
キャンペーン時や繁忙期の増便として活躍
このように、定期配送・ルート配送で「最低限必要な物流の土台」をつくっておくことで、現場はかなり安定します。
あらかじめ決まったルートで運行するため、ドライバーも道や現場に慣れやすく、ミスや遅延のリスクも下げやすくなります。
逆に、定期配送の設計が曖昧なままだと、
毎回スポット依頼になり、手配に時間がかかる
ドライバーが現場に慣れず、積み下ろしに手間取る
コストが読めず、予算管理が難しくなる
といった問題に悩まされがちです。
まずは、自社の物流の中で「どこを定期配送・ルート配送として固めるべきか」を整理することが、安定運行への第一歩になります。
次の章では、こうした定期配送サービスを導入すると、実際にどのようなメリットがあるのかを、具体的なポイントに分けて解説していきます。
定期配送サービスを導入するメリット

前章で、定期配送サービスの仕組みや種類を整理しました。
ここからは、「導入すると実際にどんな良いことがあるのか」を具体的に見ていきましょう。
定期配送をうまく設計すると、
現場担当者の業務がラクになる
物流コストのブレが小さくなる
欠品トラブルが起きにくくなる
慢性的な人手不足のリスクを下げられる
といったメリットが期待できます。
とくに、物流や店舗運営の担当者にとって大きいのが「毎日の細かい調整から解放される」という点です。
国土交通省の調査でも、トラックドライバーの不足感を抱える事業者は約6割に上るというデータがあります。
人手に余裕がない中で、毎回スポットで配送を手配していると、どうしてもムリやムダが生まれがちです。定期配送は、こうした状況をじわじわと改善していくための土台になってくれます。
まずは、業務負担を減らすという観点から、発注・在庫管理との関係をチェックしていきましょう。
発注・在庫管理の自動化による業務負担の削減
定期配送サービスの導入で、最初に実感しやすいメリットが「発注・在庫管理の手間が一気に減ること」です。
スポットでの発注が前提だと、担当者はこんな動きを毎回くり返すことになります。
在庫を目視・システムで確認
次の販売計画やイベントを考慮しながら必要数量を計算
社内の承認を取り、配送会社に依頼
配送日・時間の調整を行い、関係者に共有
1回あたりの作業は大したことがないように見えても、店舗数や拠点数が増えるほど、担当者の時間をじわじわ奪ってしまいます。
定期配送サービスを使えば、
「毎週◯曜日に◯ケースずつ」
「毎月末に翌月分をまとめて納品」
といった形で、発注と配送を“パターン化”できます。いったんパターンが決まれば、担当者は微調整だけに集中できるようになり、本来やるべき売場づくりや売上アップの施策に時間を回しやすくなります。
実際に、小売や飲食チェーンでは、発注・在庫管理の一部を自動化したことで、店舗スタッフの発注業務時間が3〜5割削減されたという事例も報告されています。
人手不足の中で、この差はかなり大きい数字と言えるでしょう。
このように、定期配送サービスは「人の判断が必要な部分」と「定型作業」を切り分けてくれる存在です。
続いては、コストの面でどんな効果があるのかも確認していきましょう。
配送コストの平準化と最適化ができる理由
物流担当の方からよく聞く悩みが、「月によって配送コストが上下して、予算管理が大変」という声です。
キャンペーンや繁忙期のたびにスポット便を積み増していると、どうしてもコストが読みにくくなります。
定期配送サービスをうまく組み込むと、次のような効果が期待できます。
毎月の配送回数やルートが決まるため、概算コストを事前に把握しやすい
同じルートをまとめて走ることで、1件あたりの配送単価を抑えられる
無駄な立ち寄りや、半分しか荷物が載っていない状態での運行を減らせる
とくに法人向けの定期便では、時間制や距離制など、ルートや頻度に応じた料金体系を選べるケースも多く見られます。
スポット配送ばかりを組み合わせた場合と比較して、年間で見ると数%〜数十%のコスト削減につながった事例も珍しくありません。
さらに、コスト面だけでなく「精神的な安心感」が生まれる点も見逃せません。
