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物流の2026年問題とは?特定事業者の義務と今からできる対策を解説

こんにちは。物流に関する知識をまとめたメディア「ピックゴー物流コラム」編集部です。
物流の2024年問題(トラックドライバーの時間外労働上限規制)への対応が進むなか、次に荷主企業や物流事業者が向き合うのが「2026年問題」です。

国土交通省の資料(新物効法の施行について、令和7年2月・3月)では、何も対策を講じなければ2024年度に14%、2030年度に34%の輸送力不足が生じると試算されています。荷主側の物流効率化が求められる背景には、こうした輸送力不足の緩和があります。
2026年4月から、一定規模以上の事業者に物流効率化の義務が本格的に課されます。

 

本記事では、物流の2026年問題の概要、特定事業者に課される義務の内容、荷主への影響、そして今からできる対策まで解説します。
自社が対象かどうかの確認方法もお伝えしますので、準備の参考にしてください。

目次[非表示]

  1. 1.物流の2026年問題とは?
    1. 1.1.2024年問題との違い
    2. 1.2.なぜ「2026年」なのか?
  2. 2.2026年問題で何が変わる?特定事業者と義務の内容
    1. 2.1.特定事業者とは
    2. 2.2.義務の3本柱:CLO選任・中長期計画・遵守事項
    3. 2.3.努力義務は全事業者に(2025年から)
  3. 3.2026年問題が荷主に与える影響
  4. 4.2026年問題への対策|今からできること
    1. 4.1.荷待ち時間・荷役時間の見直しと短縮
    2. 4.2.積載率向上の取り組み
    3. 4.3.物流DX・在庫最適化
    4. 4.4.CLO候補の選定と中長期計画の準備
  5. 5.物流の課題解決ならピックゴーに相談を
  6. 6.よくある質問(FAQ)
    1. 6.1.Q1: 自社が特定事業者かどうかの判断方法は?
    2. 6.2.Q2: CLOは誰を選任すればよい?
    3. 6.3.Q3: 物流2法改正と2026年問題の関係は?
    4. 6.4.Q4: 中長期計画は毎年提出するか?
    5. 6.5.Q5: 2024年問題の記事との違いは?
  7. 7.まとめ

物流の2026年問題とは?

物流の2026年問題とは、2026年4月に本格施行される「物資の流通の効率化に関する法律」(物流効率化法。旧・流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律)の改正に伴い、一定規模以上の荷主企業や物流事業者に物流効率化の義務が課されること、およびそれに伴う業界全体の課題を指します。

 

この改正は、物流2法改正(物流効率化法と貨物自動車運送事業法の改正)の一環として2024年5月に公布され、2025年4月から一部が施行されています。
そのうち、荷主・物流事業者に対する義務の本格化が2026年4月からとなるため、「2026年問題」と呼ばれています。

 

2024年問題との違い

2026年問題を理解するうえで、物流の2024年問題との違いを押さえておくとわかりやすいです。

 

2024年問題

2026年問題

主な対象

運送事業者・トラックドライバー

荷主企業・物流事業者

法律

働き方改革関連法(労働基準法など)

物流効率化法(物資の流通の効率化に関する法律)

内容

時間外労働の上限規制(年960時間など)

CLO選任、中長期計画の作成・報告、荷待ち短縮・積載率向上などの義務

焦点

運送側の労働時間・人手不足

荷主側の物流効率化責任

 

2024年問題は「運送会社やドライバーにのしかかる労働時間規制」が中心でした。一方、2026年問題は「荷主や物流事業者にも物流効率化の責任を求める」という点が大きな違いです。
運送側だけでなく、荷主側が荷待ち時間の短縮や積載率の向上などに取り組むことが、法律上も期待される流れになっています。

 

2024年問題の概要・法改正のポイント・影響・解決策については、別記事で詳しく解説していますのであわせてご参照ください。
 
関連記事:物流の2024年問題とは?原因となる法律のポイントと影響、解決策  

 

なぜ「2026年」なのか?

