
トラックの空車対策7選|空車回送を減らして「利益が残る運行」に変える実践ガイド(一般貨物向け)
目次[非表示]
- 1.空車は「4つのタイプ」に分けると対策が選べる
- 2.空車がいくら“損”か、1回分を数字で把握する
- 3.トラック空車対策7選(一般貨物の運送会社向け・実装順)
- 3.1.① まずは「空車が出る運行」を固定で洗い出す(最優先)
- 3.2.② 復路空車は「最初から埋める前提」で運行設計する
- 3.3.③ スポット案件を“空車の穴埋め枠”として常設する(即効性が高い)
- 3.4.④ 待機空車は「交渉テンプレ」と「ルール化」で削る
- 3.5.⑤ 片荷空車は「混載できる条件の整備」が先(相手探しは後)
- 3.6.⑥ 協力会社ネットワークは“逃がし先”と“受け皿”を両方作る
- 3.7.⑦ 空車を前提にしない運賃設計(下げ合いを避ける)
- 4.空車対策でやりがちな失敗(これを避けるだけで改善する)
- 5.ケーススタディ(よくある2パターン)
- 6.よくある質問(FAQ)
「帰り便が埋まらない」「急なキャンセルで空車が出る」「待機が長くて実車率が下がる」
空車(空荷・空車回送)は、売上が立たないまま 燃料費・人件費・時間だけが出ていく“利益を削る走行”です。
この記事では、一般貨物の運送会社(経営者・配車担当者)向けに、今日から実装できる打ち手を「タイプ別」に整理し、最後に 空車を埋める“選択肢”を増やす導線までつなげます。
空車は「4つのタイプ」に分けると対策が選べる
空車を一括りにすると、やることが散らかります。まずは自社の空車がどれかを分けてください。
1)復路空車(帰り便が埋まらない)
行きは強いが戻りが弱いエリア/時間帯で発生
対策の主役:復路荷の確保・スポット活用・運行設計の見直し
2)待機空車(早着・受付制限で“止まっている”)
時間指定、荷主都合、予約枠不足で発生
対策の主役:受付条件の交渉・運行計画・附帯料金の設計
3)繁閑差空車(閑散期や波で車両が余る)
定期便中心の会社ほど起きやすい
対策の主役:スポット比率の最適化・協力会社との役割分担
4)片荷空車(積載率が低い/混載できない)
小口・条件縛り・荷姿で発生
対策の主役:混載/共同配送/荷姿条件の整備
空車がいくら“損”か、1回分を数字で把握する
空車対策は「気合い」ではなく「投資対効果」です。まず1回の空車回送コストを見える化します(例)。
空車回送:100km
燃費:4km/L(車格や運行で変動)
軽油:160円/L(仮)
平均速度:50km/h
ドライバーコスト:2,000円/時(仮)
計算(例)
燃料:100km ÷ 4km/L = 25L → 25L × 160円 = 4,000円
時間:100km ÷ 50km/h = 2時間 → 2h × 2,000円 = 4,000円
ざっくり合計:8,000円/回(+車両償却・高速・タイヤ等は別)
もしこれが週3回あると、8,000円×3=24,000円/週、月なら約 10万円前後が“消える”計算になります。
だからこそ、空車対策は「運賃を下げてでも埋める」より、利益が残る形で埋めるのが重要です。
トラック空車対策7選(一般貨物の運送会社向け・実装順)
① まずは「空車が出る運行」を固定で洗い出す(最優先)
やることはこれだけ
直近4週間の運行から「空車回送が長い便」を上位10本出す
それぞれに 理由タグを付ける(復路空車/待機空車/繁閑差/片荷)
上位3本から潰す(全部やると失速します)
ここができると、対策が“会議の話”から“配車の手”になります。
② 復路空車は「最初から埋める前提」で運行設計する
復路が弱い便は、配車の段階でこう決めます。
その便は 「戻り荷が取れたら確定」にする
もしくは 「戻り荷がないなら別の行き先に組み替える」
ポイント:復路を“探す”のではなく、復路が弱い便を“設計で減らす”。
③ スポット案件を“空車の穴埋め枠”として常設する(即効性が高い)
定期便だけだと、繁閑差・キャンセル・片荷の波を吸収できません。
そこで、運用上のルールとして 「空車が出たらスポットで埋める」導線を持つと強いです。
スポット運用の型(配車が回る形)