あらかじめ運行計画と概算コストが見えていると、社内の稟議も通しやすくなり、担当者としても説明しやすくなります。
次は、コストだけでなく売上や顧客満足度にも直結する「欠品リスク」について、定期配送サービスがどう役立つのかを見ていきましょう。
品切れ・欠品リスクの低減と顧客満足度アップ
どれだけ良い商品をそろえていても、売場やサイトで「在庫切れ」が続いてしまうと、顧客の信頼は少しずつ下がっていきます。
ECサイトでも店舗でも、「購入しようと思ったのに在庫がなかった」という体験が続くと、他社に乗り換えられてしまいがちです。
定期配送サービスは、この欠品リスクを下げるうえで非常に頼もしい存在です。
売れ筋商品の在庫が減ってきたタイミングで、あらかじめ補充便を入れておける
シーズン商材やキャンペーン商品の“山”に合わせて、事前に増便を組める
倉庫や店舗の在庫状況を見ながら、定期便の数量を段階的に調整できる
といった工夫がしやすくなります。
消費者調査では、「商品が品切れの店より、いつも在庫がそろっている店を選ぶ」と回答した人が7割を超えるというデータもあります。
欠品が減ることは、そのまま「選ばれ続ける理由」につながると考えてよさそうです。
また、BtoBの取引においても、「毎回きちんと納品してくれるサプライヤー」は、価格以外の部分でも高く評価されます。
定期配送サービスをうまく活用することで、顧客との信頼関係を強くしていくことも十分可能です。
それでも、現場では「そもそもトラックやドライバーが足りない」という課題に悩まされている企業も多いのではないでしょうか。
そこで次は、人手不足の観点から定期配送サービスのメリットを見ていきます。
ドライバー不足・採用コストなど人手不足課題への対策
日本の物流業界では、ドライバーの高齢化や長時間労働の問題もあり、人手不足が大きなテーマになっています。
国土交通省の資料でも、トラックドライバーの有効求人倍率は全産業平均を大きく上回る水準が続いていると示されています。
自社でドライバーを採用・教育し、車両を用意して…というやり方だけでは、限界を感じている企業も多いはずです。
定期配送サービスをうまく取り入れると、次のような形で人手不足リスクを緩和しやすくなります。
自社で抱えるドライバー数を最小限にし、足りない分を外部の配送リソースで補える
毎日バラバラだった運行を定期便としてまとめ、ムダな待機時間や空走を減らせる
同じルート・同じ現場に通うことで、作業が標準化され、1件あたりの対応時間を短縮できる
結果として、
自社で追加採用する人数を抑えられる
採用・教育・車両維持にかかる固定費を軽くできる
といった効果が期待できます。
もちろん、すべての配送を定期便に置き換えることは現実的ではありません。
それでも、「ここは定期配送」「ここはスポット」と役割分担をはっきりさせるだけで、現場の見通しはずっとクリアになります。
次の章では、こうしたメリットを踏まえつつ、自社に合った定期配送サービスを選ぶときに、どんなポイントをチェックすべきかを整理していきましょう。
定期配送サービスの主なタイプと活用シーン

ここまでで、定期配送サービスを導入するメリットを整理してきました。
次に気になるのは、「どんなタイプの定期配送があって、自社ではどこに当てはまりそうか」という点ではないでしょうか。
一口に定期配送といっても、
オフィス用品や飲料の“定期補充便”
EC向けの“サブスク型定期配送”
店舗・倉庫を結ぶ“法人向けのルート配送”
など、いくつか代表的なパターンがあります。
また、日本ではサブスクリプション市場そのものも拡大しており、2023年時点で約9,430億円規模、2025年には1兆円を超えると見込まれています。
それだけ「定期的に届く」という体験が、生活やビジネスの中に根づいてきたとも言えそうです。
ここからは、定期配送サービスの主なタイプごとに、どんな使い方がされているのかを具体的に見ていきましょう。
まずはイメージしやすい、オフィス用品や日用品の定期補充便からです。
オフィス用品・日用品・飲料などの定期補充便