物流2法改正は2025年4月1日から施行され、すべての荷主・物流事業者に物流効率化への努力義務が課されました。
一方で、特定事業者(後述する一定規模以上の事業者)に対する義務(CLO選任、中長期計画の作成・提出、遵守事項の実施など)は2026年4月から本格的に適用されます。

 

そのため、「義務が重くのしかかるタイミング」として2026年が注目され、2026年問題と呼ばれています。
該当する事業者は、2026年4月までに体制整備や計画策定を進めておく必要があります。

 

2026年4月の施行後、特定事業者に指定された荷主は、おおむね同年10月末までに物流統括管理者(CLO)の選任届出と中長期計画の提出2027年7月末までに定期報告の提出が想定されています(スケジュールは変更の可能性があります。
国土交通省「物流効率化法」理解促進ポータルで最新情報をご確認ください)。

 

2026年問題を踏まえた配送体制の見直しや効率化のご相談は、ピックゴーまでお気軽にどうぞ。

 

2026年問題で何が変わる?特定事業者と義務の内容

特定事業者とは

特定事業者とは、物流効率化法に基づき、とくに義務の対象となる一定規模以上の事業者のことです。
荷主には発荷主(荷物を送る側)と着荷主(荷物を受け取る側)の両方が含まれます。
フランチャイズチェーンの本部も荷主に準ずる扱いとなり、特定連鎖化事業者として対象になる場合があります。

事業者区分

指定基準値

社数(目安)

特定荷主・特定連鎖化事業者

取扱貨物の重量:9万トン以上

上位3,200社程度

特定倉庫業者

貨物の保管料:70万トン以上

上位70社程度

特定貨物自動車運送事業者等

保有車両台数:150台以上

上位790社程度

上記のいずれかに該当すると「特定事業者」となり、以下の義務が課されます。
該当するかどうかは、取扱貨物量や車両数などを基準に判断します。
 

不明な場合は、国土交通省「物流効率化法」理解促進ポータルで最新の基準等をご確認のうえ、専門家に相談することをおすすめします。

 

義務の3本柱:CLO選任・中長期計画・遵守事項

特定事業者には、主に次の3つの義務があります。

  1. 物流統括責任者(CLO)の選任
    経営層から物流統括管理者(Chief Logistics Officer:CLO。物流統括責任者とも呼ばれます)を選任し、物流効率化を統括する責任者を置くことが義務づけられます。2026年4月から、該当する荷主企業などではCLOの選任が必須となります。

    CLOには、中長期計画・定期報告の作成、トラックドライバーの負荷軽減のための事業運営方針や体制整備、設備投資・デジタル化・物流標準化の計画と評価、社内の関係部門(開発・調達・生産・販売・在庫・物流等)間の連携体制構築や社内研修など、幅広い業務の統括管理が期待されています。


     
  2. 中長期計画の作成・報告

    荷待ち時間の削減、積載率の向上など、物流効率化に関する中長期計画を作成し、国に報告することが義務づけられます。
    計画には「実施する措置」「具体的な内容・目標」「実施時期」などを盛り込む必要があります。
    提出は毎年度が基本ですが、計画内容に変更がなければ5年に1度の提出も想定されています。


     
  3. 遵守事項の実施
    計画に沿って、実際に以下のような取り組みを実施することが求められます。

    • 荷待ち時間・荷役時間の短縮(合計2時間以内を目指し、将来的には1時間以内を目標とする考え方も)
    • 計画に沿って、実際に以下のような取り組みを実施することが求められます。

      • 荷待ち時間・荷役時間の短縮(国が示す基本方針では、5割の運行で1運行あたり計2時間以内を目指し、1人当たり年間125時間の短縮が目標とされています)
      • 積載率の向上(全体の積載効率を44%に引き上げる目標が掲げられています。施行後3年で、2019年度比の16%増を目指す水準です。)

 

これらを怠った場合、国から勧告や公表などの対象となり、場合によっては過料(最大100万円程度)が科される可能性があります。
正確な要件・数値は、国土交通省「物流効率化法」理解促進ポータル(関係法令・よくあるご質問等)で最新の内容をご確認ください。