朝:当日・翌日の空車枠を確定(車格/時間/エリア)
昼:条件に合う案件だけ拾う(合わない案件は切る)
夕:翌日の穴を先に埋める
中CTA(自然に置ける)
「空車が出た時に、条件に合う案件を見られる“選択肢”を持ちたい」運送会社さまは、まずパートナー登録で導線を確保しておくのが現実的です。
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④ 待機空車は「交渉テンプレ」と「ルール化」で削る
待機は、現場に丸投げすると永遠に減りません。会社ルールにします。
配車ルール例
早着は原則◯分まで(それ以上は調整 or 追加条件)
待機が◯分を超える場合は、次回から条件見直し
附帯作業が増える荷主は、事前に条件明記
荷主への依頼テンプレ(コピペ可)
受付時間調整
「到着後の待機が発生しやすいため、受付可能な時間帯の幅(例:±30分)をご相談させてください。遅延リスク低減と安定運行のため、ご協力いただけると助かります。」待機・附帯の扱い明確化
「積込条件(待機の可能性、附帯作業の有無)を事前に共有いただけますでしょうか。条件により運行計画が変わるため、見積前提として確認させてください。」
⑤ 片荷空車は「混載できる条件の整備」が先(相手探しは後)
混載・共同配送は有効ですが、先にこれを決めないと回りません。
混載OK条件:荷姿/温度帯/積付け制約/時間帯
禁止条件:におい移り、荷崩れリスク、長時間待機必須など
現場向け:積付けの判断基準(写真例があると最強)
⑥ 協力会社ネットワークは“逃がし先”と“受け皿”を両方作る
繁忙:自社だけで抱えず、逃がし先を確保
閑散:空車が出たら、**受け皿(受託)**がある状態にする
ここができると、配車が「断る or 無理に取る」の二択から抜けます。
⑦ 空車を前提にしない運賃設計(下げ合いを避ける)
空車を埋めたい気持ちで単価を落とすと、稼働は上がっても利益が残りません。
最低ラインの決め方(社内向けの簡易チェック)
拘束時間(待機含む)に対して利益が残るか
片道だけで終わる運行なら、復路想定込みで成立するか
附帯作業・時間指定があるのに、条件が未確定ではないか
空車対策でやりがちな失敗(これを避けるだけで改善する)
運賃を下げて埋める → 稼働は増えても利益が残らない
条件が合わない案件を取る → 遅延・事故・クレームの温床
配車が属人化 → 再現性がなく、改善が積み上がらない
探す時間が増える → 配車コストが膨らみ本末転倒
ケーススタディ(よくある2パターン)
ケース1:地場4t「当日キャンセルで空車が発生」
課題:午後に空車、ドライバー拘束だけ増える
打ち手:空車枠を事前に確定 → 条件に合うスポットで埋める導線を常設
結果イメージ:当日でも「埋められる可能性」が生まれ、売上ゼロ回避
ケース2:幹線10t「行きは強いが復路が弱い」
課題:復路が取れず空車回送が常態化
打ち手:復路弱い便を“設計で減らす”+復路はスポットで埋める枠を持つ
結果イメージ:復路空車の頻度を下げ、実車率を安定させる
よくある質問(FAQ)
Q. 空車回送を減らすには、最初に何を見ればいい?
A. 「空車回送が長い便トップ10」と「発生理由(4タイプ)」です。ここが揃うと、対策が直線になります。
Q. 帰り便が取れない地域はどうすれば?
A. ①運行設計でその便自体を減らす、②スポット導線を持つ、③協力会社の受け皿を作る、の順が現実的です。
Q. 空車を埋めるために単価を下げるのはアリ?
A. 一時的にはアリでも、常態化すると利益が残りません。最低ライン(拘束時間・条件確定)を決めて“下げない判断”を仕組みにしてください。
まとめ:空車対策の決め手は「案件獲得の導線」を持つこと
空車対策には、運行設計・交渉・ルール化・ネットワークなど複数の打ち手があります。
ただ、現場で最後に詰まるのは 「空車の穴を埋める手段がない」こと。
だからこそ、空車が出た時に 条件に合う案件へアクセスできる導線を持っておくと、対策が“回る”ようになります。
ピックゴーの運送会社向けページから、まずはパートナー登録(アカウント登録)で導線を確保してみてください。