最も身近な定期配送のひとつが、オフィス用品や日用品、飲料などの「定期補充便」です。
たとえば、こんなシーンを思い浮かべてみてください。
コピー用紙やトナー、文具が気づいたら残りわずか
休憩スペースのペットボトル飲料やコーヒーがすぐ空になる
ペーパータオルや洗剤などの衛生用品が、拠点ごとにバラバラに発注されている
この状態が続くと、
担当者が在庫確認と発注に追われる
「発注を忘れていた」といったミスが起こる
まとめ買いできず、結果的にコストも割高になる
といった悩みが積み重なりやすくなります。
そこで役立つのが、「毎月◯日に◯ケース」「毎週◯曜日にこのリストの商品を補充」といった定期補充便です。
定期補充便を入れると得られる効果の例
在庫確認の頻度を減らせる
一定量をまとめて納品できるため、単価交渉や物流コストの見通しが立てやすい
「切らしたくないもの」だけをリスト化しておけば、欠品リスクが下がる
複数拠点がある企業ほど、この仕組みを“全体ルール”として整えておくと、物流も購買もグッと管理しやすくなります。
こうしたオフィス・日用品レベルの定期補充は、言わば定期配送の「入口編」です。
次は、EC事業者にとって重要度の高い、サブスク型定期配送に目を向けてみましょう。
食品・飲料・日用品ECにおけるサブスク型定期配送
ECの世界では、「サブスク型定期配送」が一気に一般的になりました。
コーヒー、ミネラルウォーター、ベビー用品、ペットフード、サプリメントなど、「なくなる前に自動で届くとうれしい」商材と相性が抜群です。
消費者側の視点で見ると、
毎回注文する手間がいらない
在庫切れの心配が少ない
まとめ買い割引や会員特典を受けやすい
といったメリットがあります。
実際、日本のサブスクリプション市場は拡大傾向にあり、「定期的に届くサービスを利用したことがある」という人も年々増えていると報告されています。
一方で、事業者側にとっては、
顧客のLTV(生涯価値)を高めやすい
売上の予測がしやすく、仕入れや生産計画を立てやすい
配送ルートや倉庫のオペレーションを“定型化”しやすい
といったメリットが見込めます。
ただし、サブスク型定期配送では、
お届けスキップやプラン変更をどれだけ柔軟にできるか
解約のしやすさやサポート体制をどう設計するか
といった“使い勝手”も大きなカギになります。
このように、ECにおけるサブスク型定期配送は、「お客様の生活リズム」と「自社の物流リズム」をうまく重ねることが成功のポイントです。
次は、もう少し企業寄りの視点で、店舗・倉庫間の定期配送やラストワンマイルに目を向けてみましょう。
店舗・倉庫間配送やラストワンマイルなど法人向け定期配送
法人向けの定期配送では、「店舗と倉庫をどう結ぶか」「お客様に届くまでの“最後のひと区間”をどう設計するか」が重要なテーマになります。
代表的なのは、次のようなパターンです。
物流センター → 各店舗への定期納品(毎日/隔日/週◯回など)
倉庫間/拠点間の横持ち配送(在庫の移動や、共同配送の集約など)
ラストワンマイルを担当する定期配送(宅配・企業向け納品など)
特にラストワンマイルは、配送コスト全体の中でも負担が大きく、世界的にも「全配送コストの約3〜5割を占める」との分析があるほどです。
だからこそ、この部分を定期便やルート配送で安定させておくことが、コストとサービス品質の両方を守る鍵になります。
法人向け定期配送を考えるときのポイントとして、たとえば次のような観点が挙げられます。
納品時間帯:開店前に入れるのか、営業中に納品するのか
積載効率:1台の車両で、どれだけの店舗・荷物を回れるか
リードタイム:発注から納品まで、何時間・何日で回すのか
波動への対応:セールやイベント時の増便をどう組み込むか
こうした要素を踏まえたうえで、「ここは固定の定期便」「ここは柔軟なスポット対応」と設計していくと、現場がかなり動きやすくなります。
では、こうした法人向け定期配送を支える「ルートの組み方」は、どのように考えればよいのでしょうか。
次は、時間制・距離制などの料金体系も踏まえながら、ルート配送のパターンを整理していきます。