※上記の目標・数値は国土交通省「新物効法の施行について」令和7年2月・3月資料(PDF)等に基づきます。

努力義務は全事業者に(2025年から)

特定事業者でない荷主・物流事業者にも、2025年4月から努力義務として、物流効率化に取り組むことが求められています。
荷主には発荷主・着荷主の両方が含まれるため、送り手・受け手のどちらも対象です。
 
積載率の向上、荷待ち時間の短縮、荷役作業の効率化など、可能な範囲で対応を進めることが望ましいです。積載率の考え方や向上のポイントは、関連記事でも解説しています。

関連記事:積載率とは?計算方法や低下による悪影響、数値向上のポイント

 

 

2026年問題が荷主に与える影響

国は、対策を講じなければ2024年度に14%、2030年度に34%の輸送力不足が生じると試算しており、荷主側の効率化がその緩和に寄与することが期待されています。そのうえで、2026年問題により荷主企業には次のような影響が考えられます。
 

  • 配送リードタイムの長期化リスク
    運送側の労働時間規制(2024年問題)とあわせ、ドライバーや車両の稼働に制約がかかるなか、荷主側で荷待ちや荷役に時間がかかると、配送全体のリードタイムが延びる可能性があります。
     
  • 物流コストの上昇
    運送費の値上げや、自社で荷待ち短縮・効率化のために投資が必要になるケースでは、物流コストの増加が見込まれます
     
  • 取引先(運送事業者)との関係変化
    荷主にも効率化の義務・努力義務が課されるため、運送事業者から荷待ち時間の記録提出を求められるなど、取引のあり方が変わる可能性があります。

 
また、義務に違反した場合には、国からの勧告や公表、過料の対象となるリスクがあります。該当する事業者は、早めに体制と計画を整えましょう。

2026年問題を踏まえた配送体制の見直しや効率化のご相談は、ピックゴーまでお気軽にどうぞ。

 

  

2026年問題への対策|今からできること

荷待ち時間・荷役時間の見直しと短縮

国土交通省の資料(ドライバー実態アンケート調査等)では、荷待ち・荷役だけで1運行あたり3時間を超えているケースもあり、短縮の余地が大きいとされています。
荷待ち(トラックの到着から荷物の積み下ろしが終わるまでの待ち時間)や荷役作業に時間がかかっている拠点は、作業手順の見直しや時間帯の分散、受入体制の整備などで短縮を検討しましょう。

  

  • 荷待ち時間の短縮:適切な貨物の受取・引渡日時の指示、トラック予約受付システムの導入、混雑時間を避けた日時指定による到着の分散
  • 荷役等時間の短縮:パレット等の利用、標準化、入出庫の効率化に資する資機材の配置、荷積み・荷卸し施設の改善、フォークリフトや荷役作業員の適切な配置

運送事業者と情報を共有し、到着予定に合わせた準備をすることも有効です。

 

積載率向上の取り組み

積載率が低いと、同じ貨物量でも台数や便数が増え、コストと時間がかかります。
国が示す判断基準では、積載効率の向上のために、余裕を持ったリードタイムの設定、運送先の集約、繁閑差の平準化や納品日の集約による発送量・納入量の適正化、配車システムの導入による最適化などが例示されています。

積載率の計算方法や向上のポイントは、関連記事で詳しく解説しています。
出荷ロットの見直しや、荷物の集約・共同配送の検討も対策になります。

 

物流DX・在庫最適化

物流DXの推進や在庫の最適化により、無駄な輸送や在庫を減らし、出荷の平準化やロット最適化を図ることで、荷待ち時間の削減や積載率の向上につなげられます。
在庫情報の一元管理や、需要予測に基づく発注の見直しも有効です。
物流業務の効率化についても、あわせて参考にしてください。

 

CLO候補の選定と中長期計画の準備

特定事業者に該当する、または該当する可能性がある場合は、早めにCLO(物流統括管理者)候補を選定し、経営層の理解を得たうえで、中長期計画の素案づくりを始めることをおすすめします。
荷待ち時間・荷役時間の現状把握、積載率の目標値、達成のための施策とスケジュールを整理しておくと、2026年10月末までの選任届出・計画提出や、その後の定期報告にもスムーズに対応できます。

 

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よくある質問(FAQ)

 

 

Q1: 自社が特定事業者かどうかの判断方法は?

