
ジャストインタイム物流とは?配送現場が抱える課題の特徴と解決策
こんにちは。物流に関する知識をまとめたメディア「ピックゴー物流コラム」編集部です。
店舗や企業が商品を補充する際の方法として、近年注目を集めているのが、「ジャストインタイム物流」という考え方です。必要なタイミングで必要数の商品を納入できるため、在庫を過剰に抱える心配がないのが特徴です。
今回は、ジャストインタイム物流に関する基本的な知識や、導入によってもたらされるメリット、課題などを解説します。最後には、ジャストインタイム物流が抱える課題の解決策も提示しますので、ぜひお役立てください。
ジャストインタイム物流とは?

ジャストインタイム物流の意味
「ジャストインタイム物流」とは、必要なものを、必要な時に、必要な量だけ輸送する物流システムのことです。「トヨタ生産方式(ジャストインタイム)」と呼ばれる、製造業で部品の納入時などに使用される生産管理システムを物流に応用したもので、作業効率の向上やサプライチェーンの適正化が期待できます。
ジャストインタイム物流は、主にコンビニやスーパーなどの小売業で採用されています。小売業では、多頻度小口配送を取り入れている企業が多く、小ロットでの調達が可能なジャストインタイム物流が好まれているのです。
ジャストインタイム物流のメリット
在庫の量を適正化できる
ジャストインタイム物流は、過剰在庫を抱えるリスクを防ぎやすいのがメリットです。ジャストインタイム物流を導入することで、小売店は必要な商品について、必要なタイミングで、必要な量だけ調達できるため、在庫量の調整がしやすくなります。また、過剰在庫によって必要となるコスト、具体的には不要な運搬作業にかかる人件費や、機械を動かす光熱費などの削減も可能です。
保管にかかるコストを抑えられる
ジャストインタイム物流を活用することで、商品の保管にかかるコストを抑えられるのも特徴です。在庫量を最小限に抑えられるため、倉庫スペースを縮小したり、在庫管理にかかる業務を少なくしたりできます。その分の人員を別の業務に充てることができれば、コスト削減に加えて利益の最大化も期待できます。
リードタイムの短縮につながる
ジャストインタイム物流では、後工程引取によって、リードタイムの短縮も可能です。後工程引取とは、後工程が必要になった商品を前工程から引き取り、不足した分を前工程が補充する生産方式を指します。これにより、作業の無駄が省かれ、業務が効率化されるため、リードタイムの短縮につながるのです。また、発注から生産、納品までのすべての工程が可視化されることで、問題点を把握しやすいのも特徴です。
在庫管理の徹底という目的のためには、受注生産という方法を採ることもできます。しかし、受注生産ではリードタイムが長くなってしまい、販売機会の損失につながる可能性があります。
ジャストインタイム物流の課題と解決策

ジャストインタイム物流の課題
配送コストが増加しやすい
ジャストインタイム物流の場合、一便あたりのトラックの積載量が少なく、配送頻度が多くなるため、配送コストが増加しやすい傾向にあります。ドライバーの人件費はもちろん、車両の燃料費も必要です。
また、ジャストインタイム物流の導入には、生産から納入までを停滞させない、工程の「流れ化」が欠かせません。流れ化が不十分な場合は、生産ラインの仕組みを見直す必要があり、かえってコストが増加する可能性があります。
待機時間が発生しやすい
ジャストインタイム物流では、欠品を防ぐために、ドライバーが早めに工場や店舗などの物流拠点に到着します。その際、他のトラックが荷下ろしするのを待つ、「荷待ち」の時間が発生するのもデメリットです。荷待ち時間が増えることで、ドライバーの長時間労働やCO2の発生による環境汚染にもつながります。
ジャストインタイム物流の課題を解決する方法
配送方式を変更する
上記課題を解決するには、配送方式の変更が効果的です。たとえば、ミルクラン方式などの共同配送や、クロスドッキングを採用することで、配送コストの削減が期待できます。
ミルクラン方式とは、物流センターへの集荷を行わず、一台の車両が複数のサプライヤーを巡回する配送方式です。一便に複数の商品を混載させることができ、積載率が向上するため、配送コストの減少につながります。
クロスドッキングとは、納入された商品を物流センターで保管せずに、すぐに仕分けを行い配送用のトラックに積み替える配送方式のことです。物流センターが在庫を管理する必要がなくなるため、人件費や倉庫のスペースの削減につながります。
配車管理システムを導入する
ジャストインタイム物流による在庫切れや配送コストの増大には、配車管理システムを活用するのも効果的です。車両の動態管理を行えるシステムを採用することで、配送ルートを最適化しやすくなります。また、車両の運行を調整して待機時間の削減も可能であり、ドライバーの労働環境の平準化も期待できます。
ジャストインタイム物流の課題は配車管理システムで補おう

今回は、ジャストインタイム物流の概要やメリット、課題について解説しました。ジャストインタイム物流は、リードタイムの短縮や在庫量の適正化などを実現する手段のひとつとして、近年生産現場やロジスティクス業界で注目を集めています。しかし、ジャストインタイム物流の導入によって、配送コストや待機時間の増加などの課題も生じています。