時間制・距離制で組むルート配送のパターンと考え方
法人向けの定期配送やルート配送では、「時間制」で契約するのか、「距離制」で契約するのかによって、設計の仕方が大きく変わります。
ざっくり整理すると、次のようなイメージです。
契約タイプ | 向いているケース | 特徴 |
|---|---|---|
時間制 | 積み下ろし時間が長い、立ち寄り先が多い | 何時間チャーターするかで料金が決まる |
距離制 | 走行距離が読みやすい、立ち寄りが少ない | 走った距離(km)に応じて料金が決まる |
時間制ルート配送の考え方
毎日◯時〜◯時の間、車両とドライバーを“貸し切る”イメージ
積み下ろしや待機時間が読みにくい配送に向いている
「この時間内で、このエリアを回り切る」設計をすると効率アップ
距離制ルート配送の考え方
拠点間の距離やルートがあらかじめはっきりしているケースにフィット
走行距離が増えるほど料金も上がるため、ルート設計の工夫が重要
無駄な遠回りや、非効率な立ち寄りを減らすことでコストを抑えやすい
いずれのタイプでも共通するのは、「どの順番で回ればムダが少ないか」「どの時間帯なら渋滞を避けられるか」といった視点でルートを磨き込んでいくことです。
ラストワンマイルのコストが高まりやすい今、ルート設計の善し悪しが、利益率やサービスレベルに直接ひびいてきます。
ここまで見てきたように、一言で定期配送サービスといっても、タイプや活用シーンによって考えるべきポイントはさまざまです。
次の章では、こうした違いを踏まえたうえで、「自社にとって本当に使いやすい定期配送サービスをどう選べばよいか」という視点でチェックポイントを整理していきましょう。
自社に合う定期配送サービスの選び方

ここまでで、定期配送サービスの種類と活用シーンを一通り整理してきました。
次のステップは、その中から自社にぴったりのサービスをどう選ぶかを考える段階です。
選び方を間違えると、コストがかさむうえに現場の負担も減らないままという残念な結果になりかねません。
一方で、いくつかのポイントさえ押さえておけば、初めての担当者でも安心してサービスを比較できるようになります。
ここでは、とくにチェックしておきたい代表的な項目を順番に見ていきましょう。
まずは、料金体系と最低利用条件から確認していきますね。
料金体系(距離制・時間制・荷量ベース)と最低利用条件を確認する
定期配送サービスを検討するとき、多くの担当者が最初に見るのが「料金」の欄ではないでしょうか。
しかし、金額だけをざっと比べてしまうと、後から「思っていたより高かった」と感じてしまうケースも少なくありません。
定期配送でよく使われる料金体系は、おおまかに次の3タイプです。
距離制:走行距離(km)に応じて料金が決まる
時間制:何時間チャーターするかで料金が決まる
荷量ベース:重量・個数・パレット数などで料金が決まる
同じ「1回の配送」でも、
納品先が多くて積み下ろしに時間がかかるルート
距離は長いが、積み下ろしがスムーズなルート
では、向いている料金体系が変わってきます。
そのため、
「自社の配送はどこで時間がかかっているのか」
「距離と作業時間のどちらのブレが大きいのか」
といった点を整理しておくと、サービスを選びやすくなります。
あわせて必ず確認したいのが、次のような最低利用条件です。
月◯回以上から利用可能か
1回あたりの最低料金はいくらか
契約期間に縛りがあるか
キャンセル料や時間変更のルールはどうなっているか
料金表だけを見ると「安そう」に見えても、最低利用回数やキャンセル条件まで含めると、トータルでは割高になることもあります。
まずは料金体系と利用条件をセットで確認し、自社の配送パターンに当てはめてシミュレーションしてみることが大切です。
続いて、料金だけでは見えにくい「ドライバーの品質」や「サポート体制」についても見ていきましょう。
ドライバーの品質・教育体制・サポート体制をチェックする
定期配送サービスは、長期間にわたって「自社の顔」として荷物を届けてもらう存在です。