荷主・連鎖化事業者の場合は「年間の取扱貨物量が9万トン以上」、倉庫業者の場合は「貨物の保管量が70万トン以上」、貨物自動車運送事業者等の場合は「車両150台以上を保有しているか」が目安です。
荷主の取扱貨物量は、自社で発送・受入した貨物の重量を年間で合計して算出します。
正確な判定方法は、国土交通省・経済産業省などのガイドラインや施行規則を参照するか、専門家にご相談ください。

 

Q2: CLOは誰を選任すればよい?

CLO(物流統括責任者)は、経営層の一員など、社内で物流効率化を統括できる立場の者から選任することが想定されています。
役員や部長クラスなど、計画の策定と実行に責任を持てる人材が適しています。詳細は施行時のガイドラインで確認してください。

 

Q3: 物流2法改正と2026年問題の関係は?

物流2法改正とは、「物流効率化法」と「貨物自動車運送事業法」の2つの法律の改正を指します。
2025年4月から施行され、すべての荷主・物流事業者に努力義務が課されました。
そのうち、特定事業者に対する義務(CLO選任、中長期計画、遵守事項の実施など)が本格的に適用されるのが2026年4月であり、このタイミングを「2026年問題」と呼んでいます。

 

Q4: 中長期計画は毎年提出するか?

中長期計画の提出は毎年度が基本ですが、計画内容に変更がない限り、5年に1度の提出も想定されています。
定期報告は別途、所定の時期(おおむね2027年7月末に第1回が想定)に提出が必要です。
最新のスケジュールは国土交通省「物流効率化法」理解促進ポータルでご確認ください。

Q5: 2024年問題の記事との違いは?

2024年問題は、働き方改革関連法に基づくトラックドライバーの時間外労働上限規制がテーマで、主に運送事業者側の課題です。
本記事で扱う2026年問題は、物流効率化法に基づく荷主・物流事業者への効率化義務がテーマで、荷主側にCLO選任や中長期計画などが求められる点が異なります。両方あわせて理解すると、物流業界の流れが把握しやすくなります。

 

まとめ

  • 物流の2026年問題は、2026年4月から本格施行される物流効率化法に基づき、特定事業者(荷主・連鎖化事業者:年間9万トン以上/倉庫業者:保管量70万トン以上/貨物自動車運送事業者等:車両150台以上)に物流統括管理者(CLO)の選任・中長期計画・遵守事項の実施などが義務づけられることです。国は輸送力不足の緩和(2024年度14%、2030年度34%不足の試算)を見据え、荷主側の効率化を求めています

  • 2024年問題が「運送側の労働時間規制」であるのに対し、2026年問題は「荷主側の物流効率化の責任」が焦点です。
  • 荷主は、国が示す判断基準(荷待ち・荷役の短縮、積載率向上など)を参考に、荷待ち・荷役時間の短縮、積載率の向上、物流DX・在庫最適化などを進め、該当する場合はCLO候補の選定と中長期計画の準備を早めに始めましょう。指定後はおおむね2026年10月末までにCLO選任届出・中長期計画提出、2027年7月末までに定期報告の提出が想定されています。

 

2026年問題を見据えた配送体制の見直しや、荷待ち短縮・積載率向上のヒントについても、お気軽にお問い合わせください。

※本記事の数値・スケジュール・特定事業者の基準等は、国土交通省「新物効法の施行について」令和7年2月・3月資料(PDF)等を参照しています。
 最新の情報は国土交通省「物流効率化法」理解促進ポータルでご確認ください。