物流業とは？主な業務内容と業界が抱える課題、考えられる対策

こんにちは。物流に関する知識をまとめたメディア「ピックゴー物流コラム」編集部です。

インターネットの普及により、個人がECサイトで商品を購入する機会も増え、物流業のニーズは日に日に高まっています。しかし、物流企業の中には、人手不足や燃料の高騰などの影響により、満足のいくサービスを提供できていない会社も少なくありません。
今回は、物流業の基本的な業務内容や、業界が抱える課題、解決方法をご紹介します。物流業界の競争を勝ち抜き、事業成長を加速させるためにも、ぜひ参考にしてください。

物流業の基礎知識

社会のデジタル化が進み、直接店舗へ訪れなくても商品を購入できるようになりました。物流業は、商品の保管や消費者への配送などの業務を担っており、デジタル化が進む現代においても重要な役割を果たしています。こちらでは、物流業の特徴や運輸業との違いを解説します。

物流業とは？

物流とは、物的流通の略称で、商品が生産者やメーカーから消費者に届くまでの流れを指します。物流業は物流に関わる業務を行う仕事のこと。製品や荷物を運ぶだけでなく、倉庫での保管・管理作業なども含まれるのが特徴です。そして、物流を一元管理することをロジスティクスと呼びます。

物流業と運輸業の違い

運輸業はトラックや船、飛行機などを使って荷物を運ぶ仕事です。貿易業務における仲介業者も含まれます。運輸業者は貨物の運搬を主な業務としており、物流業の一部と考えるのが一般的です。

物流業の主な機能

物流業の仕事内容は、顧客への貨物の配送だけではありません。こちらでは、物流業が担っている主な仕事の種類や機能をご紹介します。

輸送

輸送とは商品を運搬する作業のことで、運び方により呼び名が異なるのが特徴です。輸送は一次配送とも呼ばれ、一般的に長距離移動を伴い、工場と物流センター間の運搬などを指します。配送は二次輸送とも呼ばれ、主に近距離・小口の運搬で、店舗や消費者などに商品を運ぶ作業のことです。運送は主にトラックによる商品の運搬を指します。
輸送コストは、物流業にかかるコストの大半を占めるとされています。そのため、業務の効率化やAI、IT技術の導入などを通して、コスト削減に取り組むことが大切です。

保管

保管は、荷主から預かった荷物を物流センターなどで保管する倉庫業務です。物品の品質を保ち、価値を維持するためには、湿度や温度などの倉庫内の環境にも配慮する必要があります。

荷役

荷役は、トラックや航空機からの荷物の積み下ろし・積み込み業務のことです。倉庫や物流センターへの入出庫作業も含み、輸出入品の場合は通関手続きまで行います。

包装

包装は、検品した荷物を出荷前に梱包する業務を指します。荷物を保護し、品質を守るために欠かせない工程です。また、運搬が難しい荷物でも、ダンボールなどに入れることで運びやすくなるというメリットもあります。

流通加工

流通加工は、出荷時に行う倉庫や物流センターでの加工業務全般のことです。具体的には、値札付けや箱詰め、ラベル貼り、袋詰めなどの作業が該当します。

情報

情報は、物流業務で必要となる情報を管理する作業です。例えば、商品の在庫や輸送中の荷物の状況、輸送経路の状態などの情報を管理します。在庫管理システムや倉庫管理システム（WMS）を活用することで、効率的な出庫業務が可能になります。

物流業の主な課題と対策

物流業務は生活や社会にとって欠かせない存在である一方、現場は多くの課題を抱えています。ここでは、物流業界や運送業界の主な課題と解決方法をご紹介します。

物流業の主な課題

• ドライバー不足

多くの物流事業者は、深刻なドライバー不足に直面しています。実際、2020年7月時点でトラックドライバーの有効求人倍率は1.83と、全産業平均0.97の約2倍に到達しました。こうした人手不足の背景には、長時間労働をはじめとしたドライバーの過酷な労働環境があります。厚生労働省の調査によると、2019年時点での年間労働時間は大型トラックで2580時間、中小型トラックで2496時間となっており、全産業平均の2076時間と比較すると、厳しい労働環境にあるのが現状です。
また、物流業界は高齢化も進んでおり、今後もドライバー不足の状態は続くと考えられます。2019年時点で、40代～50代前半の就業者の割合が44.2％と、全産業平均の34.8％と比べると高齢層の比率が高くなっています。

【出典】「統計からみるトラック運転者の仕事」（厚生労働省）
https://driver-roudou-jikan.mhlw.go.jp/national/

• 燃料の高騰

物流業はトラックや船舶、航空機の活用が不可欠のため、燃料費の影響を受けやすいのも課題です。特に、2021年には世界的な原油価格の高騰に見舞われ、軽油の価格が値上がりしました。本来、燃料費の高騰は運賃の値上げにつなげるのが一般的ですが、荷主との関係上難しい場合も多く、配送距離が長くなるほど赤字になるケースもあるようです。

• 物流波動の存在

物流波動とは、さまざまな要因によって商品の需要がアップし、受注量が急激に増加する現象のことです。例えば、テレビでの取り扱いやインフルエンサーのSNSでの拡散、季節などの影響が考えられます。受注量の変化に対応できないと、顧客満足度や売上の低下につながるため、物流業者は物流波動に対応できる体制を構築する必要があります。

物流業の課題への主な対策

• 物流システムを導入する

業務を効率化し、人手不足でも対応できるようにするためには、物流システムの導入が効果的です。アナログ業務のデジタル化によって、作業時間や配送時間の削減、ヒューマンエラーの防止が期待できます。また、物流システムでは荷物の配送状況をリアルタイムで追跡でき、顧客満足度の向上につながります。

• 再配達の防止策を活用する

再配達によるコストの増加が懸念される場合は、宅配ボックスの設置や再配達の有料化などの施策を進めるのが良いでしょう。特に、宅配ボックスについては国土交通省も支援策を設けており、有効活用するのがおすすめです。ただし、顧客の理解が不可欠のため、丁寧な説明が必要です。

• 一部の業務をアウトソーシングする

物流コストの増大や人手不足が続く場合は、一部の業務をアウトソーシングする方法もあります。物流業務を外注化することで、物量に合わせてコストを変動費化でき、閑散期のコスト削減につながります。また、物流のアウトソーシングでは、自社で物流体制を一から構築するための費用や、人材育成のコストがかかりにくいのも魅力です。物流業務に充てていた人員や時間のリソースをコア業務に投下できるため、売上の向上や事業成長の加速も期待できます。

物流業務の効率化を進めてサービスの品質向上につなげよう

物流業は社会にとって欠かせない存在である一方、労働力不足やコストの増大など、課題を抱えている物流会社や運送会社は少なくありません。物流システムの導入や一部業務の外注化によって物流業務を効率化し、サービスの品質向上に役立てましょう。
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