そのため、料金がいくら魅力的でも、ドライバーの対応や会社のサポート体制が不安定だと、結果的に現場が疲弊してしまいます。
チェックしておきたいポイントの例は、次の通りです。
あいさつ・身だしなみ・安全運転に関する教育を行っているか
荷扱いルールや店舗ごとの細かな決まりを共有してもらえるか
トラブル発生時に、コールセンターや専任窓口が対応してくれるか
納品先からのクレーム・要望を、きちんとフィードバックしてくれるか
店舗や納品先の担当者からすると、「いつも同じドライバーさんで安心」というだけでも、大きなプラスになります。
逆に、日によって対応がバラバラだったり、連絡が付きにくかったりすると、いくらコストが安くても評価は下がってしまうものです。
各種調査でも、物流品質の課題として「コミュニケーション不足」や「現場との情報共有の弱さ」を挙げる企業は多いとされています。
だからこそ、料金比較の段階から「教育・サポートにどこまで取り組んでいる会社か」という視点を持っておきたいところです。
次は、現場でよく問題になる「急な増便」や「繁忙期対応」の観点から、サービスの柔軟性を確認していきましょう。
急な増便や繁忙期にも柔軟に対応できるか
定期配送は「安定運行」が前提のサービスですが、実際の現場では急な増便ニーズが必ず発生します。
セールやキャンペーン、想定外のヒット商品など、計画通りにいかないことも多いですよね。
そのため、サービス選定の段階で次のような点を具体的に聞いておくと安心です。
繁忙期に増便を依頼したいとき、どれくらい前までに相談が必要か
スポット便を組み合わせることができるか
通常時・繁忙期で料金が大きく変動するのか
予備のドライバーや車両を確保しているか
こうした情報があいまいなままだと、いざというときに「車両が手配できない」「予定より大幅に高くなった」という事態に直面しやすくなります。
とくに、年間を通じて繁忙期がはっきりしている業態では、その期間の対応力がサービス選びの決め手になることも多いでしょう。
定期配送の“ベース”を作りつつ、増減にも柔軟に対応してもらえるかどうか。
このバランスをイメージしながらサービスを比較していくと、自社に合うパートナーが見つかりやすくなります。
続いて、そもそも自社の荷物がそのサービスで運べるのかという「物流要件との相性」も整理していきましょう。
対応エリア・車両タイプ・温度帯など物流要件との適合性
どんなに評判の良いサービスでも、「自社の荷物を運べない」ようでは意味がありません。
そこで必ず確認したいのが、対応エリアや車両タイプ、温度帯といった物流要件との相性です。
チェック項目の例を挙げてみます。
対応エリア
すべての店舗・拠点がサービスエリア内に含まれているか
将来の出店エリアまでカバーできそうか
車両タイプ
軽貨物・1t・2t・4tなど、必要なサイズが用意されているか
パレット積み・カゴ台車積みなど、自社の積み方に対応できるか
温度帯
常温だけでなく、冷蔵・冷凍が必要な場合に対応可能か
温度管理の記録やレポートを出してもらえるか
たとえば、食品や医薬品を扱う場合、温度管理の品質はそのまま「商品価値」に直結します。
また、今は軽貨物だけで足りていても、今後の店舗拡大や取り扱い商品の変化によって、必要な車両サイズが変わる可能性もありますよね。
将来の展開も含めて「どの範囲までカバーしてもらえそうか」を確認しておくと、長く付き合えるパートナーを選びやすくなります。
次は、こうした物理的な条件に加えて、日々の業務効率を左右する「システム連携」や「見える化」の観点も押さえていきましょう。
システム連携・配送状況の見える化・管理画面の使いやすさ
最近の定期配送サービスでは、単に荷物を運ぶだけでなく、システム面のサポートが充実してきました。
とくに、注文システムや在庫管理システムとの連携、配送状況の見える化などは、担当者の負担を大きく左右するポイントです。
たとえば、次のような機能・仕組みがあるかを確認してみてください。
Webや専用画面から、定期便の内容変更や増便依頼ができる
配送状況をリアルタイムまたは準リアルタイムで確認できる
配送実績データをCSVなどでダウンロードし、社内分析に活用できる
自社システムとのAPI連携やデータ連携に対応している
こうした機能が整っていると、
電話やメールでの確認作業が減る
問い合わせ対応に追われず、本来の業務に時間を使える
配送データを見ながら、ムダなルートや時間帯を見直しやすくなる
といった効果が期待できます。
担当者の方からも、「管理画面が見やすくなっただけで、日々のストレスがかなり減った」という声は多く聞かれます。
料金やエリアだけでなく、こうした“使い勝手”まで含めて比較していくと、本当に現場にフィットした定期配送サービスが見えてくるはずです。
ここまで、自社に合う定期配送サービスを選ぶためのチェックポイントを整理してきました。
次の章では、こうしたポイントを押さえつつ、柔軟な定期配送を実現する配送プラットフォームとして「ピックゴー」をどのように活用できるかを具体的に見ていきましょう。
柔軟な定期配送を実現する配送プラットフォーム「ピックゴー」の活用ポイント

ここまでで、自社に合う定期配送サービスを選ぶためのチェックポイントを整理してきました。
「何となくイメージはできてきたけれど、実際にどうやって運用すればいいのか知りたい」と感じている方も多いはずです。
そこで活用したいのが、柔軟な運行設計ができる配送プラットフォーム「ピックゴー」です。
ピックゴーを使うことで、
必要なエリアに、必要なタイミングで定期便を組める
距離制・時間制など、自社の事情に合わせた料金設計がしやすい
専任スタッフが運行管理やトラブル対応をサポートしてくれる
スポット配送と組み合わせて、ムダの少ない物流網をつくりやすい
といったメリットを期待できます。
ここからは、ピックゴーならではの強みを、4つのポイントに分けて見ていきましょう。
まずは「全国規模のドライバーネットワーク」からご紹介します。
全国規模のドライバーネットワークで必要なときに定期便を構築できる
定期配送を始めたくても、「そもそもドライバーや車両をどう確保するか」で止まってしまう企業は少なくありません。
自社で採用・育成・車両調達まで行おうとすると、コストも時間も大きな負担になりますよね。
ピックゴーは、全国規模のドライバーネットワークを持つ配送プラットフォームです。
そのため、
まずは一部エリアだけ定期便を試してみる
店舗や拠点の増加に合わせて、対応エリアを広げていく
既存の便に“1店舗だけ追加”といった微調整を行う
といったステップを踏みながら、ムリなく定期配送の網を広げていけます。
また、拠点が増えたり、業態を変えたりした際にも、「このエリアは新たに定期便」「この拠点はスポット中心」といった組み立てがしやすい点も魅力です。
ドライバー不足が続く中、自社だけで人員を抱え込まずに配送力を確保できるのは、大きな安心材料と言えるでしょう。
こうした“全国の配送力”を土台に、どのような料金設計で定期便を組んでいくかも重要なポイントです。
次の項目では、ピックゴーの柔軟な料金設計について触れていきます。
時間制・距離制などニーズに合わせた料金設計が可能
前の章でも触れたように、定期配送のコストを考えるうえで「時間制か、距離制か」は重要なテーマです。
自社の配送パターンに合わない料金体系を選んでしまうと、ムダなコストが積み上がりやすくなります。
ピックゴーでは、
毎日◯時間チャーターしたいケースには「時間制」
拠点間の距離がはっきりしているルートには「距離制」
荷量がはっきりしている定期便には、荷量ベースでの相談
といった形で、ニーズに合わせた料金設計がしやすくなっています。
「このルートは積み下ろしに時間がかかるから時間制が向きそう」
「この区間は距離が短くてシンプルなので距離制の方が効率的」
といった組み立てができれば、コストの平準化と削減を同時に狙えるはずです。
さらに、実際の運行データを見ながら、「この時間帯は混雑が少ない」「このルートはもう少し集約できる」といった改善も進めやすくなります。
こうした料金設計を支えるのが、日々の運行を支援する専任スタッフの存在です。
続いては、そのサポート体制について見ていきましょう。
専任スタッフによる運行管理とトラブル時のサポート体制
定期配送を安定して回すうえで欠かせないのが、運行管理とトラブル対応です。
どれだけ計画を綿密に立てても、天候や道路状況、急な欠員など、想定外の出来事はどうしても起こってしまいます。
ピックゴーでは、専任スタッフが企業側とドライバー側の間に入り、運行管理をサポートします。
例えば、次のような場面で力を発揮してくれる存在です。
新しく定期便を立ち上げる際のルート設計やスケジュール調整
店舗からの要望や変更依頼の取りまとめ
遅延やトラブル発生時の状況確認と、代替案の提案
運行データをもとにした改善提案や見直しの相談
現場の担当者だけでこれらをすべて対応しようとすると、どうしても負荷が高くなります。
専任スタッフと一緒に運行体制を作っていけることで、「何かあっても相談できる相手がいる」という安心感が生まれるはずです。
こうした運行管理のサポートがあるからこそ、定期便だけでなくスポット配送も含めた“全体最適”を考えやすくなります。
次の項目では、ピックゴーでスポット配送と定期配送をどう組み合わせていけるかを、イメージしやすい形でお伝えします。
スポット配送と組み合わせた効率的な物流設計・コスト最適化
多くの企業にとって理想的なのは、「ベースは定期便で安定させつつ、波動の部分をスポット配送でカバーする」形ではないでしょうか。
すべてを定期便にしてしまうとムダが出やすく、逆にすべてをスポットにするとコストも手間も読みにくくなります。
ピックゴーを使えば、
毎日・毎週必ず発生する部分は定期便として“固定化”
セールやイベント時の増便は、同じプラットフォーム上からスポットで追加
実績データを見ながら、「スポットで頼み続けている区間を定期便に切り替える」といった見直し
といった組み立てがしやすくなります。
結果として、
荷物の“最低ライン”は安定して運べる
予測しづらい波動だけをスポットで吸収できる
という、バランスの良い体制をつくりやすくなるはずです。
物流は、いちど仕組みを整えると中長期的に効いてくる領域です。
定期配送とスポット配送を、ピックゴーという1つの配送プラットフォームの中で組み合わせていくことで、「安定」と「柔軟さ」の両方を手にしやすくなります。
ここまで、定期配送サービスの基本から、選び方、そしてピックゴーの活用ポイントまで順番に見てきました。
まとめ:定期配送サービスで物流を安定させ、コア業務に集中できる体制をつくる

ここまで定期配送サービスの基本からメリット、選び方、そしてピックゴーの活用ポイントまで一気に見てきましたね。
ポイントを整理すると、定期配送は「コスト削減のためのテクニック」ではなく、「物流を安定させ、現場をラクにするための仕組み」と言えます。
とくに押さえておきたいのは、次のような点です。
発注・在庫管理をパターン化し、担当者の細かな作業を減らせる
配送コストを平準化し、年間の予算を立てやすくできる
欠品リスクを下げて、顧客からの信頼アップにつなげられる
ドライバー不足の中でも、自社で人を抱え込み過ぎずに済む
自社の実態に合う「料金体系・エリア・車両・温度帯」を選ぶことが重要
定期便とスポット便を組み合わせると、安定と柔軟性を両立しやすい
配送プラットフォーム「ピックゴー」を使うと、全国規模で定期便を組みやすくなる
物流は、売上に直結する派手なテーマではないかもしれません。
それでも、定期配送をうまく設計できれば、「欠品ばかりで現場がバタバタ」という状態から抜け出し、コア業務にもっと時間とエネルギーを使えるようになりますよ。
「まずは一部エリアだけ定期便を試してみたい」
「既存のルートを見直しながら、コストも品質も上げていきたい」
そんな場合こそ、柔軟に組み立てられる配送プラットフォームとしてピックゴーが心強い味方になります。
自社の物流をもう一段レベルアップさせたいと感じたら、この記事で整理したポイントをチェックリスト代わりにしながら、定期配送の設計とサービス選びを進めてみてください。
次の一歩を踏み出した瞬間から、現場の“当たり前”が少しずつ変わっていきますよ。

